チロを構えdha epa

 チロを構える。そのまま大きく振りかぶると、目の前にいる敵へと向かdhaってー……、
(違う……っ!!)
 直前でミモザは理性を取り戻した。アントシアニンの効果しかし振りかぶった手の制御がきかない。目の前の景色がチカチカと赤と白に明滅を繰り返す。
「……っ、お前は僕のものだろうが……っ!!」
 あまりの怒りにミモザは怒鳴っていた。そアントシアニンの瞬間、身体のコントロールがミモザの手の内へと戻る。
「うんん……っ!」
 唸る。モーニングスターメイスの無数にある棘のうちの一つが振った勢いに合わせて槍のように伸び標的を突き刺そうとするのをーー、
 直前でその軌道を無理やりずらした。
「……っ」
 息を呑む。棘はレオンハルトの脇に生える木を貫いた。
 それにレオンハルゴーヤトはわずかに眉をひそめただけだった。おそらく直前で軌道が変わり、自身に当たらないことを悟ったのだろう。微動だにせず、けれど油断なく剣を構えて立っていた。その身体からは適度に力が抜けており、どこに攻撃を仕掛けてもすぐに対応されてしまうであろうことが素人のミモザでもわかった。
 その場に沈黙が落ち、膠着状態に陥る。
 ふっふっ、と荒い息を漏らしながら、ミモザは身体を支配しようとしていた狂気が引いていくのを感じていた。
「君はーー、」
 レオンハルトの声にびくりっ、と身をすくませる。
クロムの効能「ち、違うんですっ、いや、違わないんですけどっ、違くてっ、あの、襲うつもりなんてこれっぽっちも……っ」
そこまで半泣きで言ってから、棘がまだ木に突き刺さったままなことに気づき慌ててそれを戻す。
「あのっ、ごめんなさいっ!!」
 そのまま敵意がないことを示すために頭を深々と下げた。
 顔を上げられない。
(どうしよう……!)
 涙が溢れた。
(怖い)
 アベルなど比較にもならない。そこには圧倒的な強者がいた。
 その気になればミモザのことなど赤子の首をひねるように殺すことができるのだと、本能でわかる。
(いや、おそらく殺されはしない)
 心の中で必死に言い聞かせる。殺されはしない。相手は聖騎士である。殺人鬼ではない。
 けれど捕まってはしまうだろう。または処置とdha epa dhaしてチロを取り上げられてしまうかも知れない。
 守護精霊との接続を切り離すことは原則禁止だが、狂化個体に関しては適切な処置として行われることがあった。
「ふむ、自力で抑え込んだか」
 その声音には面白がるような感心するような響きがあった。彼はそのままミモザの近くに散らばる野良精霊の遺体を見て目を細める。
「いい腕だ。教会に引き渡すのは惜しいな」
 その言葉に思わずミモザは顔を弾かれたように上げる。
 その顔は恐怖と涙でぐちゃぐちゃだ。
 彼は悠然とミモザを見返すと、顎に手を当て思案するように首を傾げた。
「君、一生その狂気と付き合う気はあるかい?抑え続ける自信は?」
 にっこりと微笑んで、彼はまるで明日の天気でも尋ねるような調子でそう問いかけた。
 その笑顔はとても爽やかで整っているのに、ミモザには何故か悪魔の微笑みに見える。
 しかしこの悪魔に気に入られなければ未来がないことだけは理解できた。
「あります!」
 食い入るように答える。
「……素直に教マカ会で『処置』を受けた方が楽だぞ。一生自らの業に振り回されて苦しみ続けることになる」
「それでも……」
 ぐっ、と唇を噛み締める。
「それでもいいです。自分のこの、感情を手放すくらいなら」
 きっとチロを手放せばそれと引き換えにミモザはこの憎しみも妬みも投げ出せる。
 しかしそうした時のミモザは果たしてこれがミモザ自身であると自信を持って言えるだろうか。
 チロはミモザ自身だ。ならばチロを失ったミモザはもう元のミモザではないだろう。
 嫉妬も報復も、元々愚かな選択なのは重々承知だ。
「いいだろう」
 レオンハルトは満足げに頷いた。
「見逃してやる。君は自由だ」
 その言葉を聞いた途端、ミモザの体から一気に力が抜けた。しかし疑問は残る。
「……なぜ、」
「わからないか?君にならわかるはずだ」
「……?」
 そう言われてよくよく目を凝らす。レオンハルトは何も隠すことはないというように剣を翼獅子の姿へ戻すと両手を広げてみせた。
 その姿はどこからどう見ても愛想の良いただの美形だ。
 立っているだけできらきらしい。
 けれどミモザは歪みにも似た違和感を覚えた。
「あなたは、」
「うんdha epa?」
「あなたも、狂気に囚われているのですか?」
 肯定するように彼はにやり、と笑った。金色の目が肉食獣のような獰猛さで輝く。
 そしておもむろに右目を覆う前髪を手でかきあげた。
「……あ」
 そこには右目全体を潰すように火傷のような傷跡があった。まつ毛もないその右目の瞼がゆっくりと開かれる。
 ぎらぎらと輝く紅の瞳が真っ直ぐにこちらを射抜いた。
 慌てて翼獅子を確認する。しかし彼のオーラはまばゆいばかりの白色で、特に黒い塵のようなものは混ざっていない。
 しかしそれなのに何故かわかる。目の前の彼が自分と同類なのだと。
 そこにはシンパシーのような運命共同体に出会ったかのような何かが確かに存在していた。
「これをやろう」
 差し出されたのは彼の髪を結っていたリボンだ。黒色のビロードで出来たそれは黄色く透き通った石と、それを守るように描かれた黄金の翼獅子の刺繍がされたいかにも高価そうなものだった。それを外した途端に彼の翼獅子からは黒い塵が濃密に噴き出し、その瞳が赤く染まる。
 ミモザはその光景に目を見張った。
 彼は苦笑する。
「これについている宝石は実は魔導具の一種でね。幻術を見せる効果がある。大したものは見せられないが狂化の兆候を誤魔化すくらいの効果はある」
 ミモザは戸惑い、逡巡した。正直に言えば喉から手が出るほど欲しゴーヤい。これがあれば今後の憂いが大きく減るのは間違いなかった。けれど、
「でもこれがないと貴方が……」
「ああ、俺は家に帰れば予備がもう一つあるからいいんだ。それよりもこれがないと君はすぐにでも捕まってしまうよ」
 どうにも詐欺にも似た怖さを感じる。
 しかし悩みながらも結局ミモザはおずおずと手を伸ばしてそれを受け取った。
 その様子にレオンハルトは目を細めて微笑む。
「いいこだ。これがあれば同じように狂化した相手以外は騙せるだろう。狂化した者同士はなんとなく感じ取れてしまうのだよ。困ったことにね」
「……どうしてこんなによくしてくださるのですか」
「君には才能がある」
 間髪入れずに言われた言葉にミモザは目を見開いた。
「君は精霊との親和性が高いな。それは精霊騎士を目指す上ではとても素晴らしい才能だ。そしてその上で狂気に引きずられない意志の強さがある。正直感情のままに狂気に飲まれるようなら教会に引き渡すつもりだったよ。けれどコントロールできているなら誰に迷惑をかけるわけでもない。わざわざ取り締まる必要性を感じないな」
「………」
 その言葉を聞きながらもミモザの疑心暗鬼は収まらなかった。それをレオンハルトも察したのだろう。「そう警戒してくれるな」と苦笑する。
「……まぁ、共犯者の優遇だよ。俺も人間だからな。判断基準はわりと不公平なんだ」
 そう告げると彼はミモザを安心させるようにおどけた仕草でウインクをしてみせた。
「では、俺はこれで失礼するよ。せいぜいバレないように気をつけるんだな、検討を祈る」亜鉛
 パッと手を上げて颯爽と身を翻す姿は潔く、どこまでも爽やかだ。
 しかしその身と守護精霊から噴き出す濃密な闇の気配がそれを裏切って禍々しい。
「え、えっと……」
 ミモザは焦る。
 彼は恐ろしい。自分の命を簡単に脅かすことのできる存在への恐怖は拭えない。ーーけれど、
「待ってください!!」
 気づけばミモザは彼を引き止めていた。彼は怪訝そうな顔をして振り返る。
(……う、)
 ミモザなど比較にならないほどの濃密な黒い塵の濃度と威圧感に身がすくむ。
「あ、あの……」
 ごくり、と唾を飲む。恐ろしい。恐ろしいがこれを逃したら、きっとミモザに次のチャンスはない。
「ぼ、僕を貴方の弟子にしてくだひゃいっ!」
 ミモザは盛大に噛んだ。
dhaサプリメント マカdha epa dhaゴーヤ チャンプルー

