若い娘が楽しそポリ ペプチド

 若い娘が楽しそうにはしゃぐきゃっきゃっとマカ サプリ明るい声が響く。
 そマカ と はこは王都のメインストリートに面した雑貨屋だった。生活や冒険に必要な物資やそれとは別に装飾品や化粧品なども売っていたりする店だ。店は若い娘も入りやすいような清潔でおしゃれな内装をしていた。
「ねぇ、見て! これ可愛い!亜鉛
 ステラは黄色い石のついたネックレスを手に取る。
「これ、こんなに可愛いのに魔道具なんですって。えっと、幻術を見せる魔道具……?」
 ネックレスにつけられたタグの内容を読んだ後、彼女は自分の胸元にそれを当ててみせた。
 にっこりと花のように微笑む。
「どうかしら?」
「よく似合ってるよ」
 言ったのはマシューだ。彼は微笑ましいも亜鉛 の サプリのを見るように目を細めている。
 その時スッと一人の青年が前に進み出てそのネックレスを奪うとお会計のレジへと無言で持っていった。
「ジーンくん!」
 驚くステラに、彼は振り返ると照れくさそうに笑った。
「よければプレゼントしますよ」
「えっと、でもそんなの悪いわ」
 遠慮するステラに彼は微笑むとたった今購入したネックレスをステラの首へと持っていった。
「どうか受け取ってください。僕のためだと思って」
 そうしてネックレスをつけてあげようとして、
「あ、あれ……?」
 金具の外し方がわからず四苦八苦する。
 そゴーヤれにステラはくすりと笑うと「貸して」とネックレスを受け取って金具を外した。
「え、えーと、すみません、慣れてなくて……」
「ねぇ、ジーンくん、つけてくれる?」
 ここの金具をこうするのよ、と実際に実演してみせてからステラはネックレスをジーンに渡した。
「ね、お願い」
 そして、ん、と首を差し出す。
「……では」
 それにジーンは多少照れたように頬を紅潮させながらも真剣な顔を作って今度こそネックレスをつけた。
「ありがとう」
 ステラが微笑む。
 サファイアの瞳が喜びにうるんで美しかった。
「…………」
 アベルはその様子を少し離れた位置で眺めていた。その表情は場所にそぐわず険しい。
「アベル!マカ
 そんな彼の様子に気がついたのか、ステラは駆け寄るとネックレスを見せる。
「どう?似合ってる?」
「……ああ、おまえはなんでも似合うよ」
 その気のない声にステラは頬を膨らます。
「もう、アベルったら変よ」
「……そうかもな」
「あ、そうだ!」
 ステラは何かを思いついたように自身のバックを漁ると何かを取り出して差し出す。
「元気のないアベルには美味しいものをあげるわ! ほら、あーん」
 そう言って彼の口もとに押し付けられたのは、飴だった。可愛らしいピンク色の、ハートの形をした飴だ。
 彼はその飴を見てわずかに躊躇したが、結局は口を開く。
「美味しい?」
「………ああ」
 アベルは忌々しげにその飴をがりっと口内で噛み砕いた。

 ミモザはのんびりと夕方の王都を散策していた。『黒い密売人』との交戦が決まってしまったため、どのように戦おうかと作戦を練っていたのである。
 亜鉛 サプリ おすすめはっきり言って本物の犯罪者と戦うのは保護研究会のロランという老人以来となる。しかもあの時はレオンハルトが駆けつけるのが前提の上、ジーンもいるという状況だった。その上ロランはそこまで好戦意欲の高い人物ではなく、かなりの時間を戦わずに潰すことが出来たが、今回はそうはいかないだろう。
(遭遇した時点で戦闘になるかな)
 まだ相手がミモザのことをステラと誤認している状況のうちに不意打ちで倒せればいいが、それをしくじった場合の対処も考えておかねばならない。
 レオンハルトはああ言ったが、信号灯を灯した時点で相手は逃げる可能性は高いし、今回仕留め損なえば次はミモザの前には姿を現さないだろう。
(一回しか騙されてくれないだろうしなぁ)
 さすがに二回もステラとミモザを間違えさせるのは無理だろう。なんなら合言葉なりなんなりの対策を取られてより姿を捕捉しづらくなるかも知れない。
(一回でけりをつけたいよなぁ……)
 ふぅ、と息を吐く。相手はミモザよりも対人戦闘に慣れている可能性が高い。準備はし過ぎるほどにしたほうが良かった。
(ゴーヤ チャンプルー………ん?)
 視線を感じる。
 王都はミモザ達の故郷より遥かに人が多い。しかしそれに比例するように人の動向に無関心でもあった。このように見つめられるのはレオンハルトと共に行動している時以外では初めてだ。
 その視線の主が背後から近づいてくる気配を察して、ミモザは警戒しつつゆっくりと振り向いた。
「………よぉ」
「……アベル?」
 そこにはアベルが立っていた。
 藍色の髪に金色の瞳。歳を経るごとにレオンハルトに近づきつつあるその外見は、もしかしたら父親似なのかも知れなかった。
 ミモザは彼のことを疑うようにじーと見る。
「なんだよ」
 その視線にアベルは居心地悪そうにミモザのことを睨んだ。
「いや、脳みそパーになってないかなって」
「なってねぇよ」
 その返答にミモザはあれ? と目を見張る。
「なんで?」
「俺が聞きてぇよ」
 そこまで聞いてミモザは思う。この会話は意味不明だ。やり取りとして成立していない。
 大前提として『あの飴』の存在を知らなければ。
「ラブドロップ」
 ミモザは切り込んだ。
「食べてないの?」
「食ったよ」
「ーーなら、」
「だから知らねぇよ!」
 憤懣やるかたないという様子でアベルは怒鳴る。彼の精神はもうギリギリだったのかも知れない。その様子はふちのふちまマカ サプリで表面張力ぎりぎりで水を注がれたコップのように、感情が決壊して流れ出したようだった。
「俺が、元からステラに惚れてるからじゃねぇの? 惚れ薬飲んでもなんにもかわらねぇってことはよ」
 悔しげに、苦しげに彼は声を絞り出した。
「いっそのこと、脳みそパーになりたかったよ、俺だって」
 二人の間に沈黙が落ちた。ここでするような会話じゃないなとミモザは思ったが、だからと言ってじゃあどこなら相応しいのかもわからない。
 こんなどうしようもなくやるせない話をするのに相応しい場所など、もしかしたらこの世には存在しないのかも知れなかった。
「なぁ、ミモザ、お前もあの飴のこと知ってんのな」
「まぁ……」
「ーーってことは兄貴も知ってるよな、はは……」
「………」
「お前言ったよな、ステラの敵だって」
「うん」
「……っ! なんでそんなに割り切れんだよ……っ!!」
 耐えきれないというようにアベルは顔を歪めて叫ぶ。
「確かにあいつは間違ってる。悪いことをした。あいつおかしいよ、言ってもわからねぇんだ、わかってくれねぇんだよ、俺じゃ、あいつを止められねぇんだ」
 そして力無く俯く。拳を握っても振り上げることも出来ず、アベルは首を振る。
「けどさ、だからといってすぐに嫌いになんてなれねぇんだよ。今までのこと全部なかったことに出来ねぇんだよ。ずっとガキの頃から一緒にいるんだ。あいつは優しかった、優秀だった、格好良かった、それも全部本当なんだよ! なかったことにはならねぇんだ亜鉛 サプリよ!」
 そこまで言って、アベルは興奮に激しくなった呼吸を整えるように黙り込んだ。そして言う。
「なんでそんなに割り切れんだよ……」
 それは疑問ではなく批難の言葉だ。自分一人だけ楽な場所にいるミモザを責める言葉だ。
「……割り切れないよ」
 ミモザにはどうしようもない。アベルの苦しみはアベルが自らの意思で選び取った結果だからだ。
 そして同時にミモザの良心の呵責もまた、ミモザが選び取った結果だ。
「でも、割り切るって決めたんだよ。……僕が、僕であるために」
 のろのろとアベルは顔を上げた。その顔は先ほどまで興奮していたはずなのに血の気が引いて真っ白だ。
「そうかよ……」
「アベル、どうするつもり?」
 ミモザはアベルが嫌いだ。けれどもしもステラの罪を告発して保護を求めるならどこかその辺の騎士に口聞きをしてやっても構わない。
 そうすることで、きっとステラは色々なことを思い留まるかも知れない。
「……俺はあいつを見捨てられねぇ」
 しかしアベルは首を振った。
「どんな罪を犯しても、最低でも、最悪でも、あいつが悲しんだり酷い目にあったり、一人っきりで泣かせる気にはなれねぇんだ」
 ミモザのことを睨む。その目には先ほどにはなかった強い意志が宿っていた。
 痛みを覚悟した意志だ。
「説得は続ける。けど、あいつが犯した罪を、あいつ一人に背負わせることは俺にはできねぇ。……ミモザ、俺は」
 アベルはしっかりと自分の両足で立ち、姿勢を正した。金色の瞳に炎が灯る。
「どこまでもステラの味方だ。そう決めた」
「……そう」
 ミモザにはそれを止めることは出来ないだろう。それだけは理解できた。
アントシアニンの効果dha epa dhaサプリメント マカアントシアニン

 そこにはdha epa dha

 そこには美しい麗人が立っマカていた。
 背中まで真っ直ぐと伸びる銀の髪に月光を集めたかdha epa dhaのように輝くやや吊り目がちな銀の瞳、その身に真っ黒な軍服を纏う彼女は確かに美人だった。
 そして巨乳でもあった。
 ぽかん、とミモザは口を開けたゴーヤまま固まる。そんなミモザに彼女は再度にこりと笑いかけた。
「好きかしら?」
 その凄みのある笑顔に思わずミモザはこくこくと頷く。まぁ好きか嫌いかで言うと好きなので嘘ではない。
 彼女のたわわに実った胸を見て、それから自身の胸を見下ろした。12歳のミモザは年齢相応につるぺただった。
(悲しい)
 ついでに言うクロムの効能と双子にも関わらずステラの方がミモザよりも胸は大きかったりする。つまりミモザは胸の大きさでもステラに負けている。
(悲しい……)
 ずんと暗い表情で沈むミモザの頬を、チロは慰めるように両手で撫でた。そんな落ち込むミモザの姿を見て、女性はにんまりと微笑む。
「ねぇお嬢さん。わたくしに弟子入りをすれば、巨乳になるコツを教えてあ、げ、る」
「それって、ぐぇっ」
 その魅力的な提案に思わず釣られかけたミモザの襟首を掴んで引き止める手がある。レオンハルトだ。
 彼はミモザのことを猫の子のように襟首を掴むと、ずりずりと自分の元へと引きずり寄せた。
マカ と は人の弟子をくだらない方法で勧誘するのはやめてくれないか。マナー違反だ」
 じろりとその女性をにらむ。
「あらん、貴方のことだから弟子なんて使い捨て程度に思ってるかと思ったら、案外可愛がってるのね」
「さてな」
 女性の揶揄にレオンハルトは素知らぬ顔で応じる。
 2人の目線の先にばちばちと幻の火花が見えた。
(うーん?)
 ミモザは首を傾げる。彼女の服装、あれは王国騎士団の制服である。教皇が王国騎士団の制服を着ているわけがないから彼女はきっとオルタンシア教皇ではないのだろう。その時、彼女の横に立つ少年と目が合った。さらさらの黒髪をきっちりと切り揃えた少年はその黒い瞳を細めて爽やかに笑いかけてきた。
 年齢はミモザと同じくらいだろうか。清涼飲料水のCMに出れそうなくらいの爽やかさだ。ゴーヤ
 しばらく待ってみたが両者の睨み合いが終わる気配がなかったため、ミモザは少し考えてから口を開いた。
「レオン様は巨乳はお嫌いですか?」
「……巨乳はともかくあれはただのゴリラだ」
 憮然とした顔でレオンハルトは応じる。
「ひどいわゴリラだなんて。なんか言ってやってよ、ジーン」
 彼女は隣の爽やか少年に声をかける。彼は笑顔を崩さないまま答えた。
「先生がゴリラなのは否定できませんが、それはともかく僕の常識では金髪美少女は巨乳なんて単語は言わないので今の発言は聞かなかったことにします」
「おいおい全員クセが強すぎるぜ。まともなのは俺だけか?ちなみにお兄さんは胸より尻派だ」
「誰がお兄さんよ、ずうずうしい。おじさんの間違いでしょう?」
「あーん?自己紹介か?お、ば、さ、ん」
「いやぁ、元気なのはいいことですね」
 不毛な4人のやり取りを新たな声が遮る。それは静謐で落ち着いた男性の声だ。
「ですが皆さん、私の存在をお忘れではないでしょうか?」
 ゴーヤ紫がかった黒髪をオールバックに撫でつけ、すみれ色の瞳をした壮年の男性が実は女性の背後に隠れていた執務机に腰掛けていた。
 元々細い目をさらに細めてにっこりと微笑んで、彼は「そろそろ本題に入りましょうか」と厳かに告げた。
 どうやら彼がオルタンシア教皇聖下らしかった。

「報告は以上です」
 ガブリエルは真面目くさった顔でそう締めくくった。それに教皇はうんうんと穏やかに頷いて「レオンハルト君は何か付け足すことはありますか?」と尋ねる。
「特には。しかしこの異常は徐々に頻度が増えている様子があります」
「そうですね。とても気がかりです。しかし原因をつかめていない以上、対症療法を続ける他ないでしょう」
(ううっ)
 思わず罪悪感で胸を押さえる。ミモザがちゃんと前世の記憶を思い出せれば原因は判明するのだ。
 今わかっていることは3年後に姉がそれを解決するということだけだ。
(いや、待てよ?)
 ミモザの記憶にはとんでもなく強い狂化個体をステラが仲間と力を合わせて倒すシーンがある。しかしその原因を取り除いていたかまでは定かではない。
(もしかして、3年経っても解決しない可能性がある?)
 だとす亜鉛の効果ればそれはゆゆしき事態だ。いやしかしそんなに中途半端な解決をゲームをするプレイヤーが許すだろうか?
(よし!)
 ミモザは帰ったら記憶を思い出しやすくするおまじないを試すことに決めた。チロはそんなミモザの思考を見透かしてやれやれと首を横に振る。
「ところで彼女達はなぜここにいるのですか?」
 報告が一区切りついたところで、レオンハルトは王国騎士団の美女とジーンと呼ばれていた爽やか少年を目線で示して訊ねた。
「そんな邪魔そうに言わないでよ。要件があって来たに決まってるでしょ?」
 美女は口紅の塗られた唇を吊り上げて笑う。そしてちらりとミモザのことを見た。
「そうね。初対面の子もいるから自己紹介からしようかしら。わたくしはフレイヤ・レイアード。由緒あるレイアード伯爵家の長女にして、王国騎士団団長よ」
「僕はその弟子のジーン・ダンゼルと申します。以後お見知りおきを」
 そこまで言って2人してミモザのことをじっと見つめてくる。その視線にはっとしてミモザは慌てて「レオンハルト様の弟子のミモザと申します」と頭を下げた。
 試練の塔を終え御前試合にて成績を残し晴れて精霊騎士となった者の進む道は、一般的に2つに別れる。
王国騎士団に行くか、教会騎士団に行くか、である。
王国騎士団はその名の通り国に仕える騎士であり、教会騎士団も同様に教会に所属する騎士のことである。そしてどちらに行くゴーヤ チャンプルーのかの境目は出自だ。貴族は王国騎士団へ、平民は教会騎士団へと入る。稀に貴族にも関わらず教会騎士団へ入る者もいるが逆はない。つまり目の前にいる2人は確実に貴族であった。
 ミモザはすすっとさりげなくレオンハルトの背後へと移動する。田舎では貴族になどまず出会わないが、それでも無礼を働けばどのような目にあうかの見当くらいはつく。
 フレイヤはそれをどう思ったのか「あら可愛い」と微笑んだ。
「心配しなくても酷くしたりしないわよ。伯爵位を持つ聖騎士様の弟子に軽々しい真似はできないもの」
(伯爵位持ってたのか)
 今さらのことを知って驚く。我が事ながら自分の師に対しての知識が浅すぎる。言い訳をさせてもらえればレオンハルトは自分のことを話したがらない人であるし、これまで特に知らなくても困らなかったからだと言っておく。爵位を持っているのは知っていたが、そんなに上の方の位だとは思っていなかった。
 ちらりとレオンハルトを見上げると、彼は肩をすくめて見せた。
「最初は男爵位だったんだがな。授与される前に間が空いてしまってその間にもいろいろと功績が増えていったんだ。その結果なんの位にするか貴族達の間で意見が割れてな。色々と面倒になっていらないと言ったら吊り上げ交渉と誤解されて伯爵位になってしまった」
「はー…」
 ミモザのような一般庶民にはなんとも理解が追いつかない話である。まぁ、貴族としてもレオンハルトと友好関係を築きたかったのだろう。
 レオンハルトはいつも白い教会騎士団の制服を着ている。一般的に聖騎士はどちらの騎士団にも属さないマカ と は独立した存在のはずだが、元々が平民ということもあり教会騎士団との方が距離が近いのだろう。この世界の教会は宗教団体ではあるが政治的には市民の代弁者の役目も担っている。そのための教会騎士団であり抑止力として国もその存在を許容しているのだ。しかし貴族にとっては忌々しい存在だろう。最強の騎士が教会、ひいては平民寄りというのもよろしく思っていないに違いない。それを少しでも貴族側に引き寄せるために爵位を与えたとするのならばそのような高い待遇も理解できるような気がする。
(まぁ、難しいことはわからないけど)
 今のミモザにとって大事なのは、とりあえずフレイヤに軽々しく扱われる心配は低いということである。全力でレオンハルトの威を借りているが、社会的地位に関してはどうしようもない。
「今日わたくし達が来たのはね、『試練の塔被害者遺族の会』についての相談よ」
 その言葉を聞いてレオンハルトとガブリエルにぴりっと緊張が走った。
亜鉛 サプリポリ ペプチド亜鉛 の サプリマカ と は

 テーブルの上では亜鉛 サプリ

 テーブルの上では燭台アントシアニンの橙色の柔らかい灯りと暖色系でま亜鉛 サプリとめられた花が水差しへと生けられて穏やかな晩餐会を彩っていた。
 さて、ミモザという少女がレオンハルト邸を訪れて数日が過ぎようとしていた。今までほとんど来客がなく一人しdhaか卓を囲むことのなかったテーブルに二人の人物が腰掛けるようになって数日、マーサは今だに不思議な気持ちでその光景を眺めていた。
 テーブルを囲って初日、少女は神妙な顔をして挙手した。いわく「テーブルマナーがわかりません」。
 主は一瞬虚を突かれたような顔をした後、「礼儀作法の教師を雇おう」と告げてその会話を終わらせた。恐縮する少女に「今後弟子として同行してもらうことが増える。そポリ ペプチドの際にマナーがわからないようでは俺が恥をかく」と言い置いて。
 二人の間の会話は決して多くない。まぁ、『レオンハルトとの会話量』としては少女はぶっちぎりで多いのだが、一般的なものと比べると少ない方である。しかし二人の間に流れる空気は気安く、とても穏やかなものだった。
 これまでは食事などただの作業だと言わんばかりの速度でマナーは守りつつ食事をさっさとかき込んでいた主人が、今は少女のたどたどしいゆっくりとしたペースに合わせて食べている。気にしていない風に特に何を言うでもないが、同時に食べ終dhaわるようにワインや水を頻繁に口に運んでみたりゆっくりと咀嚼したりと無言で工夫を凝らしている様子は見ていて微笑ましい。そして少女がどのくらい食べ進んだのかを確認する際に彼女がその視線に気づいてにこりと小さく微笑むと、彼は困ったように苦笑を返すのだった。
 ミモザが訪れてまだ数日であるが、これまでただ重苦しく張り詰めていた屋敷の空気が柔らかいものへと変わりつつあった。