 周囲にはdha epa

 周囲には濃密な黒い霧が立ち込めていた。霧のように見えるそマカれはあdha epaる人物から放たれるオーラである。その証拠に、もっとも霧の深い場所に佇む人がいた。
 いつもはリボンでまとめられている藍色の長い髪は無造作に背中に流され、理知的だった黄金の瞳は昏く淀み、全てを諦めたようだった。ポリ ペプチド白い軍服は霧に覆われて、その身を守るように黄金の翼獅子が寄り添っている。その瞳は紅く、昏い光をたたえていた。
「どうして……」
 ステラは絶望に顔を歪めた。その青い瞳からは次々に涙が溢れて落ちる。
「どうしてっ!レオンハルト様っ!!」
「どうして?それを君が聞くのか……」
 レオンハルトは何サプリメント マカかを投げ出した。それはオルタンシア教皇だ。彼は血まみれでぐったりとしていた。ステラはその姿に悲鳴をあげて駆け寄る。なんとか蘇生を試みるがどこからどう見ても手遅れなことは明白だった。
 レオンハルトはそれを興味なさそうに見下ろしながら翼獅子に手を触れた。彼は心得たように自身を黄金の剣へと変じる。それを構えて、彼は告げた。
「君は聞いていたんじゃないのか?知っていたんじゃないのか?それとも本当に何もわからないのか……。まぁ、いい。もう、いい。何もかもがどうでもいい」
 剣を振りかぶる。アベルがとっさに飛び出して、ステラのことを抱えて逃クロムの効能げた。
 轟音を立てて、レオンハルトの斬撃が空間を切り裂いた。そこだけ地面がぱっくりと割れ、軌道上の建物もすべてチーズのように焼き切れた。焦げた匂いと炎がちらちらと燃える。
「全てを壊す。この世界など、もうどうでもいい」
 風に煽られて右目があらわになる。そのただれた皮膚と紅玉の瞳を見てステラとアベルは息を呑んだ。

 悲報。敬愛する師匠が魔王だった。
(いや、ちょっと待て)
 寝起きの頭でミモザは考える。おかしい。ミモザの知るストーリーではレオンハルトは主人公を庇って死ぬはずなのだ。
 だとしたら今見た夢のストーリーは、
(2周目?)
 その瞬間にフラッシュバックのように夢でみた物語が一気に脳内に再生された。
「うぐっ」
 思わず顔を歪めて痛む側頭部アントシアニンを手で押さえる。
(……ああ、そうか、そうだったのか)
 そして納得した。
「僕はゲームの展開から、ちっとも抜け出せていなかったのか」

 2周目の物語は1周目の最後でステラが女神様にあるお願いをすることで幕を開ける。
 念願の聖騎士になると主人公は女神様への面会を許され、そして一つだけ願い事を叶えてもらえるというイベントが発生する。
 その際に出てくる選択肢は2つ。
 一つは『愛しいあの人と一生を共に』。
 これは1周目で攻略した恋愛キャラがいた場合に、そのキャラの愛情度とイベントを見た回数が基準値に達していると、そのキャラと結婚してエンディングを迎えるという王道展開へと続く選択である。
 そして問題はもう一つの選択肢。
『愛しいあの人を助けて』。
 これを選ぶことにより、画面は唐突にブラックアウトしてゲームは終わる。そしてタイトル画面へと戻るのだが、そこからもう一度初めからを選択してゲームを始めると1周目では攻略できなかった聖騎士レオンハルトがポリ ペプチド恋愛可能キャラクターとなり、そして物語が少しだけ変化するのだ。
 そして序盤でわかる一番の違い、それが主人公の妹ミモザが何故かレオンハルトに弟子入りしているのである。
 何故そのようなことになっているのかゲームの中では詳しく説明されないが、母親に話しかけると「学校でいじめられていたミモザのことをレオンハルトくんが気にかけてくれていて……、お勉強も見てくれて助かるわ」というような説明台詞を喋ってくれる。
 つまりはそういうことである。
 これまでのミモザが経験したのと同じ手順でゲームのミモザもレオンハルトに弟子入りしたのだろう。
 つまり全くゲームの展開から抜け出せていない。
 このルートの恐ろしいところは、やはり物語中盤でミモザは死ぬことだ。
 そして終盤でオルタンシア教皇も死ぬ。その2つが原因となってレオンハルトの狂化は進行し、魔王となって主人公達の前に立ちはだかることになるのだ。
「ええー…」
 ゲームから抜け出せていなかったショックと、どうしたらよいかが思いつかない現状にミモザは頭を抱える。
 一応レオンハルトは攻略対象なので、この後主人公に倒され正気に戻るのだが、ミモザが死んでしまうのがい亜鉛 サプリただけない。あとオルタンシア教皇が死んでしまうのもついでにいただけない。
(それにーー)
 もやっとした不快感が胸にこもる。この展開にまでいけばよっぽどのへまをしない限りはステラとレオンハルトは結ばれることになる。
(なんでこんなに不愉快なんだ……。まぁ、慕っている相手が気に食わない相手と結ばれると思えばこんなものか……)
 ステラとレオンハルトが寄り添っている姿など想像もつかない。想像しようとすると襲ってくる不快感に耐えきれず、ミモザはそれ以上考えることを放棄して別の方向へと思考を向ける。
(ーーようするに)
 ミモザとオルタンシアが死ぬとまずいわけである。逆に言えばその二つが起きなければレオンハルトがラスボス化することもない。
(本当に『僕』を殺したのは誰なんだ……?)
 全く思い出せない。今わかっているのはゲームの『ミモザ』は裏切られて殺されたということと、相手を『様』という敬称をつけて呼んでいたことだけだ。
(あとは状況的に、何かをお姉ちゃんに伝えようとして殺された……?)
 手がかりが少なすぎる。
 とりあえずミモザは死ぬなどごめんだ。
(犯人を……、見つけられればそれがベストだけど、難しいなら死ぬような状況を避けるだけでもいいはずだ)
 あと問題はオルタンシアだが、こちらは解決策が本格的に思いつかないのでひとまず保留とする。
「起きるかぁ……」
 昨日の勝利の高揚なマカ と はどはすっかり消え失せて、ミモザはぐったりとしながら布団から這い出した。
 今日はこれから王都に向かうというのになんとも目覚めの悪い朝である。
亜鉛 サプリ亜鉛の効果dha epa dha