(何よりも旦那様の機嫌が良い)
 うんうん、とマーサは上機嫌で頷く。機嫌が良いのはいいことだ。それだけで職場の雰囲気が格段に向上する。よしんば機嫌が悪くともミモザと話していれば今までよりも遥かに短い時間で直るのだ。これには感謝の言葉しかない。
「ずっと居てくれればいいですよねぇ」
 マーサの内面を代弁するように、一緒に廊下アントシアニンの効果の掃除をしていたロジェが言った。燃えるような赤い髪にブラウンの瞳を持つ彼女は古株だらけのこの屋敷に置いて貴重な若者だ。ぴちぴちの20代の彼女は、彼女いわく「ぞっこんなダーリン」がおり、レオンハルトへ秋波を送ることのない貴重な人材であった。
「ひと月しかいないみたいだねぇ」
 残念に思いため息を吐く。
「えー、延ばさないんですかねぇ、延長、延長!」
「そんなことできるわけがないだろ。まぁ、また来てくれるのを祈るしかないねぇ」
 たしなめつつも「はぁ」とため息が出る。一度良い環境を味わってしまうとこれまでの状態に戻るのが憂鬱でならない。
 その時可愛らしい鼻歌が聞こえてきた。鈴を転がしたようなその明るい声は、ここ数日で聴き慣れたものだ。そちらを向くと廊下の曲がり角から予想通りの人物が姿を現すところだった。
「ミモザ様ぁ、おはようございますぅ」
 ロジェがぶんぶんと手を振って挨拶する。孤児院育ちの彼女は少々お行儀のマカ サプリ悪いところがあった。
 その声に少女は両手いっぱいに花を抱えて振り向いた。金糸の髪がさらりと流れ、青い瞳が優しげに微笑む。
「おはようございます。ロジェさん、マーサさん」
 その可愛らしい救世主の姿にマーサとロジェはほっこりと微笑んだ。
「毎朝せいが出ますねえ」
 手に持つ花束を示して言うと、彼女はああ、と頷いた。
「暇ですからね、わりと」
 これも彼女が来てからの変化だ。殺風景で飾り気のなかった屋敷に彼女は庭から摘んだ花を飾って歩く。最初は食卓の一輪挿しからじわじわと始まり、気づけば廊下から執務室までありとあらゆる場所へとそれは入り込んでいた。
 屋敷に勤める女性陣には大好評である。これまでそういったことをしたくても出来なかったのだ。主人に直談判する勇気が誰もなかったからである。しかし彼女は違う。ミモザはこれまで誰もなし得なかったことを何かのついでにひょいと「花飾っていいですか?」と聞いてあっさり許可をもらった猛者である。
「ミモザ様はぁ、お花がお好きなんですかぁ?」
 ロジェがにこにこと訊ねる。それにミモザは「いやぁ、特にそういうわけでは」と意外な返事を返した。
「そうなマカ と はんですかぁ?てっきり毎朝飾られているのでお好きなのかとぉ」
「そうですね。これは好き嫌いというよりは……」
 真剣な顔で彼女は言った。
「お花を飾ると家の運気が上がるので」
「運気」
「はい。運気です」
 曇りなきまなこである。
(まぁ、ちょっとオカルト?が好きな子みたいよねー)
 別に害はないのでマーサとしてはどうでもよかった。
「あのぅ、実はお願いがあるのですが」
 ミモザはちょっと困ったように言う。屋敷を訪れてすぐの無表情はなりを潜めている。緊張していたのだとは本人の談だが緊張しているのが周囲に見た目で伝わらないのはなかなかに損な性分だなと思う。
「どうしたんだい?」
 ミモザはもじもじと恥ずかしがりつつ「今日、レオン様は外出らしくて……」と言った。
「一緒に昼食をとってもいいでしょうか?」

 彼女の位置付けは微妙だ。お客様ではないが使用人でもない。主人の弟子として修行をし、家庭教師などから教育を受けているが、使用人としての仕事も少しこなしている。
 つまり彼女の「仕事の先輩方と仲良くしたい」という希望は的外れではないが、おかしな話でもある。
「ーで、連れてきたのか」 
「まぁ、断る理由がなくてねぇ」
 不機嫌そうにジェイドが言うのにマーサは肩をすくめたdha
「ふん、まぁいい、わたしは知らん」
 ふん、と顔をそらして使用人の控室であり、食事を取るテーブルの一番隅へとジェイドは腰掛ける。手にはもう昼食のプレートを持っていた。
 そこにミモザが昼食のプレートを持って現れた。彼女はキョロキョロと室内を見渡すとジェイドのちょうど正面の席へと腰を落ち着けた。
「なんでここに座る!?」
 ぎょっとしたようにジェイドが立ち上がる。
「え?」
 ミモザは不思議そうだ。
「またやってら」
 庭師のティムが呆れたようにそれを見てぼやいた。
 そう、何故だかミモザは蛙男ことジェイドに非常に懐いていた。
「席は他にいくらでも空いとろーが!!」
 ミモザはきょとんと「そうですね」と頷く。
「なら!何故!ここに座る!」
「すみません、誰かの指定席でしたか」 
 しぶしぶと立ち上がるのにロジェが「指定席とかないからぁ、大丈夫よぉ」と教えてあげる。その言葉に彼女はきょとん、としてから再び腰を下ろした。
「座るな!」
「でも誰の席でもないと…」 
「わたしが嫌なんだ!!」
「何故ですか?」
 首をひねるミモザに、ジェイドはびしっと指を突きつけた。
「いいか、わたしはな!顔のいい奴が大っ嫌いなんだ!」
 非常に大人げない理由だった。
「ジェイドさん」
 ジェイドのその言葉にミモザは珍しく少しむっとした表情になる。
「な、なんだ」
 自分からふっかけておいてジェイドは怯む。その顔をじっと見つめながらミゴーヤモザは「僕、そういうのはよくないと思います」と唇を尖らせた。
「はぁ?なんだと?」
「人の容姿をどうこう言うのは不謹慎です」
「褒めてるんだろうが!」
「でもジェイドさんはマイナスの意味でそう言っています」
 その指摘にジェイドはうっと言葉を詰まらせる。
「褒めてません」
「うっ」
 じぃっと恨みがましい目で見られるのに彼はたじろいだ。
「ミモザ様はぁ、なんでジェイドさん好きなのぉ?」
 ロジェが助け舟を出す。ミモザの視線はロジェへと移った。
「優しいからです」
「はぁ?優しくした覚えなど!」
 しかし返された答えにジェイドは思わずといった様子で声を上げた。再びミモザの視線がジェイドへと戻り、ジェイドは嫌そうに身を引く。
「確かにジェイドさんは大きな声を出します。でも理不尽な暴力を振るったりはしません」
「当たり前だろうが!」
「当たり前ではありません」
 そこでミモザは憂鬱そうに目を伏せた。
「嫌そうな態度は取ります、けれど僕の人格を否定するようなことは言いません。面倒だとは言います、しかし要領の悪い僕に何度も根気強く仕事を教えてくれます。あなたは優しい。だから……」
 顔を上げる。冬の湖のような静かな瞳がジェイドを見つめた。
「だから僕がつけあがるんです」
「つけあがるな!」
 ジェイドはふーふー、と肩で息をする。それを見つめつつ彼女は説明が足りなかったと思ったのか、考え考え言葉をつけたした。
「僕、修行を始めてからマッチョになりました。そのおかげで少し自信がつきました。僕はこれまで、何も言いませんでした。ずっと何も思ったことを言わず、そのくせ周りに期待をしていました。察して欲しいと、ポリ ペプチド自分は何も行動しないくせに」
 そこまで言って、「んー」とまた言葉を探す。
「だからこれからは、少しずつ思ったことを言おうと思ってます。僕は、貴方が好きです。人間として、仕事の先輩として、尊敬しています」
「わたしはお前が嫌いだ!」
 ジェイドの喚くような返答に、ミモザの表情は変わらなかった。ただ無表情に、ジェイドを見つめている。
 それにちっ、とジェイドは舌打ちをした。
「お前、そう言う時は落ち込んだそぶりで涙でも流してみろ。それだけでお前の容姿なら同情が引ける。不器用な奴め」
 そう言い捨てるとそのまま席について食事を始めた。
「一緒に食事をしてもいいですか?」
「好きにしろ、お前がどこで食べようとわたしは知らん」
 にこ、とミモザは笑った。
「僕ジェイドさんはツンデレだと思うんですけどどうですかね」
「ツンデレが何かは知らんがろくでもないことを言ってるだろうお前!なんでも素直に口にすればいいと思うなよ、小娘!」
 えへ、とミモザは花が綻ぶように笑った。
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 周囲は喧騒に包ま亜鉛

 周囲は喧騒に包まれていた。まだ日が高い時刻のため人の往来も激しい。故ゴーヤ チャンプルー郷の村では決して見ることのできな亜鉛 サプリ おすすめい賑やかで華やかな街の様子をステラは店主が店の奥から出てくるまでの時間を潰すために眺めていた。ふと自身の手が目に入る。右手の甲に浮かぶ花のような紋様のその花弁のうちの一枚が金色に輝くのを見てステラはふふふ、と満足そうに笑う。
「お嬢ちdha epa dhaゃん、計算が終わったよ」
 年配の店主がゆっくりと店の奥から出てくるとカウンターへ腰掛けた。彼は老眼鏡の位置を直しながら伝票と現金を弄る。
「全部でこのくらいの価格で買い取れるけどもね」
「わぁ!ありがとうございます!」
 なかなかの価格にステラは目を輝かせる。ステラの精霊騎士を目指す旅は順調に進んでいた。第1の塔では金の鍵を簡単に見つけられたし、野良精霊を倒すのも手間はかかるがそマカんなに難しくはない。初めは路銀稼ぎに苦労すると噂では聞いていたが、これだけ稼げるなら余裕で王都で過ごすことができる。
(ミモザは銅だったわね)
 卒業試合では遅れをとってしまったが、しかしミモザはミモザだ。やはりステラよりも劣っている。
(どうしてレオンハルト様はミモザを側におかれるのかしら)
 ステラの方が何においても優っているというのに。もしかしたら優しいレオンハルトはだからこそ妹に肩入れしているのかも知れなかった。いじめを受けて祝福も1番下のものしか受けることができない。確かに同情するにはサプリメント マカ十分かも知れない。
 上機嫌でお金を受け取ろうとして、店主はしかしそれを手で覆って渡すことを拒んだ。
「………? 店主さん?」
「これは一日で取ったのかい?」
 店主はじっとステラを探るように目を見つめてきた。それに首を傾げてステラは頷く。
「ええ、そう……」
「ステラっ!!」
 そこで息を切らしてアベルが駆けつけた。物資の買い出しの途中でステラだけ抜けてきたので心配していたのだろう。彼は必死の形相だ。ステラと店主の手元を見て、アベルは顔を真っ青に染めた。
「これは子どもの時から集めてた奴も混ざってるんだ!ガキの頃は換金なんてできなかったから!」
 そうして意味のわからないことを言う。ステラは首を傾げてアベルの言クロムの効能葉を訂正しようと口を開きーー、その口をアベルの手で塞がれた。
「………。まぁ、いいがね、厳密に一日に何匹狩ったかなんてのを取り締まるのはどだい無理な話なんだ」
 そう言ってため息をつくと店主は金をアベルへと渡した。
「けどねぇ、お嬢ちゃんら、やりすぎはいかんよ。多少は見逃されるけどね、あんまりにも度が過ぎりゃあ絶対に取り締まられる」
 ちろり、と店主の灰色の目が鋭くステラの目を射抜いた。
「密猟ってやつはね、加減を知らんといけんよ」
「………肝に銘じておきます」
 ステラの開きかけた口をまた手で押さえて、アベルは神妙な顔でそう言った。
「行くぞ」
 そのままステラの手を強引に取って歩き始める。その歩く速度の速さにステラは戸惑う。
「アベル、ねぇ、アベル!」
「1人で動くなって言っただろうがっ」
 怒鳴って、アベルはステラの手を離した。そのまま2人は橋の上で立ち止まる。無言の中で川のクロムの効能せせらぎだけが鳴っている。
 振り返らないアベルの背中は震えていた。
「アベル……?」
「わりぃ……、怒鳴るつもりはなかったんだ」
 アベルはゆっくりと振り返った。金色の瞳が、真っ直ぐにステラを見つめる。
「なぁ、ああいうことはやめよう」
「ああいうことって?」
「密猟だよ。一日に20匹以上狩るのはやめよう」
 ステラは首を傾げる。アベルが何故辛そうなのか、その理由がわからなかった。
「どうして?」
「法律違反だからだ。ミモザも言ってただろ。今回は見逃してくれたが、頻繁に繰り返すとまずい」
 ステラは表情を曇らせた。
「……アベルはミモザの味方なの?」
「お前の味方だよ!だから言ってるんだ!!」
 眉を顰める。ステラの味方なのにステラの行動を止める理由がわからない。
「でも、20匹以上狩ってもわたしは大丈夫なのよ。怪我もしないわ。そんな制限なんてなんの意味があるというの?」
「理由なんかどうだっていい!問題なのはそれが犯罪だってことだ!」
「アベル……」
「なぁ、ステラ、わかってくれ。俺はお前が大事なんだ。傷ついてほしくない」
「……わかったわ」
 本当はわからない亜鉛。けれどアベルがあまりにも辛そうで、ステラはそう言っていた。
「ステラ……っ」
 アベルが安心したように破顔してステラを抱きしめる。
「ごめんね、アベル。アベルの嫌がることをして」
「いいよ! いいさ、わかってくれれば!」
 ぎゅうぎゅうとアベルに抱きしめられながら、ステラは思う。
(アベルが気づかないようにしないと……)
 知られるたびにこうもうるさく言われては面倒だった。

 かたん、と軽い音を立てて扉を開ける。
「ああ、ミモザ。帰っていたのか」
「レオン様っ!?」
 部屋から出た途端にかけられた声にミモザは飛び上がった。
 彼もちょうど帰ってきた所だったのだろう。自室の扉を開けて入ろうとした時にミモザが隣の部屋から出てきて鉢合わせたらしい。
「なにをそんなに驚くことがある」
 彼はそんなミモザの反応に憮然とした。
「いや、急に声をかけられたもので……」
 ついでに言えば考えごとをしていたせいでもある。
 ステラのことだ。
 姉のあの行為をレオンハルトに相談するかどうかを悩んでいたら、急に声をかけられて飛び上がってしまったのである。
(どうしようかな……)
 軍警に届け出るというのは選択肢には最初からない。なにせ本人の自白以外に証拠のないことであるし、積極的にステラを追い込む気にはなれないのだ。
(覚悟が甘いな、僕も。……奪うと決めたのに良い人ぶりたいのか?)
 しかゴーヤ チャンプルーしミモザはステラから聖騎士の座をぶんどる覚悟はしていても、ステラから社会的な立場を奪う覚悟はしていなかったのだ。元々はせいぜいが悔しがって地団駄を踏んで欲しかっただけである。笑えるほどに甘っちょろい報復を目論んでいたのだ。
 しかし見捨てると決めたからには、ミモザも覚悟を決めなくてはならないのだろう。
 例えステラがどうなっても、見捨て続ける覚悟を。
「ミモザ?どうした?」
 黙り込むミモザに不審そうにレオンハルトが問いかけた。それに一瞬逡巡し、
「なんでもありません。第1の塔の攻略をしてきました」
 結局ミモザは黙ることを選択した。
 しかしこれはステラに温情をかけたのではない。むしろ逆だ。
(落ちるなら、とことん勝手に落ちていってくれ)
 今ここでステラの罪状を食い止めてあげる義理はミモザにはないのだ。
 ステラの行為に目をつむる。
 それがミモザなりの、『ステラを貶めたい』という自分が抱く悪意に対する礼儀であり、言い訳の許されない悪人になるという覚悟だった。
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「酷い目にあい亜鉛 サプリ