 頭上ではきらクロムの効能

 頭上ではきらびやかなシャンデリアが揺れクロムの効能ていた。クリスタルと金細工でできたそれは、一つで平民の生涯年収ゴーヤを超えてしまいそうな品だ。灯りを反射して周囲を華やかに彩るその下では、人々のいろいろな思惑が交錯していた。
 本日はこのアゼリア王国の第一王子の婚約お披露目パーティーである。ここは王城のホールで様々な階級の人間が招かれている。亜鉛の効果本来ならばこういった場に招かれるのは上流階級の人間だけだ。そして実際にそういった人間がほとんどではあったが、中には学者や王子が個人的に親しくしている人なら平民であっても招かれていた。
 これは第一王子の意向である。
 現国王は病床に伏して久しい。意思の疎通はできるものの、その病態から執務のほとんどは何年も前から第一王子が代行していた。もはや彼が王だと言われても誰も否定はしないだろう。
 その第一王子アズレン・アルタイル・アゼリアゴーヤは実力至上主義者である。
 その慧眼により能力のある者を次々と登用し、それにより国の発展と安定に寄与してきた。巷では賢君と名高い。そのため今回のパーティーもその意向が色濃く反映されているのだ。
 しかしそれだけでは外聞が悪い。平民の『えこひいき』は要らぬ反感を買ってしまう。古くからの貴族の機嫌を損ねるのはいただけないのだ。そのため上流階級とプラスして王子の気に入っている人々、という闇鍋のようなパーティーが開催される運びとなったのだった。

 さて、そんな闇鍋の中、目立っている2人の人物がいた。それは2人の伯爵令嬢であっゴーヤた。
 1人はアイリーン伯爵令嬢。美しいピンクブロンドの巻き髪にエメラルドの瞳をした非常に愛らしい女性である。彼女は有数の商家を営む家柄で、その裕福さを示すように下品になりすぎない程度だがその髪飾りやネックレス、ドレスに使われる飾りまで、どれも上質な宝石で彩られていた。
 もう1人はセレーナ伯爵令嬢。艶やかな黒髪にキリリとした吊り目のオレンジの瞳をした麗人である。彼女は貴族の令嬢にも関わらず精霊騎士の称号を持つ才媛だ。シンプルながらも彼女のそのすらりとしたシルエットを優美に見せるドレスと控えめな宝飾品が美しかった。
 そんな2人はある一つのものを巡って対立していることで有名である。
 それはーー、
「ああら、アイリーン様、本日もとても可愛らしいドレスですこと」
 にっこりと微亜鉛笑んで口火を切ったのはセレーナだ。
「ごきげんよう、セレーナ様。あなたもとても素敵なドレスだわ。あなたのスタイルによく似合ってらっしゃって」
 アイリーンも微笑みを返す。ただドレスを褒めるだけの会話だが、両者の間にははっきりと火花が散っていた。カーン、とどこかでゴングが鳴る音の幻聴がする。
「とてもお若く見える装いだわ。確か最近の流行のものだったかしら。パニエがしっかり膨らんでいるから対比で腰が細く見えていいわね」
 そういいながらセレーナは扇子で自らの腰の曲線をなぞって見せる。近くにいた人々は思わずそのラインを目で追った。
「ありがとうございます。セレーナ様はとてもシンプルで大人っぽい装いですわね。わたくしはそういうドレスは似合わなくって……」
 そういいながらアイリーンは腕を寄せて見せる。彼女の豊満な胸がむにっと押しつぶされて強調され、それまでセレーナの腰を見ていた人々の目がそちらに移った。
 あまり胸の豊満でないセレーナはじとりとした目をし、多少ぽっちゃり気味の体型のアイリーンはセレーナの腰付亜鉛 の サプリ近を親の仇のように睨んだ。
「レオンハルト様はきっとご自分と並んだ時に身長の釣り合いのとれる女性がお好きでしょうね?」
「ええー、騎士様はきっと可愛らしくて愛嬌のある女性がお好きだと思うわ。だってたくましい女性はご同僚にたくさんいらっしゃるはずでしょ?」
「仕事の内容に無理解な妻なんてお呼びではないはずだわ!」
「まるで騎士団に勤めたことがあるような口ぶりですのね!資格を取っただけで働いたことなんてないくせに!」
「何よ!」
「そっちこそ何よ!!」
 ああ、また始まった。周囲の人間はその光景を見てため息をつく。これはこの2人が同じ場所にそろった際に起きる恒例行事だ。
 彼女たちの対立の原因、それは聖騎士レオンハルトの妻の座に一体どちらがおさまるかという争いだった。
「誰があの2人を同時に招待したんだ?」と誰かが尋ねたが、誰も答えなかった。
 そんなの第一王子殿下に決まっていたからだ。
 その時、新たな来賓の到着を告げる管楽器の音がした。皆が無礼をせずに済むように一人一人到着ごとに音楽隊が鳴らしてくれるのだ。噂をすればとはこのことだろう。皆の注目の中、到着したその人物は渦中マカ と はの聖騎士レオンハルトであった。
 反射で若い令嬢達が上げかけた黄色い歓声は、しかし尻すぼみで終わった。かの人の隣に立つ人物を見たからだ。
 その美丈夫な男は今日は軍服ではなく黒い礼服を身にまとっていた。美しい藍色の髪をいつものように黒いビロードのリボンでまとめ、胸元には青い花を飾っている。その長身やよく鍛えられた体躯も相まって、相変わらず令嬢達がため息を溢すような色男っぷりであった。しかし問題はその隣に当たり前のように佇む少女である。
 少女である。それだけでも大問題だ。これまで一切の女っけがなく、お見合いも色仕掛けもするりとかわしていた男が女を伴って現れたのだ。
 さらに問題なのは、その少女が女神もかくやというほどの美しさだったことだ。
 綺麗に短く切り揃えられたハニーブロンドには天使の輪が光っていた。物憂げに伏せられた瞳は深海を思わせる深い青色で雪のような白い肌によく映えている。頬は薄く桃色に色づき、小さな唇もまるで果実のように艶やかだ。
 そしてその少女の格好がさらなる大問題だった。その髪にはラピスラズリの髪飾りがつけられ、ドレスはシンプルなものだが足元からまるで夜空のように深い藍色がグラデーションを描く美しいものだった。そしてその首元に光る黄色い宝石のついたリボン。そこには黄金の翼獅子が刺繍され、それはレオンハルトdhaの髪を結えるものと全く同じだった。
 その全てが2人が深い仲であることを示していた。
 ふとレオンハルトが何か声をかけたのか、少女は扇状に覆われた長いまつ毛を震わせて伏せられていた瞳を上げた。途端に彼女の瞳に明るい感情が宿り、唇が笑みの形に緩む。
 その仲睦まじい様子に、思わずホールにいた招待客達は先ほど言い争っていた伯爵令嬢2人を見た。
 2人とも悪鬼の形相をしていた。
「ありゃ勝ち目がねぇわ」と誰かが余計なことを口にした。
 思いの外響いたその言葉に、2人は悪鬼のまま犯人を探さんと周囲を見回した。みんなは一斉に視線をそらし、見なかったふりをした。
ゴーヤクロムアントシアニン

 ミモザはクロムの効能

 ミモザは自分の身長よりも遥かに大きな岩の前に立っていた。
「行きます」
 宣言アントシアニンとともにメイスを振り上げ、岩亜鉛 サプリ おすすめに軽くこつん、とつける。
 するとメイスが触れたところから振動が波紋のように広がり、その衝撃波により岩は粉々に粉砕した。
「まぁまぁだな」
 その様子を背後で腕組みをして見ゴーヤていたレオンハルトは、しかし言葉とは裏腹に満足そうに頷いた。
 
 さて、レオンハルトと出会ってから半年が過ぎていた。スパルタもとい地獄の修行の成果により、ミモザのメモ帳のチェックリストは着々と埋まってきている。
 忙しいレオンハルトだったが、最初の3ヶ月はさすがに開け過ぎたと思ったのか定かではないが、それからは1~2週間dha epa dhaに一度、長くとも1ヶ月に一度にその指導の頻度は落ち着いていた。とはいえ忙しい聖騎士様である。指導の時間をしっかりと取れる時もあれば10分やそこらでいなくなることもざらであった。
「あのー」
 本日の修行が終わり、「では、今言ったことを次までにやっておくように」と告げて立ち去ろうとするレオンハルトをミモザは慌てて呼び止める。
「すみません、これを」
 差し出したのは水筒だ。
「これまで王都から時間をかけてきていただいてしまって……。お疲れでしょうに何も用意せず、すみません、気が利かなくて」
 よければお持ちくださいと決ゴーヤ死の思いで差し出す。何をその程度のことでと言うなかれ。これまでの人生まともに人と関わってこなかったミモザにとっては一大事である。
 今の今まで自分のことに精一杯で、師匠に対する配慮が欠けていたと気づいた時には愕然としたものだ。
「……そのような気遣いは無用だ」
「いいえ、ただでさえこんなによくしていただいて謝礼もお支払いしていませんのに」
 どうか、このくらいは。
 冷や汗をかきながら悲壮なくらい真剣な表情で訴えてくるミモザの様子に、レオンハルトはふっ、と笑った。
「そうか、では好意に甘えよう」
 受け取ってその場で飲もうとするのに慌ててミモザはおつぎします、と押し留めた。
「ミルクティーか」
「申し訳ありません、その、何がお好きかわからなくて……。僕の好きな飲み亜鉛物をいれてしまって」
 今になって後悔する。運動後に飲むようなものではなかった。
「いや、構わないよ」
 そういうと一気にあおるレオンハルト。
「あの、もしもご希望のものがありましたら次回から用意しておきます」
「そんなに気を使わなくても大丈夫だ」
 彼は安心させるように笑ってみせる。実に爽やかな笑顔である。しかしミモザにはその笑顔は安心材料にはならなかった。
「いえ、でも僕は弟子ですから。お世話になっている師匠に気を使わなければ、他にいつ気を使うのでしょう」
「……次からもミルクティーで構わないよ。君も飲みなさい。俺のほうこそ水分補給に気を使うべきだったな」
「……いえ」
 レオンハルトから差し出されたコップを受け取り自身もミルクティーを飲む。
 気づけば自然と2人並んでその場に座り、交互にミルクティーを飲む流れへとなっていた。
(き、気まずい……)
 これまで修行のために何度も顔を合わせているが、レオンハルト亜鉛の効果は手合わせをした後はあっさりと帰ってしまうためこのように何もしないで2人でいるというのは初めてである。
 冷や汗をかきながらなるべくこの時間を減らそうと早く飲み干すことを意識する。
「君は王都へ来たことはあるか?」
 しばらく黙ってそうしていたが、少ししてレオンハルトがそう声をかけてきた。
「……いいえ」
「そうか、では今度案内でもしてやろう。色々と遊ぶところもあるし、女の子が好きそうな店もある。どんなところが見てみたい?」
 その甘い誘いをするような声音にミモザは戸惑う。
「……あの、レオンハルト様?」
「うん?」
「そのようなお気遣いは結構ですよ?」
 レオンハルトは悠然とこちらを見返すと言葉を促すように首を傾げてみせた。
 その仕草は絶対の優位を確信している満腹な獅子が小動物をどう遊んでやろうかと睥睨する様にも似ている。
 それにつばを一つ飲み込むと、勇気を出して恐る恐るミモザは告げた。
「僕はあなたのファンではなく弟子なので、ファンサは不要です」
「ファンサ」
「ファンサービスの略です」
「いや、それはわかるが」
 ふむ、とレオンハルト。
「そのように見えたか」マカ と は
「はい、あの、無理に雑談も振っていただかなくとも大丈夫です。そのぅ……、これまでの様子から無口な方なのだと思って」
 言っていて間違っているのではないかと不安になる。
「あの、すみません。僕の勘違いでしたら申し訳ありません」
「……いや、君は間違っていない」
 ミルクティーを一息に飲み干して、遠くを見つめながらレオンハルトはそう告げた。
「君が察した通り、俺はあまり会話が得意なほうではない。普段はもう少し気をつけているのだが、いけないな、仕事や手合わせを通しての付き合いになるとつい失念してしまう」
「レオンハルト様は戦うのがお好きなのですね」
「うん?」
 また間違ったかとひやりとする。
「……えっと、仕事や手合わせの時に失念してしまうということなので、戦うのがお好きだから、ついそちらに夢中になってしまって会話でのやり取りを失念してしまうという意味なのかと」
 きょをつかれたような顔でこちらを見ていたレオンハルトは、しかしその言葉になにかを咀嚼するように空を見つめるとああ、と嘆息ともつかないような吐息を吐いた。
「そうだな、戦いは好きだ。それ一本で成り上がってきた。それしか取り柄のない男だからな、俺は」
「一つでも取り柄があるのはいいことです。僕には一つもないから、憧れます」
「……君は、俺の狂化の理由を尋ねないな」
「レオンハルト様も僕の狂化亜鉛 の サプリの理由をお尋ねになりません。気にならないといえば嘘になりますがそのようなお気遣いをしてくださる方に僕も不躾な真似はできません」
「いや、俺は単に興味がないだけだ」
 レオンハルトからコップが渡される。それを受け取ってミモザは水筒の中をちらりと確認する。残りはあと1/3ほどだ。
「俺は人への関心が薄いんだ。普段はこれでもうまく取り繕っているんだがな」
「そのような気遣いは僕には不要ですよ。弟子ですから。気遣うのは僕のほうです」
 じっと無言で見返してくるレオンハルトに、まだ言葉が足りなかったかと焦りえーと、とミモザは言葉を探す。
「そう、その、最初に言ったみたいに僕は貴方が好きなので!貴方が楽にしていてくれると僕も嬉しいです」
「……君は、変わっているな」
「いえ、普通です。普通誰でも好意を持っている相手にはくつろいでいて欲しいものですよ」
「……そうか」
 レオンハルトは何かを噛み締めるようにふっと笑った。
 そのまま2人は無言でミルクティーを飲み干した。
dha epadha epaゴーヤdha epa dha

「じゃあ、そ亜鉛の効果

「じゃあ、そろそろ塔の最上階へと行きましょうか……」
 なんとか立ち直ったジーン亜鉛 サプリは力無くそ亜鉛 サプリう言った。まだその顔色は青白い。
「ジーン様はもう鍵を見つけられたのですか?」
「え?ええ、先ほど拾いました」
 そう言って彼は、銀の鍵を取り出してクロムの効能みせた。
「……………」
「まぁさすがに金は見つかりませんよ。でも思ったよりすぐに見つかって良かったです」
「すぐに」
「ええ、入り口の近くに落ちてまして……」
 にこにこと悪気なく笑うジーン。ミモザは無言で自分のハンカチを取り出すとそこに包んでいた大量の銅の鍵をザーっと地面へとばら撒いた。
「えっゴーヤ チャンプルー、ミモザさん、随分と大量に……」
 言いかけて気づいたのか彼はそこで言葉を止めた。
「えっと」
「すぐに見つかったんですか」
「え、えーと、どうだったかな」
「入り口の近くで」
「もしかしたら結構込み入ったところにあったかも」
 誤魔化すジーンに、ミモザはにこりと笑いかけた。
「ジーン様、いつ塔にいらしたんですか?」
「えっと、10分、いや15分前かな」
「そうですか、僕は朝の5時頃からいます」
「…………」
「今、何時でしたっけね……」
「え、えーと」
 気まずそうにジーンは言った。
「そろそろ昼食時ですね……」
「ふっ」
 ふっマカ と はふっふっ、とミモザは笑う。声は笑っているがその表情は半泣きだ。
「ミモザさん……」
 痛ましいものを見る目でジーンはそっと、ミモザの背中に手を添えた。
「大丈夫です。現実をしっかり受け止めましょう。怖くないですよ」
「うわーん!!」
 ミモザは再び地に伏した。ジーンは先ほどのミモザのように無言でその背中を慰めるように撫でた。