「酷い目にあいまサプリメント マカしたね」
 ミモザの足の怪我を見て、ジーンは言った。
 ミクロムの効能モザの視界を茶色い亀がのそのそと横切っていく。
 ここは軍警察の医務室である。騎士はもう帰ってしまい、手当てをしてくれた兵士も「聴取は終わったから帰って良いよ」と声をかけて立ち去ってしまポリ ペプチドった。
 目の前でうぞうぞと動く亀の頭をミモザはこつん、とこづいた。彼はびくり、と身を震わせて甲羅の中へとこもる。
「ちょっと」
 それにジーンは抗議の声をあげて亀を大事そうに回収した。
「人の守護精霊にいたずらしないでくださいよ」
「すみません、つい」
 目の前であまりに必死に歩いているので親近感が湧いてしまったのだ。
 ジーンは「まったく」と不機嫌に亀を懐へとしまった。
 亜鉛 サプリそれを見て通りでジーンの守護精霊の姿を見たことがなかったはずだとミモザは納得する。
 彼はいつもジーンの懐にいたのだ。
「被害届、出さなかったんですね」
「あれはただの試合です」
「違いますよ、ただの脅迫です。試合はリングの中で審判に見守られてやるものですよ」
「条件は平等でした」
 そう、ミモザは正々堂々と一対一で戦って、
「負けました」
 そう言ってうつむくミモザに、はぁ、とジーンはため息をつく。
「まぁ、ミモザさんの戦い方は野良精霊はともかく対人戦では不利ですからね」
「それは言い訳でしょう」
 ミモザにミスはなかった。全力で、今出せる能力をすべて出して負けたのだ。dha
「……ミモザさん」
「ミモザ」
 ジーンが何か言いかけたのをさえぎって、扉ががらりと開いた。それと同時に名前を呼んだ声の主にミモザはあんぐりと口を開ける。
「……レオン様」
「大丈夫か? 怪我の具合は」
 彼の動きに合わせて豊かな藍色の髪がさらりと流れる。いつも険しい顔をいっそうしかめ面にして彼はその金色の目をミモザの負傷した足にこらした。
 怪我の具合を一通り確認して、そこでやっと目元を安心したように緩ませる。
「綺麗に治療してもらったな。この分なら後遺症もなさそうだ」
「はい。えっと、どうしてここに……」
 その質問にレオンハルトは呆れたように「君が王都に滞在する間の身元引受人が誰だと思ってる」と言う。
「……あ」
「君に何かあれば俺に連絡が入る。特に騎士団が関係していれば隠蔽はアントシアニンの効果無理だと思え」
 さきほど事情聴取に対応してくれた騎士。確かに彼はミモザのことを知っているふうであった。もしかしたら彼が連絡をしたのかも知れない。
「では、僕はこれで失礼しますね」
 保護者の登場に長居は無用と悟ったのか、ジーンはそう言って軽くレオンハルトへ向けて頭を下げた。そのまま立ち去ろうとするのに「ジーン様!」と慌ててミモザは声をかける。
「ありがとうございました。助かりました」
「たいしたことはありませんよ。女の子を助けるのは男の甲斐性ですから」
 では、と爽やかに微笑むと、ジーンは今度こそ部屋を出て行った。
「…………」
 ジーンに礼を伝えるために浮かしかけた腰をミモザはベッドへと下ろす。自分も早くここから立ち上がって帰らなければと思うのに、ベッドに根が生えたかのように体が持ち上がらない。
「ミモザ」
 そんな弟子の様子にレオンハルトは目の前に跪いてその手を取ると「どうした?」と問いかけた。
「だいたいの事情は聞いている。君の行動は適切だった。アントシアニン何も悔いる必要などはない」
「…………負けました」
 そのレオンハルトの顔を見ていることができなくてミモザは顔をそらす。申し訳なさすぎて顔向けができなかった。
「貴方にいろいろと教えてもらって、訓練してもらって、それなのに……、負けました」
「ミモザ」
 レオンハルトの声にびくりと身を震わせる。彼はそれを宥めるように手を握るのとは反対の手でミモザの背中をなでた。
「一度負けたからといって、それがなんだと言うんだ」
「才能が、ないんです」
 ぽろりと弱音が落ちる。それは普段は奥底にしまい込んで見ないようにしている本音だった。
「どんなに頑張っても、魔力は少ないし、魔法もしょぼいのしか使えないし、祝福は全部銅だし……、それを得るためにどれだけの時間を僕が費やしたか……。それなのにお姉ちゃんはその半分の時間も労力もかけずに僕よりも良いものを得るんです」
 レオンハルトの手を強く握る。そうしないとみっともなく泣き出してしまいそうだった。
「才能か……、便利な言葉だな」
 その姿を冷静に見つめながら彼は静かに言った。その言葉にミモザは自分が恥ずかしくなる。それを労るように彼はミモザの手を握り返しながら言マカ サプリ葉を続ける。
「いやなに、その考えを否定するつもりはないよ。俺も才能があるとよく言われる。確かに、才のあるなしというものは存在するのだろう」
 そうだろう、とミモザは言葉には出さずに内心で頷く。レオンハルトは天才だ。これで才能なんて幻想だ、都合のいい言い訳だなどと言われたら、ミモザはもうどうしたら良いかわからない。
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 その強く言い聞かせるような言葉にミモザははっと彼の方を向いた。レオンハルトと目が合う。彼はその黄金の瞳をはちみつのようにとろりと緩ませて微笑んだ。
「配られたカードを精一杯有効活用できているか。そちらの方が重要だとは思わないか? ミモザ、君は最大限に与えられたものを活かせていると俺は思う。それは誇るべきことで、君のたゆまぬ努力の賜物だ」
「でも、その結果……」
 勝てなかったではないか、という言葉は、「それがどうした」という力強い言葉に打ち消された。
「たったの一度だろう、ミモザ。たったの一度負けたくらいでなんだ。次に勝てばいい!」
 まだ納得のいかなそうなミモザに苦笑して、「君にならそれができると俺は信じているよ」と彼は付け足した。
「できるでしょうか」
「できるさ」
「勝てるでしょうか」
「勝てるとも」
 彼の言葉は不思議だ。ミモザは自分の能力は信じきれないが、彼の言葉ならば本当にそうなのではと信じてしまポリ ペプチドう。
「………勝ちたいです」
「勝て、ミモザ」
 ぐっ、と勇気づけるように彼は手を握る。それを先ほどとは違う強さでミモザも握り返した。
「勝ちます。次は必ず」
「その意気だ」
 レオンハルトは破顔した。その滅多にない明るい表情に、ミモザもつられて口元が緩む。
「レオン様、……本当にそう思ってますか?」
「どうかな」
 しかしその表情はすぐに意地の悪いいつもの笑みへと変わった。
「俺は不公平な人間だからな。大切に思っている人を優先させるためならどんな嘘でも理屈でもこねるさ」
 そこまで言って、わずかに戸惑うようにぼそりと付け足す。
「だが、大切に思っているという感情は本物だよ」
 そのらしくない言葉にくすり、とミモザは笑う。レオンハルトも一度は眉をむすりとしかめたが、すぐに諦めたように微笑んだ。
 そのまま握っているミモザの手を揺らす。
「他にどんな言葉が聞きたい? いくらでも話してあげよう」
「もう充分です。お腹いっぱいです」
 ミモザはうつむいた。自分が今どんな表情をしているのかわからなかった。
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 木陰からその手亜鉛 の サプリ

 木陰からその手は伸びていた。大きアントシアニンくふしだった男の指先が『それ』とミモザの手にするモーニングスアントシアニンの効果ターメイス、チロのことを示す。
 チロからは黒い塵のような魔力のオーラが漏れ出ていた。
 慌てて背中にチロのことを隠すが、男のセリフからも、もう遅いのは明白だ。
 声とともに影から姿を現したのは引き締まった体に教会に属する精霊亜鉛 サプリ騎士であることを示す白い軍服を身にまとった美丈夫だった。
 夜空のように深い藍色の髪は豊かに脈打ちリボンで一つに束ねられて背中を流れ、その長い前髪で右目は隠されているものの黄金色の左目がこちらを眼光鋭く見据えていた。
 彼の背後にはミモザの背丈ほどもある翼の生えた大きな黄金の獅子が同じくこちらを睥睨している。
 その王者然とした堂々たる体躯の男にミモザは見覚えがあった。
(嘘だろ)
 心中でうめくゴーヤ チャンプルー
 彼の名はレオンハルト。
 いじめっ子のアベルの腹違いの兄であり、この国最強の精霊騎士である『聖騎士』の称号を冠する最強の男であった。

 『狂化個体』は取り締まりの対象である。
 その多くは欲望に理性を飲まれてしまい何をするかわからないからだ。
 実際、ゲームの中のミモザとチロも最初はささやかな嫌がらせをする程度だったのが段々とヒートアップしていき、最後の方はかなり直接的に主人公達に危害を加えようとしていた。
 ミモザは後退る。
「いや、これは……っ」
 なんとか言い訳を捻り出し逃げ道を探そうとして、不意にそのdha epa体が発火するような熱につつまれ、息が詰まって二の句が告げなくなった。
「……はっ」
 呼吸が荒くなる。動悸がする。
 一瞬レオンハルトが何かをしたのかと疑ったが、すぐに違うことに気がついた。
「チゥーー」
 チロが低く唸る。
 チロが身に纏った黒い塵のようなオーラが、チロを握る手を伝い、ミモザの身体も飲み込もうとしていた。
「……あっ、」
 体が勝手に臨戦態勢をとる。チロに引っ張られるようにその切先をレオンハルトへと向けた。
 彼にもミモザの状況がわかったのだろう。側に控えていた黄金の翼獅子に手をのばし、その姿を身の丈ほどの見事な刃ぶりの剣へと変じさせる。
(待て……っ!)
 心で命じるのに体が言うことを聞かない。いや、違う、あれは敵だ。
 自分達を拘束しに来た敵だ、と頭が警鐘を鳴らす。
「チチッ」 
 バレたからには殺すしかない、dha epaとチロが囁いた。
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「打ち合わせ亜鉛の効果

「打ち合わせをしゴーヤよう」と彼は言った。
「打ち合わせ」
「君の母アントシアニンの効果親にとって俺は憎いいじめっ子の義兄、つまりは敵だ」
「なるほど」
 つまり話がスムーズに進むように作戦を練ろうということだ。ミモザとしてもレオンハルトが責を負うのは本意ではないため頷いた。
「まずはレオン様が敵ではないマカ と はということを説明するところからですね」
「そうだな。あともう一つ、実は提案があってね。そっちの方も一緒に許可を得たい」
「提案?」
 首を傾げるミモザのことを真っ直ぐに見下ろして、レオンハルトは尋ねた。
「君、王都に来ないか?」
 ミモザはぱかん、と口を開けた。

「この度は、誠に申し訳ありませんでした」
 レオンハルトは深々と頭を下げた。ミレイはそれを険しい顔で見亜鉛の効果下ろしている。
 場所は家の玄関だった。突然の訪問に驚いたミレイは、すぐにミモザの顔の傷に気づいて顔をしかめた。そしてレオンハルトの説明を聞くにつれどんどんとその表情は固くなり、それはレオンハルトの謝罪を聞いてもやわらぐことはない。
 英雄の登場に最初は喜んで近づいて来ようとしたステラも、事情が事情だけにミレイに下がっていろと言われて家の中で大人しくしている。しかし好奇心が抑えられないのか少し離れた位置からこちらをちらりちらりと覗いて聞き耳を立てているようだった。
「レオンハルトさん」
 ミレイは重い口を開く。
「アベルくんは直接謝罪には来ないんですか?」
亜鉛「もっともな疑問です。しかし今アベルは謝罪に来れる状態ではありませんので代わりに俺が…」
「どういうことです?」
「反省していません」 
 そのあっさりと告げられた言葉に息を呑むと、ミレイは一層表情を厳しくした。
「それはどういうことですか!」
「ま、ママ!」
 慌ててミモザは仲裁に入る。
「レオン様は悪くないよ。そんなに責めないで。僕のことをアベル達から助けてくれたんだよ」
 ミモザの言葉にミレイの肩からほんの少しだが力が抜けた。それを見てミモザは畳みかける。
「元々レオン様は僕と時々遊んでくれてて、勉強とかも教えてもらってたんだ。このリボンをくれたのもレオン様」
 ミモザは首に結んだリボンを示す。ミレイが驚きに目を見張るのに、レオンハルトは「申し訳ありませ亜鉛ん」と再度頭を下げた。
「お嬢さんと勝手に関わりをもってしまって……、本当ならきちんとご挨拶に伺うべきだったのですが」
「レオン様は忙しいから、ママとタイミングが合わなくて」
「どうして教えてくれなかったの?」
「信じてくれないと思って」
 何せ相手は英雄だ。その言葉には信憑性があったのかミレイは納得したようだった。
「アベルは結局謝ってくれなかったの。それをカーラさんとレオン様は重く見て、今のままうちに連れてきても上べだけの謝罪になっちゃうからって。ちゃんと反省させてから謝罪させるって言ってくれたんだよ」
「そんなこと……、どうやって」
「カウンセリングを考えています」
 レオンハルトは下げていた頭を上げて静かに告げた。
「アベルの暴力行為は素人でどうこうできるものではないと考えています。なので然るべき機関に相談をして対応しようかと。とりあえずは通院させる予定ですが、それでも治らないようならdha epa入院させます」
 入院と聞いて、ミレイも少し怯む。しばし黙って考え込んだ後「信じていいですか」と問いかけた。
「信じていいですか。私たちは一度裏切られました。もう一度同じようなことは起こらないと信じていいですか」
「約束します」
 レオンハルトはしっかりと頷く。金色の瞳には誠実そうな光が瞬いていた。
「このようなことが起きないようにきちんと手を打ちますし、もし万が一があればすぐに入院させます。その件で一つご相談があるのですが」
「相談?」
「本当は、このような形で切り出すつもりはなかったのですが……」
 そこで彼は少し言いづらそうに逡巡し、そして何かを決心したかのように口を開いた。
「ミモザくんのことを、俺に預からせてもらえませんか」
「え?」
「彼女を俺の弟子として、秋休みの間王都で預かりたいのです」
「……どうして」
 ミレイの当然の疑問に同意するように一つ頷く。
「理由はいくつかあります。一つは今回の件。アベルのカウンセリングが進むまで、そしてミモザくんの気持ちが落ち着くまで、決して顔を合わせることがないようにしたいのです」
「それなら、」
 言わなく亜鉛 の サプリてもわかっている、というようにレオンハルトは手のひらを突き出し言葉を制する。
「弟のアベルを王都に、と思われるかも知れませんが、アベルに反省を促すためには母であるカーラさんと共に居させた方が良いと思うのです。カーラさんはアベルに言いました。もしもミモザくんと同じ目にアベルが合わせられたらその相手のことを憎むと。アベルはその言葉を聞いて多少、自分の行いの非道さを認識した様子でした」
 その言葉にミレイはハッとしたような表情をした後考え込む。ミレイもカーラの人柄は知っているのだ。前回のいじめ騒動の時もとても誠実に対応してくれたことも。
「そして二つ目は、単純にミモザくんには精霊騎士としての才能があるからです。このまま不登校のせいで実践の指導が受けられないというのは彼女にとって損失です。しかし学校に行くのは辛いでしょう。俺の下でならアベルと会うことなく、実践的な訓練ができます」
「……。ミモザ、あなたはどうしたいの?」
「できればレオン様のところで修行したい」
 葛藤するような母の言葉に、しかしミモザは縋り付くようにそう訴えた。
 その娘のいつにない強い主張にミレイは息を呑む。苦しげに目を伏せ、「……わかりました」とか細く告げた。
 はっとミモザは顔をあげる。その期待のこもった眼差しにミレクロムの効能イはため息をついた。
「ただし、手紙を書くように。秋休みが終わったらうちに帰してください」
「ありがとうございます」
 レオンハルトは深々と頭を下げ、
「ありがとう!ママ!」
 ミモザは手を合わせて喜んだ。
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 2人でトボトボゴーヤ チャンプルー

 2人でトボトボと畑に囲まれた道を歩く。まぁ、トボトボしているのはミモザだけでマカ サプリレオンハルトは相変わらずの堂々たる足取りだ。
 ミモザはちらりクロム、と無言で隣を歩く師を見上げた。
「あのぅ、もしかしてなんですが」
「うん?」
 ミモザの言葉を聞くように、レオンハルトは向き合う形で足を止めた。ミモザ亜鉛 サプリも立ち止まる。
「アベルのこと、嫌いですか?」
 その疑問に彼はにっと犬歯をみせて意地悪く笑う。それはイタズラが見つかった子供のような笑みだった。
「わかるか?」
「えっと、まぁ、そうかなって」
「嫌いだよ、あんな奴」
 そう吐き捨てるように言った後、ふと思い直したように彼は「ああ」と吐息を漏らした。
「しかしそんなにわかりやすかったかマカ と は、気をつけないといけないな」
「いえ、そこまであからさまではありませんでしたので。でもまぁ、楽しそうだなぁと」
「ふっふ、いやすまない。君にとっては災難だったとは思うのだが……」
 そこでどうにも堪えきれないというようにレオンハルトは笑みをこぼす。それを隠すように手で口元を覆った。
「嫌いな奴を正論で追い詰めるというのは愉快でつい、な。バレないように自重しなくては」
「……あなたにとって幸いであったなら僕も嫌な目にあったかいがあります」
「ここは不謹慎だと責める場面じゃないか?」
 不思議そうに首マカ と はを傾げるレオンハルトにつられるように、ミモザも「うーん」と首を傾げた。
 2人は鏡写しのように向き合って同じ方向へ首を傾げる。
「僕1人だったら嫌な目にあったっていうだけの話でマイナスで終わっちゃうんですが、あなたが喜んでくださるなら補填されてプラスの出来事になるじゃないですか。意味もなく嫌な目にあったわけじゃないと思えるので」
「ネガティブなのかポジティブなのかわからない理屈だな」
 まぁ、君らしいか、とレオンハルトは微笑む。
「まぁ、君がそう言ってくれると俺も遠慮なく面白がれるというものだ」
「悪い人ですね」
「言っただろう」
 首を傾げるのをやめてレオンハルトは笑った。
「俺は不公平な人間なんだ」
 それは悪党にふさわしいマカ凄みのある笑みだ。
「贔屓するべきは僕じゃなく家族なんじゃないでしょうか?」
 しかしミモザは首を傾げたままだ。ミモザのその疑問に、レオンハルトは笑みを深めた。
「ふふふ、不思議か」
「二人は仲が良いのだと思ってました」
「まさか。あの能天気で恵まれた弟が疎ましくてたまらないさ。格好悪いから言わないだけだ」
 そうだなぁ、とレオンハルトは周囲を見渡す。辺りに人影はなく、あるのは畑と用水路だけだ。
「食べ損ねた昼食でもどこかでとるか」
「よろしいのですか?誰かに見られたら……」
 ミモザとレオンハルトがぐるだとバレてしまうのではないか、そんな不安がよぎる。しかし彼はそんなミモザの懸念を一笑にふした。
「いじめられて落ち込んでいる子どもを慰めるだけさ」
「なるほど」
 それなら、とミモザは頷いた。

 2人並んで適当な木陰へと座り、畑を眺めながらサンドイッチを食べる。用意したコップには水筒からいつものミルクティーをそそいでいた。マカ
「俺の父親はどうしようもないろくでなしの呑んだくれでな、精霊騎士としては優秀だったようだが酒で問題を起こして軍を首になってからは更に荒れた。母親は娼婦でこっちも酒癖の悪いかんしゃく持ちでね。幼い頃は二人によってたかって殴られたものだよ」
 遠い記憶を思い起こすようにゆっくりとレオンハルトは語った。その口調は内容とは裏腹に随分とのんびりとしており欠片も悲壮感はない。
「ああ、同情は不要だ。母親は俺が幼い頃にあっさり死んだし、父親も俺の身体がでかくなって敵わなくなると大人しいものだったよ。それに俺は元から両親のことを好きではなかったし、なんの期待もしていなかった。まぁ可愛げのない子どもだったんだな」
 この傷も父親がやったものだ。と右目の火傷跡を見せる。
「幼い頃に、なんだったかな。火鉢の炭だったかなんだったかを押し付けられたんだ」
 ああ、火鉢ってわかるか、中に焼いた炭を入れる暖房器具なんだが、とジェスチャーをし始めるのに、「知ってます」とミモザは頷いた。
「見たことはありませんが、知識としては」
「そうか、正直今ではクロムの効能廃れて使ってるのなんて魔導石もろくに買えないような貧乏人だけだろう」
「そうなんですか」
 ミルクティーに視線を落としながらミモザが相槌を打つのに、レオンハルトは苦笑して頭を掻く。
「まぁ、可愛くない子どもは蔑ろにされて当然だ」
 誤魔化すように言われた言葉にミモザは顔をしかめた。
「……当然じゃないですよ」
 全然当然ではない。
「おかしいです」
「……そうか」
 レオンハルトは否定せず、何故かミモザを慰めるように頭を撫でた。慰められるべきはレオンハルトだというのに変な話だ。
「もしまたそのようなことがあれば、今度は僕が守ります」
「すまないが、俺はもう自分自身で身を守れるし君よりもずっと強い」
 そう言いつつもレオンハルトの口元は嬉しげに緩んでいる。ミモザはつまらなそうに口を尖らせた。
「アベルの母親のカーラさんと再婚した頃は一番穏やかだった。たった4年しか持たなかったがね。彼女は賢明な女性だった。親父の『病気』が再燃するとすぐさま切り捨てた。……一応俺のこともアベルとともに引き取るつもりだったようだ。しかしそれは親父が拒んだ。別に俺に愛情があったわけじゃない。カーラさんに嫌がらせがしたかったのさ」
 そこで彼はミルクティーで口を湿らせた。普段こんなに長く話すことのない人だ。どうやら話しずらいらしい。マカ サプリ先ほどからあまり視線が合わない。
「2人で王都へ行ってからの日々は最悪だったよ。しかしまぁ、王都にいたおかげで道が開けたとは言えるだろうか。俺は生まれつきガタイが良くて強かった。しばらくの間は精霊使いとして小銭を稼いで暮らしたよ。王都では需要に事欠かなかったからな。その関連で人に精霊騎士を目指してはどうかと言われてこうなったのさ」
 精霊使いというのは騎士の資格は持たないが精霊で戦うことを生業としている人達のことだ。騎士になるには色々と条件があるため、あえて騎士にならずに精霊使いとして働く人も多い。むろん、資格職なぶん、精霊騎士のほうが収入は安定していることが多いのだが。
 最初弟とカーラに会いに行ったのは安心させるためだったのだ、と彼は言った。
「彼女は俺のことも実の息子のように可愛がってくれていた。だから俺が無事であるということと、数年とはいえ穏やかに暮らさせてもらったことの恩返しもできたらと思っていたんだ。金は受け取ってはもらえなかったがね」
 苦笑する。伏せられた金色の瞳を憧れるように細め「彼女は理想の母親だった」と囁いた。
「弟のことも可愛がるつもりでいたさ。だが俺がくだらない親父の相手をしている間も、貧困に喘いでいる間も、あの弟は彼女のもとでぬくぬくと育っていたのだと思うと可愛がる気になれなくてな。この田舎の村で俺のことを笠にきて自慢するのを見ていると、ますます萎えてしまった。まぁ、あいつは別に悪くないさ。ただ逆の立場だったらゴーヤと思う事が時々ある。要するに、ただのみっともない嫉妬さ」
「そうですか、なら僕と同じですね」
 ミモザの言葉に、やっと彼はミモザのほうを向いた。ミモザはそれを見つめ返す。
「僕には出来のいい姉がいて、彼女は僕の欲しいものを全部持ってるんです。だから僕はそれが羨ましくて……」
 体育座りをしている膝に、こてん、と頭を預けてミモザは無邪気に笑った。
「僕たち、おそろいですね」
「……嫌なお揃いだな」
 苦虫を噛み潰したような顔をしてみせて、しかしすぐにレオンハルトは口元に淡い笑みを浮かべた。
「初めて人に話した」
「僕もです」
「内緒だぞ。格好が悪いからな」
「はい」
「君の話も内緒にしておいてあげよう」
「まるで共犯者みたいですね」
「まるでじゃないさ」
 ミモザが見つめる先で、彼は金色の目をにやりと歪めて悪いことに唆すような甘い声を出す。
「俺と君は共犯者だよ、間違いなく。だって一緒にアベルのことを陥れただろう」
 人差し指を一本立てて見せると、それをミモザの唇へと押し当てた。
「内緒だ」
 しー、と吐息を吐き出す彼に、ミモザも同意するようにしー、と息を吐き出した。
 2人は身を寄せ合って笑った。
dha epa dhadhadha epaマカ サプリ