「行きましょうか……」
「はい……」
 2人してしょんぼりと肩を落として歩く。階段を登ってすぐにその扉はあった。
 鍵をさす。回す。
 かちゃり、と小さな音を立ててその扉は開いた。本来なら初めての塔の攻略に感慨深くなるのかもしれないイベントを2人は無感情に淡々とこなした。
 感動するには2人とも心が疲弊しすぎていた。
 扉の向こうには暗闇が広がり、そこには一つだけ光が浮ゴーヤかんでいた。それはゆっくりとこちらへ近づくと右手の甲へと吸い込まれるように消えた。そこには花のような紋様が現れ、その花弁の内の一枚が銅色に染まった。それ以外の残り6枚の花弁は肌色のままである。
「塔の攻略の証ですね」
 そう言うジーンの手の甲には銀色の花弁が輝いていた。
 それを見てミモザはちっ、と舌打ちをする。
(そうだ、試しに……)
 第一の塔で得られる祝福、『観察』を使用してみる。使うことを意識してジーンのことを見てみると、そこにはゲーム画面で見るような表示が現れた。
『Lv強い MP多い HPまぁまぁ』
「………クソゲーめ」
 ミモザ、ハードモード確定の瞬間であった。

「では、僕はこれで」
 塔から出たところでジーンはそう言って小さく手を振って見せた。
「王都はこっちですよ?」
 来た道を指差して見せるがジーンは首を横に振る。
「先生に念のため塔の周辺を見て回るように言われているんです。野良精霊の異常が塔の周辺で起きると大変ですからね」
 ジーンは明言マカ と はしなかったがおそらくその『大変』の中には塔の試練を受けに来て被害者が出ると被害者遺族の会との関係がまた悪化しかねないことも含まれているのだろう。
 そういうことならとミモザも同行しようか迷ったが、ステラと鉢合わせしてしまう危険性を考えるとそれははばかられて結局見送ることにした。
 ただでさえ銀の鍵が見つからなかったせいで予定が押しているのだ。当初の予定通りにいっていればとっくに帰っている時間である。
 ジーンが塔の奥にある森へ立ち去っていくのを見送って、ミモザもさて帰るかと振り返ろうとしたところで、
「あら、ミモザ?」
 嫌な声がした。見たくはなかったが見ないわけにもいかないのでゆっくりと振り返る。
 風に靡くハニーブロンドの髪、星を孕んだサファイアの瞳、透き通った肌に淡いピンクの艶やかな唇。
 にこりと笑って、彼女は言った。
「奇遇ねぇ、こんなところで会うなんて」
「お姉ちゃん……」
 そばにはアベルを伴って、ステラがそこには立っていた。
「あら?」
 何かに気づいたようにステラは目を見張り、そしてそれを見てふふっ、と嬉しそうに笑う。
「ミモザ、もう塔に行ったのね」
 ミモザの右手を見たのだろう。そこにある紋様は塔を攻略したマカ と は証だ。
「銅だったの?残念だったわね。でも大丈夫よ、ミモザ」
 彼女は微笑んで、慰めるように続ける。
「次の塔ではきっと銀が取れるわ」
「……うん。そうだといいね」
 ゲームではミモザは銅しか取れない定めであった。次も銅の可能性が高い。
 対してステラはあえてハードモードを選択しなければ銀以上は確実だろう。
(不公平だなぁ)
 はぁ、とため息をつく。
 卒業試合以降ステラときちんと顔を合わせたのはこれで2回目だ。1回目は試合後の夕食だ。その時はさすがにステラも無言で非常に気まずかったが、今の様子を見るにどうやら立ち直ったらしい。
 まぁたった一度の負けでへこたれる人間ではないだろうとは思っていたが、それにしてもご機嫌である。
「……何かいいことあったの?」
「わかる?」
 うふふ、とステラは笑うと「ジャーン」と可愛らしいお花柄の巾着袋を取り出して見せた。
「これなーんだ!」
 そう言いながら巾着袋を開けてその中身を手のひらに広げて見せた。
 じゃらじゃらと流れ出てきたそれは大量の魔導石であった。
亜鉛 サプリ おすすめクロムの効能ゴーヤ

「君の服を買いに行dha

「君の服を買いに行くぞ」
 仕事から帰ってすぐにレオンハルトはそう告げた。
 喧騒の中サプリメント マカ、2人は街ポリ ペプチドを歩いていた。レオンハルトは行き先がもう決まっているのかすたすたと迷いなく歩く。
(服かー)
 先日だめにしてしまったが、着替えくらいは当然持ってdhaいる。別にそんなに焦らなくても、と呑気に構えるミモザに「ここだ」とレオンハルトは足を止めた。
「……え?」
 明らかにミモザのような人物は門前払いされそうな高級そうな店がそこにはそびえ立っていた。

「いらっしゃいませ、ガードナー様」
「服を用途に合わせて一式揃えてもらいたい」
「かしこまりました。こちらのお部屋へどうぞ」
 なんと個室である。通マカされた部屋は普通に広く、そこに次々と服が運び込まれて来る。部屋にはソファとテーブルがあり紅茶を出されたが、ミモザはそこに座ることもできず立ったままぽかんとその光景を眺めていた。
「ミモザ、座れ」
「れ、れれれレオン様、これは……」
「服を見に行くと言っただろう」
 その不思議そうな表情を見ているとなんだかおかしいのは驚くミモザのような気がしてきてしまう。
(いや、そんなわけない)
 ぶんぶんと気を取り直すようにミモザは首を振る。
「レオン様、僕お金ないです」
 昨日もらった3万ガルドはあるが、それ以外はほとアントシアニンんど母親に送ってしまっている。
「俺が出すから問題ない」
「も、問題です。出していただく理由が……っ」
 言いかけるミモザをレオンハルトは手で制した。
「これは必要経費だ」
「必要経費」
「ああ」
 彼は頷くとソファへと深く腰掛け優雅に紅茶を口に運んだ。
「昨日のように服がダメになることなどこれからざらにある。騎士団では制服は当然支給される。うちの屋敷の使用人の制服も同様だ。それと同じで君を管理する立場にある俺が服を支給するのは当然のことだ」
「な、なるほど」
 確かに仕事を任されるたびに服をダメにしていてはミモザはそのうち破産してしまう。しかし、
「高そうなお店ですよ」
 部屋に並べられた調度品を見て恐ろしくなる。どうせ汚れるなら汚しても罪悪感を抱かないdha epa dha価格帯の品にして欲しいものだ。
「安物だといざという時に足を引っ張られるからな」
「足を引っ張られる?」
「環境に適応できないとそれだけで体力を消費する。例えばいつも俺が着ている教会騎士団の制服はチソウ鳥の羽でおられた布でできている」
「はぁ」
 よくわかっていないミモザにレオンハルトはちらりと目線だけを流す。
「丈夫で軽い。羽に空気を含んでいるから寒い地域では暖かいし、暑い地域では通気性がいいので蒸れない。そして高級品だ」
「なるほどー」
 つまり戦うのに快適な服装を用意したいということのようだ。
「ここはチソウ鳥でできた服を取り扱っている。安い店ではまず見ないからな」
「ええと、ありがとうございます」 
 そわそわと相変わらず店の高級感に落ち着かない気持ちになりつつ、とりあえず事情に納得がいったのでミモザもレオンハルトの隣へと腰を落ち着ける。
「それにしてもチソウ鳥?って初めて聞きました。そんな鳥どこに住んでるんですかクロムね」
「過酷な環境にいることが多い鳥だからな。外敵の少ない環境に適応するために優秀な羽毛に進化したんだろう」
 なるほどー、と頷いて紅茶を一口飲む。高級そうな味がする。
「ちなみに名前の由来は過酷な環境に踏み入って餓死しかけた人間がその鳥を見つけて『ごちそうだ!』と叫んだというエピソードだ。焼いて食うと美味い」
「か、可哀想」
 まさかの由来だった。
「羽はむしられるわ食べられるわで散々ですね」
「まぁな」
「ガードナー様、準備が整いました」
 くだらない話を特に笑いもせず続ける師弟に、店の人間が営業スマイルで声をかけた。