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「難しいお話は終わったの?」
 その鈴の音を転がすような声は突然降ってきた。
 母がそのアントシアニン声の主を振り返る。
「ステラ」
dha epa「ごめんなさい。わたしも少しだけお話したいことがあって…」
 申し訳なさそうに恐縮して、けれど姿勢良く落ち着いたそぶりでその少女は微笑んだ。
 長いハニーブロンドが彼女の動きに合わせて優雅になびき、美しい晴れた空のようゴーヤな青い瞳が瞳を潤ませて微笑んだ。白いブラウスのワンピースが揺れる。
「妹を、ミモザを助けてくださってありがとうございます」
 ぴょこん、と可愛らしくお辞儀をする。
「ああ、当然のことをしたまでだ。礼を言われるようなことではないよ」
 気を削がれたような表情でレオンハルトは応じる。それにステラは気づいていないのか会話を続けた。
「いえ、おかげで妹は大きな怪我をアントシアニンの効果せずに済みました。ありがとうございます」
(怪我、してるんだけどなぁ……)
 ミモザはぽりぽりともうすでに血が固まりかけている傷口を掻く。まぁ、大きくないと言えば大きくはない。しかし自分で言うならまだしも、人に言われるともやもやとしてしまう。
 この姉に言われると特に、である。
 傷一つなく美しいステラを見つめ、擦り傷と泥にまみれ髪もちりぢりになってしまったミモザは微妙な顔をした。
「怪我をする前に助けられなかったことをここは責める場面だよ、ええと…」
 言い淀むレオンハルトに、
「ステラ、アントシアニンと申します」
 にこりと微笑んで彼女は言う。
「では、ステラくん。俺はレオンハルト・ガードナーと言う。こちらはレーヴェ」 
 レオンハルトが差し出した手を握り2人は握手を交わした。
「あ、わたしの守護精霊はティアラというんです。猫科で翼があるなんて、わたし達おそろいですね」
 そう、何故かはわからないが、ステラとレオンハルトの守護精霊は非常に似た造形をしているのであった。
 レオンハルトは翼の生えた黄金の獅子なのに対してステラは翼の生えた銀色の猫である。
 ティアラは紹介されたことが嬉しいのかなーん、と鳴いた。
(制作スタッフが猫好きだったのだろうか)
 なんにせよ、鼠であるチロにとってはどちらも天敵に違いない。
「そうか」
 ステラの台詞にレオンハルトは微笑ましげにふっアントシアニン、と笑った。ステラの頬が桃色に染まる。その顔はまるで恋する乙女だ。
 それをミモザはげんなりとした表情で眺めた。
(ゲームにそんな描写あったっけ?)
 いや確かなかった、はずだ。ステラがレオンハルトに恋しているなどと。まぁ思い出せないことの多いミモザの記憶などそこまで頼りにはならないのだが。
「それでは俺はそろそろ」
 握っていた手を離し、レオンは言うと身を翻そうとした。
「……っ、あの!」
 その時、意を決したようにステラが声を上げた。その横顔は何かを決意したかのように凛として美しかった。
「なんだい?」
「わたしにも!修行をつけていただけないでしょうか!」
(げ)
 あまりにも恐ろしい展開にミモザは青ざめる。
 時間だけがミモザのアドバンテージなのだ。それがほぼ同時に、しかも同じ師匠から教えを受けるなど才能にあふれるステラに対してミモザは敵う要素がない。
 しかしそんな事情はレオンハルトには知ったことではない亜鉛の効果だろう。彼がその申し出を受けることを止める権利はミモザにはない。
(どうしよう……)
 うろうろと視線を彷徨わせてそれは自然と自分の肩に腰掛けるチロへと着地した。
「チチ」
 その視線を受けるとチロは立ち上がり任せておけとばかりにサムズアップする。そのままおもむろに自分の背中から一際鋭い針を引き抜くと暗殺の準備は万端だぜ!と頷いてみせた。
「‥‥‥」
 ミモザは無言でそっとチロのことを両手でつつみポケットへとしまうとそのまま見なかったことにした。
 一方肝心のレオンハルトはというと決意みなぎるステラをみてふむ、と頷くと「では、これを君にあげよう」と一枚の紙に何事かをさらさらと書き込んで渡した。
 それを不思議そうに受け取るとその中身を見てステラの表情が曇る。
 ミモザにはその紙の中身が手に取るようにわかった。
 筋トレのメニューだ。
 ミモザにも渡されたそれがステラにも渡されたのだ。
 ステラはその紙の内容とレオンハルトを困惑したように交互に見ると「あのー」と口を開いた。
「わたしは精霊騎士としての修行をつけていただきたいのですが」
「もちろんだとも。精霊騎士には体力マカも重要だ。申し訳ないが俺はそれなりに忙しい立場でね。だから常に付きっきりで見てあげるということは難しい。ある程度の自主トレーニングをこなしてもらう必要がある。そのメニューを毎日継続して行うといい。きっと君の力になるだろう」
 その言葉にステラの表情は明らかに曇った。
 瞳にはわずかに失望の影がある。
「わたしでは、レオンハルト様に直接ご指導いただくには値しないということでしょうか」
 しゅんと肩を落とす姿はいかにも儚げで人の罪悪感を煽る風情があった。
 レオンハルトはその様子にわずかに拍子抜けをするような顔を見せたがそれは一瞬のことで、瞬きをした次の瞬間にはそれはいかにも誠実そうな真面目な表情へと切り替わっていた。
「そういうことではない。なんと言えば誤解がなく伝わるかな。君自身の価値がどうこうではなく物理的に難しいと言っているんだよ」
「すみませんでした。おこがましいお願いをしてしまって。ご迷惑をおかけするわけにもいきませんから、わたしは大人しく身を引きます」
 深々と丁寧に頭を下げる。
 そのしおらしい姿にこれは「いやいやそうじゃないんだ。君は何も悪くはない」と慰める場面だな、とミモザは白けた顔で眺めた。
 姉はこういうのが本当にうまい。本当に天然なのか計算なのか知らないが、相手の同情や気遣いを引き出して自分の都合の良いように物事マカ と はを進めようとするのだ。
 ポケットの中で殺させろといわんばかりに暴れ回るチロのことを抑えながら、つまらなそうに目を伏せたミモザに
「そうかい。なら残念だが俺が君にできることはないようだ」
 ばっさりと切り捨てるレオンハルトの声が響いた。
 思わず間抜けに口をぽかんと開けてレオンハルトの方を見る。
 ステラも予想外だったのか呆気に取られたような表情で彼を見つめていた。
 それににっこりと爽やかな笑みをレオンハルトは向ける。
 その笑顔は一点の曇りもなく美しく、まるで自分には一切の悪意も他意もありませんといわんばかりだ。
「君には君の進むべき道があるのだろう。いつか俺の元まで自力で辿り着くことを期待している」
 応援しているよ、といかにも善意100%の様子でステラの肩を力強く叩いてみせた。
(うわぁ)
 役者が違う。
 ミモザは舌を巻く。
 ステラのそれは無意識かもしれないがレオンハルトは明らかに意識的に無害を装って自身に都合の良い方向へと話を強引に軌道修正してしまった。
 たぶんステラの相手をするのが面倒くさくなったのだろう。
 そのまますぐに母のほうへと体ごと視線を向けると「では、先ほどのお話の通りにミモザくんのことはこれからは師として時々預からせてもらいますので」と話を戻した。
「本当に本日は弟が申し訳ありませんでした」
「そんな、いいのよ。レオンハルトさんのせいではないのだから。最初は強く責めるように言ってしまってごめんなさいね」
「いえ、また何かうちの弟やその他の子が問題を起こすポリ ペプチドようでしたらすぐに俺に連絡をください。しっかり対応をさせていただきますので」
 そう言ってきっちりと丁寧にお辞儀をしてみせる。母もお辞儀を返しつつどうか頭を上げてください。こちらのほうこそミモザをお願いします、と告げて話を締めくくった。
 結局ステラは驚いた表情のままレオンハルトが立ち去るまで再び口を開くことはなかった。
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 若い娘が楽クロムの効能