「どれがいい?」と尋ねられた。店員もにこにこと笑って「お嬢様は大変お綺麗ですのできっとどれもお似合いですよ」とお世辞を言ってくる。
「えーと、どれがいいですかね」
 人間選択肢が多過ぎると決められなくなるものらしい。というか田舎のおばあちゃんがやっているような服屋にしか行ったことのないミモザにはあまりにもハードルが高すぎた。
「好みはないのか」
「好み……」
 随分と久しぶりな気がする質問にミモザは戸惑う。
(可愛いのがいいと言ったら呆れられるだろうか)マカ と は
 もごもごとしているミモザに「こちらなどはどうでしょう?」と店員のお姉さんが助け舟を出してくれた。勧められたのはシックだが所々にワンポイントでレースや花の飾りのついた可愛らしい白いワンピースだ。
 これまでそういった女の子らしい服に飢えていたミモザの目はそのワンピースに釘付けになる。
「ええと」
 それが欲しい、と口にする前に
「いや、それはダメだな」
 とレオンハルトが却下した。ガンッとミモザは頭に重しが乗ったような感覚に陥る。
「だ、だめですか」
 思わず声が震える。そんなミモザの様子にレオンハルトは怪訝そうな顔をしつつ「ああ、ダメだ」と断定した。
「スカートだと戦う時に動きずらい。ズボンに合わせられるものがいい」
 ミモザの目が点になる。
(そりゃそうだ)
 そりゃあ、そうだ。戦うのに都合が良い服を探しに来たのだ。
「えっと」
「そうだな、装飾がどこかに引っかかると困るから装飾のなるべくないものでシルエットの隠れる物にしてくれ」
「シルエットですか?」
 首を傾げるミモザにレオンハルトは頷く。
「内側に防具を付けているだろう。それがわからないような物の方がいい」
「確かに」
 ミモザも頷く。レオンハルトも同様だが、服の内側にミモザは薄い鎖かたびらのような防具を付けている。一応肩や胸あたりにもプレートのような物を仕込んでいる。それが隠れる服の方が見た目亜鉛の効果的にいいだろう。
「それに君のその鍛えた体格も隠した方が都合がいいしな」
「え?」
「君の容姿は相手の油断を誘える」
 にやり、と悪どい微笑みを浮かべる。しばし惚けた後、その意味を理解してミモザも同調するようににんまりと笑った。
「できるだけ油断を誘えるような子どもっぽい服装にしましょうか」
「そうだな、まぁ年齢相応に可愛らしい服がいい。なるべく争いごととは無縁そうな印象を与えたい」
 2人してふふふ、と笑い合う。
「相手を油断させて不意打ちできるような?」
「相手が君をあなどって手を抜くような」
 勝負が始まる前から自分に有利な状況を整えるのは大事なことだよ、とレオンハルトは囁いた。

 結局服はチソウ鳥の羽毛で編まれた少し丈が長くゆったりとした白いパーカーに黒のショートパンツを合わせたスタイルになった。黒いタイツも今まで同様に履くが、所々に針金のように細い金属を織り込んだ物になっていて強度が増している。
 ミモザは新しい服を着てくるりと一回転する。トップスはシンプルなデザインだが裾と袖口に黒い糸で花の刺繍が施されており可愛らしい印象を与えるものだった。ズボンなのは相変わらずだが、いままでのただただシンプルで男の子っぽいだけだった服装とは雲泥の差である。
「よく似合っている」
 レオンハルトは頷く。それに「えへへ」と笑ってから照れを誤魔化すようにミモザは「そういえば」と呟いた。
「なんだ?」
「えっと、変な質問なんですが、このパーカーとかってい亜鉛 サプリつからあるんですかね」
 そう、実はこの世界、服だけでなくちょくちょく現代にあるような代物を見かけるのである。
 レオンハルトは「なぜそんなことを気にするのか」という顔をしつつ「さあ」と首を捻った。
「パーカーでしたら確か今から150年ほど前にできたと言われていたはずですよ」
 その時控えていた店員さんが答えをくれた。
「150年前?」
「ええ、当時有名な発明家であられたハナコ様が作り出した物です」
(花子……)
 これはおそらく
(異世界チートだ)
「これもそうなのか」
「はい。ハナコ様は機械から食品に至るまでありとあらゆる物を発明致しておりましたから」
「あのー、花子様って……」
 共通認識のように会話が進むのに、恐る恐るミモザは尋ねる。それにレオンハルトは意外そうな顔をした。
「知らないのか?」
「えっと、すみません」
「歴史的な偉人だ。彼女により100年近く文明は進んだと言われている」
(でしょうねー)
 どうりで生活しやすいはずである。
「フルネームはハナコ・タナカと言う」
「う、嘘っぽい」
 『田中花子』はさすがにパーカーの売られている時代には少ない名前だろう。いや、それとも本当に本名だろうか。
「うん?」
「あ、えっと、なんでもないです」
「興味があるなら国立博物館に展示品があったと思うが……」
「あ、大丈夫です。全然、全然」
「そうか?」と怪訝そうにしつつレオンハルトは紙袋を渡してきた。思わず受け取ってからミモザは首を傾げる。
「これは?」
「うん?気に入ったんだろう?」
 それだけを言うとレオンハルトはさっさと店外へと向かってしまった。どうやらもう会計は済んでいるらしい。紙dha epa dha袋の中身を見ると、それは最初に店員に勧められた白いワンピースだった。
「レオン様!」
 慌ててミモザは追いかける。
「これっ!」
「仕事以外の時に着ればいい」
「えっと」
 言葉に詰まる。結局なんと言ったらいいかが分からず、紙袋を抱きしめるとミモザはなんとか「ありがとうございます」と声を捻り出した。
「ええと、その……」
 けれど他にも何か言うべきことがある気がして、店を出たところで立ち止まる。レオンハルトは怪訝そうに振り返った。
「ミモザ?」
「あ、あのっ!」
「聖騎士様でいらっしゃいますか?」
 しかしそれは言葉にならずに終わった。突然現れた声に遮られたからだ。
 振り返るとそこには上品そうな身なりをした少し年嵩の女性が立っていた。彼女はブラウンの髪をしっかりとお団子に結い上げて黒い服に身を包んでいる。
 まるで喪服のようだ。
「いかにもそうだが、貴方は?」
「私はジェーンと申します」
 その名前を知っている気がしてミモザは首を傾げる。しばし考えて、それをどこで『見たのか』を思い出して唖然とした。
「少しお時間をよろしいでしょうか」
 彼女は試練の塔被害者遺族の会の話の時に見た、試練の塔を封鎖して欲しいというコラムを書いた張本人であった。
マカ と は亜鉛 サプリマカ と はゴーヤクロム

 そこには美しマカ

 そこには美しい麗人が立っていた。
 背中まで真っ直ぐと伸びる銀の髪に月光ゴーヤマカ サプリを集めたかのように輝くやや吊り目がちな銀の瞳、その身に真っ黒な軍服を纏う彼女は確かに美人だった。
 そして巨乳でもあった。
 ぽかん、とミモザは口を開けたまま固まる。そんなミモザに彼女は再度にこりと笑いかけdha epaた。
「好きかしら?」
 その凄みのある笑顔に思わずミモザはこくこくと頷く。まぁ好きか嫌いかで言うと好きなので嘘ではない。
 彼女のたわわに実った胸を見て、それから自身の胸を見下ろした。12歳のミモザは年齢相応につるぺただった。
(悲しい)
 ついでに言うと双子にも関わらずステラの方がミモザよりも胸は大きかったりする。つまりミモザは胸の大きさでもステラに負けている。
(クロム悲しい……)
 ずんと暗い表情で沈むミモザの頬を、チロは慰めるように両手で撫でた。そんな落ち込むミモザの姿を見て、女性はにんまりと微笑む。
「ねぇお嬢さん。わたくしに弟子入りをすれば、巨乳になるコツを教えてあ、げ、る」
「それって、ぐぇっ」
 その魅力的な提案に思わず釣られかけたミモザの襟首を掴んで引き止める手がある。レオンハルトだ。
 彼はミモザのことを猫の子のように襟首を掴むと、ずりずりと自分の元へと引きずり寄せた。
「人の弟子をくだらない方法で勧誘するのはやめてくれないか。マナー違反だ」
 じろりと亜鉛 サプリ おすすめその女性をにらむ。
「あらん、貴方のことだから弟子なんて使い捨て程度に思ってるかと思ったら、案外可愛がってるのね」
「さてな」
 女性の揶揄にレオンハルトは素知らぬ顔で応じる。
 2人の目線の先にばちばちと幻の火花が見えた。
(うーん?)
 ミモザは首を傾げる。彼女の服装、あれは王国騎士団の制服である。教皇が王国騎士団の制服を着ているわけがないから彼女はきっとオルタンシア教皇ではないのだろう。その時、彼女の横に立つ少年と目が合った。さらさらの黒髪をきっちりと切り揃えた少年はその黒い瞳を細めて爽やかに笑いかけてきた。
 年齢はミモザと同じくらいだろうか。清涼飲料水のCMに出れそうなくらいの爽やかさだ。
 しばらく待ってみたが両者の睨み合いが終わる気配がなかったため、ミモザは少しアントシアニン考えてから口を開いた。
「レオン様は巨乳はお嫌いですか?」
「……巨乳はともかくあれはただのゴリラだ」
 憮然とした顔でレオンハルトは応じる。
「ひどいわゴリラだなんて。なんか言ってやってよ、ジーン」
 彼女は隣の爽やか少年に声をかける。彼は笑顔を崩さないまま答えた。
「先生がゴリラなのは否定できませんが、それはともかく僕の常識では金髪美少女は巨乳なんて単語は言わないので今の発言は聞かなかったことにします」
「おいおい全員クセが強すぎるぜ。まともなのは俺だけか?ちなみにお兄さんは胸より尻派だ」
「誰がお兄さんよ、ずうずうしい。おじさんの間違いでしょう?」
「あーん?自己紹介か?お、ば、さ、ん」
「いやぁ、元気なのはいいことですね」
 不毛な4人のやり取りを新たな声が遮る。それは静謐で落ち着いた男性の声だ。
「ですが皆さん、私の存在をお忘れではないでしょうか?」
 紫がかった黒髪をオールバックに撫でつけ、すみれ色の瞳アントシアニンの効果をした壮年の男性が実は女性の背後に隠れていた執務机に腰掛けていた。
 元々細い目をさらに細めてにっこりと微笑んで、彼は「そろそろ本題に入りましょうか」と厳かに告げた。
 どうやら彼がオルタンシア教皇聖下らしかった。

「報告は以上です」
 ガブリエルは真面目くさった顔でそう締めくくった。それに教皇はうんうんと穏やかに頷いて「レオンハルト君は何か付け足すことはありますか?」と尋ねる。
「特には。しかしこの異常は徐々に頻度が増えている様子があります」
「そうですね。とても気がかりです。しかし原因をつかめていない以上、対症療法を続ける他ないでしょう」
(ううっ)
 思わず罪悪感で胸を押さえる。ミモザがちゃんと前世の記憶を思い出せれば原因は判明するのだ。
 今わかっていることは3年後に姉がそれを解決するということだけだ。
(いや、待てよ?)
 ミモザの記憶にはとんでもなく強い狂化個体をステラが仲間と力を合わせて倒すシーンがある。しかしその原因を取り除いていたかまでは定かではない。
(もしかして、3年経っても解決しない可能性がある?)
 だとすればそれはゆゆしき事態だ。いやしかしそんなに中途半ポリ ペプチド端な解決をゲームをするプレイヤーが許すだろうか?
(よし!)
 ミモザは帰ったら記憶を思い出しやすくするおまじないを試すことに決めた。チロはそんなミモザの思考を見透かしてやれやれと首を横に振る。
「ところで彼女達はなぜここにいるのですか?」
 報告が一区切りついたところで、レオンハルトは王国騎士団の美女とジーンと呼ばれていた爽やか少年を目線で示して訊ねた。
「そんな邪魔そうに言わないでよ。要件があって来たに決まってるでしょ?」
 美女は口紅の塗られた唇を吊り上げて笑う。そしてちらりとミモザのことを見た。
「そうね。初対面の子もいるから自己紹介からしようかしら。わたくしはフレイヤ・レイアード。由緒あるレイアード伯爵家の長女にして、王国騎士団団長よ」
「僕はその弟子のジーン・ダンゼルと申します。以後お見知りおきを」
 そこまで言って2人してミモザのことをじっと見つめてくる。その視線にはっとしてミモザは慌てて「レオンハルト様の弟子のミモザと申します」と頭を下げた。
 試練の塔を終え御前試合にて成績を残し晴れて精霊騎士となった者の進む道は、一般的に2つに別れる。
王国騎士団に行くか、教会騎士団に行くか、である。
王国騎士団はその名の通り国に仕える騎士であり、教会騎士団も同様に教会に所属する騎士のことである。そしてどちらに行くのかの境目は出自だ。貴族は王国騎士団へ、平民ゴーヤ チャンプルーは教会騎士団へと入る。稀に貴族にも関わらず教会騎士団へ入る者もいるが逆はない。つまり目の前にいる2人は確実に貴族であった。
 ミモザはすすっとさりげなくレオンハルトの背後へと移動する。田舎では貴族になどまず出会わないが、それでも無礼を働けばどのような目にあうかの見当くらいはつく。
 フレイヤはそれをどう思ったのか「あら可愛い」と微笑んだ。
「心配しなくても酷くしたりしないわよ。伯爵位を持つ聖騎士様の弟子に軽々しい真似はできないもの」
(伯爵位持ってたのか)
 今さらのことを知って驚く。我が事ながら自分の師に対しての知識が浅すぎる。言い訳をさせてもらえればレオンハルトは自分のことを話したがらない人であるし、これまで特に知らなくても困らなかったからだと言っておく。爵位を持っているのは知っていたが、そんなに上の方の位だとは思っていなかった。
 ちらりとレオンハルトを見上げると、彼は肩をすくめて見せた。
「最初は男爵位だったんだがな。授与される前に間が空いてしまってその間にもいろいろと功績が増えていったんだ。その結果なんの位にするか貴族達の間で意見が割れてな。色々と面倒になっていらないと言ったら吊り上げ交渉と誤解されて伯爵位になってしまった」
「はー…」
 ミモザのような一般庶民にはなんとも理解が追いつかない話である。まぁ、貴族としてもレオンハルトと友好関係を築きたかったのだろう。
 レオンハルトはいつも白い教会騎士団の制服を着ている。一般的に聖騎士はどちらの騎士団にも属さない独立した存在のはずだが、元々が平民ということもあり教会騎士団との方が距離が近いのだろう。この世界の教会は宗教団体dhaではあるが政治的には市民の代弁者の役目も担っている。そのための教会騎士団であり抑止力として国もその存在を許容しているのだ。しかし貴族にとっては忌々しい存在だろう。最強の騎士が教会、ひいては平民寄りというのもよろしく思っていないに違いない。それを少しでも貴族側に引き寄せるために爵位を与えたとするのならばそのような高い待遇も理解できるような気がする。
(まぁ、難しいことはわからないけど)
 今のミモザにとって大事なのは、とりあえずフレイヤに軽々しく扱われる心配は低いということである。全力でレオンハルトの威を借りているが、社会的地位に関してはどうしようもない。
「今日わたくし達が来たのはね、『試練の塔被害者遺族の会』についての相談よ」
 その言葉を聞いてレオンハルトとガブリエルにぴりっと緊張が走った。
亜鉛 サプリ亜鉛 サプリマカ サプリマカ