 若い娘が楽しそマカアントシアニンの効果うにはしゃぐきゃっきゃっと明るい声が響く。
 そこは王都のメインストリートに面した雑貨屋だった。生活や冒険に必要な物資やそれとは別に装飾品や化粧品なども売っていたりする店だ。亜鉛の効果店は若い娘も入りやすいような清潔でおしゃれな内装をしていた。
「ねぇ、見て! これ可愛い!」
 ステラは黄色い石のついたネックレスを手に取る。
「これ、こんなに可愛いのに魔道具なんですって。えっと、幻術を見せる魔道具……?」
 ネックレスにつけられたタグの内容を読んだ後、彼女は自分の胸元にそれを当ててみせた。
 にっこりと花のように微笑む。
「どポリ ペプチドうかしら?」
「よく似合ってるよ」
 言ったのはマシューだ。彼は微笑ましいものを見るように目を細めている。
 その時スッと一人の青年が前に進み出てそのネックレスを奪うとお会計のレジへと無言で持っていった。
「ジーンくん!」
 驚くステラに、彼は振り返ると照れくさそうに笑った。
「よければプレゼントしますよ」
「えっと、でもそんなの悪いわ」
 遠慮するステラに彼は微笑むとたった今購入したネックレスをステラの首へと持っていった。
「どうか受け取ってください。僕のためだと思って」
 そうし亜鉛 サプリてネックレスをつけてあげようとして、
「あ、あれ……?」
 金具の外し方がわからず四苦八苦する。
 それにステラはくすりと笑うと「貸して」とネックレスを受け取って金具を外した。
「え、えーと、すみません、慣れてなくて……」
「ねぇ、ジーンくん、つけてくれる?」
 ここの金具をこうするのよ、と実際に実演してみせてからステラはネックレスをジーンに渡した。
「ね、お願い」
 そして、ん、と首を差し出す。
「……では」
 それにジーンは多少照れたように頬を紅潮させながらも真剣な顔を作って今度こそネックレスをつけた。
「ありがとう」
 ステラが微笑む。
 サファイアの瞳が喜びにうるんで美しかった。
「…………」
 アベルはその様子を少し離れた位置で眺めていた。クロムその表情は場所にそぐわず険しい。
「アベル!」
 そんな彼の様子に気がついたのか、ステラは駆け寄るとネックレスを見せる。
「どう?似合ってる?」
「……ああ、おまえはなんでも似合うよ」
 その気のない声にステラは頬を膨らます。
「もう、アベルったら変よ」
「……そうかもな」
「あ、そうだ!」
 ステラは何かを思いついたように自身のバックを漁ると何かを取り出して差し出す。
「元気のないアベルには美味しいものをあげるわ! ほら、あーん」
 そう言って彼の口もとに押し付けられたのは、飴だった。可愛らしいピンク色の、ハートの形をした飴だ。
 彼はその飴を見てわずかに躊躇したが、結局は口を開く。
「美味しい?」
「………ああ」
 アベルは忌々しげにその飴をがりっと口内で噛み砕いた。

 ミモザはのんびりと夕方の王都を散策していた。『黒い密売人』との交戦が決まってしまったため、どのように戦おうかと作戦を練っていたのである。
 はっきり言ってゴーヤ本物の犯罪者と戦うのは保護研究会のロランという老人以来となる。しかもあの時はレオンハルトが駆けつけるのが前提の上、ジーンもいるという状況だった。その上ロランはそこまで好戦意欲の高い人物ではなく、かなりの時間を戦わずに潰すことが出来たが、今回はそうはいかないだろう。
(遭遇した時点で戦闘になるかな)
 まだ相手がミモザのことをステラと誤認している状況のうちに不意打ちで倒せればいいが、それをしくじった場合の対処も考えておかねばならない。
 レオンハルトはああ言ったが、信号灯を灯した時点で相手は逃げる可能性は高いし、今回仕留め損なえば次はミモザの前には姿を現さないだろう。
(一回しか騙されてくれないだろうしなぁ)
 さすがに二回もステラとミモザを間違えさせるのは無理だろう。なんなら合言葉なりなんなりの対策を取られてより姿を捕捉しづらくなるかも知れない。
(一回でけりをつけたいよなぁ……)
 ふぅ、と息を吐く。相手はミモザよりも対人戦闘に慣れている可能性が高い。準備はし過ぎるほどにしたほうが良かった。
(………ん?)
 視線を感じる。
 王都はミモザ達の故郷より遥かに人が多い。しかしそれに比例するように人マカ サプリの動向に無関心でもあった。このように見つめられるのはレオンハルトと共に行動している時以外では初めてだ。
 その視線の主が背後から近づいてくる気配を察して、ミモザは警戒しつつゆっくりと振り向いた。
「………よぉ」
「……アベル?」
 そこにはアベルが立っていた。
 藍色の髪に金色の瞳。歳を経るごとにレオンハルトに近づきつつあるその外見は、もしかしたら父親似なのかも知れなかった。
 ミモザは彼のことを疑うようにじーと見る。
「なんだよ」
 その視線にアベルは居心地悪そうにミモザのことを睨んだ。
「いや、脳みそパーになってないかなって」
「なってねぇよ」
 その返答にミモザはあれ? と目を見張る。
「なんで?」
「俺が聞きてぇよ」
 そこまで聞いてミモザは思う。この会話は意味不明だ。やり取りとして成立していない。
 大前提として『あの飴』の存在を知らなければ。
「ラブドロップ」
 ミモザは切り込んだ。
「食べてないの?」
「食ったよ」
「ーーなら、」
「だから知らねぇよ!」
 憤懣やるかたないという様子でアベルは怒鳴る。彼の精神はもうギリギリだったのかも知れない。その様子はふちのふちまで表面張力ぎりぎりで水を注がれたコップのように、感情が決壊して流れ出したようだった。
「俺が、元からステラに惚れてるからじゃねぇの? 惚れ薬飲んでもなんにもかわらねぇってことはよ」
 悔しクロムげに、苦しげに彼は声を絞り出した。
「いっそのこと、脳みそパーになりたかったよ、俺だって」
 二人の間に沈黙が落ちた。ここでするような会話じゃないなとミモザは思ったが、だからと言ってじゃあどこなら相応しいのかもわからない。
 こんなどうしようもなくやるせない話をするのに相応しい場所など、もしかしたらこの世には存在しないのかも知れなかった。
「なぁ、ミモザ、お前もあの飴のこと知ってんのな」
「まぁ……」
「ーーってことは兄貴も知ってるよな、はは……」
「………」
「お前言ったよな、ステラの敵だって」
「うん」
「……っ! なんでそんなに割り切れんだよ……っ!!」
 耐えきれないというようにアベルは顔を歪めて叫ぶ。
「確かにあいつは間違ってる。悪いことをした。あいつおかしいよ、言ってもわからねぇんだ、わかってくれねぇんだよ、俺じゃ、あいつを止められねぇんだ」
 そして力無く俯く。拳を握っても振り上げることも出来ず、アベルは首を振る。
「けどさ、だからといってすぐに嫌いになんてなれねぇんだよ。今までのこと全部なかったことに出来ねぇんだよ。ずっとガキの頃から一緒にいるんだ。あいつは優しかった、優秀だった、格好良かった、それも全部本当なんだよ! なかったことにはならねぇんだよ!」
 そこまで言って、アベルは興奮に激しくなった呼吸を整えるように黙り込んだ。そして言う。
「なんでそんなに割り切れんだよ……」
 それは疑問ではなく批難の言葉だ。自分一人だけ楽な場所にいるミモザを責める言葉だ。
「……割り切れないよ」
 ミモザにはどうしようもない。アベル亜鉛の苦しみはアベルが自らの意思で選び取った結果だからだ。
 そして同時にミモザの良心の呵責もまた、ミモザが選び取った結果だ。
「でも、割り切るって決めたんだよ。……僕が、僕であるために」
 のろのろとアベルは顔を上げた。その顔は先ほどまで興奮していたはずなのに血の気が引いて真っ白だ。
「そうかよ……」
「アベル、どうするつもり?」
 ミモザはアベルが嫌いだ。けれどもしもステラの罪を告発して保護を求めるならどこかその辺の騎士に口聞きをしてやっても構わない。
 そうすることで、きっとステラは色々なことを思い留まるかも知れない。
「……俺はあいつを見捨てられねぇ」
 しかしアベルは首を振った。
「どんな罪を犯しても、最低でも、最悪でも、あいつが悲しんだり酷い目にあったり、一人っきりで泣かせる気にはなれねぇんだ」
 ミモザのことを睨む。その目には先ほどにはなかった強い意志が宿っていた。
 痛みを覚悟した意志だ。
「説得は続ける。けど、あいつが犯した罪を、あいつ一人に背負わせることは俺にはできねぇ。……ミモザ、俺は」
 アベルはしっかりと自分の両足で立ち、姿勢を正した。金色の瞳に炎が灯る。
「どこまでもステラの味方だ。そう決めた」
「……そう」
 ミモザにはそれを止めることは出来ないだろう。それだけは理解できた。
亜鉛 サプリマカ と はゴーヤマカ と は