「省エネだな」 クロムの効能

「省エネだな」
 訓練の途中、レオンマカハルトはそうつぶやいた。
「え?」
「君の戦い方のことだ」
 おそらゴーヤく休憩に入るつもりなのだろう。構えていた剣を下ろし、彼は軽く汗を拭う。
「君の使う技はどれも形態変化だ。衝撃波についても俺は斬撃を形にして飛ばすのに対し、君は触れたものに衝撃波を叩き込むスタイルだろう」
マカ サプリ それを見てミモザはその場に座り込む。正直もうへとへとで立っているのがキツかったのだ。
 そんなミモザを彼は見下ろした。
「君の攻撃はことごとく何も作り出さない」
「……はぁ」
 ディスられているのだろうか、とも一瞬思ったが、声のトーンと態度からおそらく違うのだろう。彼の瞳に映る感情は、感心だ。
「無から亜鉛 の サプリ有を生み出すのと、すでにあるものを利用するの、どちらがよりエネルギーを消費するかなど言わなくてもわかるだろう?3時間ほど打ち合っているが、君の魔力はあまりにも減っていない」
「それはレオン様も……」
 特に魔力切れを起こしている気配はない。MP量の見えないミモザではわからないが、まだまだ余裕そうに見える。そんなミモザを師匠はじっとりと睨んだ。
「俺はペース配分をしている。しかし君は何も考えず全力で打っているだろう」
「……うっ」
 図星だ。ぐうの音もでない。
「…にも関わらずアントシアニン、MP量を見てもいつまでもゆとりがある。君の元々の魔力量はそこまで多いわけではないにも関わらず、だ」
 当たり前のように金の祝福を授かっているレオンハルトである。
「つまり君の攻撃は使用するMP量が極端に少ない。おそらく1~2程度しか使っていないんじゃないか」
「……はぁ」
 褒められているのはなんとなくわかるが、わからない。それはそれだけ一撃に威力がないということと同義ではないだろうか。
「つまり君は人よりも長く戦える。持久戦が君の強みだ。一撃で倒す威力はないが、じわじわと相手の体力と魔力を削って疲労したところでとどめを刺せ」
 そこで悪巧みをするようにレオンハルトはにんまりと笑った。
「まぁ、君自身がへばらなゴーヤいように、それに耐えられるだけの体力と筋力をつけなくてはな」

「おかしい、なぜだ」
 ロランはぜいぜいと肩で息をしながらぼやいた。
 それを見て、ああ魔力と体力が尽きてきたのだな、とミモザは悟る。
「なぜ魔力が尽きない!小娘!!」
「……僕マッチョなんで、こう見えて体力が、」
「肉体の問題じゃない!魔力だ!こんなに長時間戦って、常人の魔力が持つはずがっ……!!」
 うーん、とミモザはうなる。なんて言おうか考えて、結局シンプルに言った。
「僕、持久戦が得意なんです」
 というより、それ以外得意なものがない。
 ロランはこちらを睨んでいる。その足元のおぼつかなさを見て、ミモザはふふ、と笑った。
 どうやら仕込んだ毒もうまく回ってきたようだ。
 ミモザが唯一目覚めた属性攻撃、それは『毒』だった。
 しかしそれは前述した通り強力なものではない。せいぜいが身体が少しだるくなる程度のものだ。それも4~5時間で治っdha epa dhaてしまう。
(でも充分だ)
 長期戦で相手を疲労させて戦うスタイルのミモザにとって、わずかでも弱らせやすくするその属性は決定打にはならないが相性がいい。少しでも相手の判断能力や体力を下げられれば儲けものである。
 ちなみに毒を仕込んだのは最初の一撃目。ロランの目元をかすった時である。ゲームのミモザは毒を空気中に放出していたが、その方法では明らかにMPを食うため棘から注入する方式へと訓練で切り替えていた。すべてミモザの長所を活かすためである。
「これから、貴方にはへとへとに疲弊していただきます」
 ミモザは言う。
「何時間でも何日でも何週間でも何ヶ月でも、戦い続けられるように僕は修練をつんできました。貴方はここから逃げることもできず、勝つこともできない。疲れ果てたままここで戦い続け、そして…」
 ミモザの仕事はここまでだ。仕込みは上々、舞台は整えた。
 ここで敵を倒すべきはミモザではない。のちのちの事後対応を考えれば、彼を倒すのはわかりやすい皆の『英雄』であるべきだ。
「最後は、聖騎士レオンハルト様に倒されるのです」
 その時ロラサプリメント マカンの背後に人影が現れた。ロランがギョッとしたように飛び退く。
「待たせたな、ミモザ。状況は?」
 そこには英雄の姿があった。
 豊かに流れる藍色の髪に意志の強い黄金の瞳、そして堂々たる体躯の英雄の姿が。
 ミモザはうやうやしく頭を下げる。
「彼が保護研究会の一員で、被害者遺族の会の方々を殺そうと企んでいたようです」
「……そうか。どうやら俺の可愛い弟子にしてやられたようだな、ご老人」
 槍を構える老人の異様に疲れた様子を見て、レオンハルトは悪辣に笑った。
「この子はなかなかいい仕事をするだろう」
「おのれ、レオンハルトオオオォォォッ!!」
 ロランの槍から稲妻が走る。レオンハルトはそれを炎で迎え撃ち、そして、
 視界が真っ白に染まった。
dha亜鉛の効果マカ と は

「それで? どうだクロムの効能

「それで? dha epa dhaどうだったの?」
 尋ねるフレイヤdhaに騎士は首を横に振った。そこは教会のオルタンシア教皇の執務室だった。やはり前回集まった時同様、オルタンシア、レオンハルト、ガブリエル、フレイヤ、そしてミモザが集まっている。そこに直接ステラの元へと強制執クロム行に行った騎士が報告に訪れていた。
 彼は淡々と告げる。
「ラブドロップは見つかりませんでした」
それにフレイヤは盛大に顔をしかめた。
「なぜ……っ!」
「わかりません。けれど、彼女自身に隠蔽工作をするほどの賢しさはないように見えました。もしも隠したとしたら、それは……」
 そこで彼は気まずそうにちらり、と近くに立つレオンハクロムルトのことを見る。
「聖騎士殿の弟ぎみのほうかと」
「そうか」
 レオンハルトは淡々と頷く。
「アベルのことは俺の弟だからと遠慮するようなことは不要だ。君達の任務をしっかりと遂行してくれ」
「無論です。例えどなたのご身内であろうと我々が手を抜くことはありえません」
 むっとしたように騎士はそう告げた後、フレイヤの方へと再び向き直る。
「アベル殿が外から戻られたご様子でしたので、もしかしたらこちらの動きを察して処分したのかと一応宿の他の部屋や周辺のごみ収集場なども探ったのですが、見つからず……マカ と は。ひとまずはジーン殿とマシュー殿を取り急ぎ保護させていただき、今は病院で静養してもらっています。医師の見立てでは数日のうちに薬は抜けていくだろうとのことです」
「………気に食わないわね」
 フレイヤはドスの効いた声で吐き捨てる。
「状況証拠はこの上もなく彼女が黒だと示しているのに捕らえることができないだなんて……っ」
「まぁ、物的証拠か現行犯でもない限り逮捕は難しいですからね」
 オルタンシアはそんな彼女を宥めるようにそう言った。
「魔薬は尿検査や血液検査でも検出は困難ですし……、今回は仕方がないでしょう」
「犯罪者を野放しにするなど、我が騎士団の威信に関わります! ただでさえ、わたくしの弟子に手を出すなんてっ。こちらをこけにするにもほどがある……っ」
「そうは言っても仕方ねぇだろ。サプリメント マカまぁ、今回逮捕できなかった容疑者はそこそこいるが、少なくとも元凶は捕らえた。もうあの薬が供給されることはねぇ。今回の件はこれで終いだ」
 いきり立つフレイヤにガブリエルが冷静に告げる。それに歯噛みしつつもこれ以上はどうしようもないことも理解している彼女はそれ以上の言葉を控えた。
 フレイヤが落ち着いたのを見てとって、オルタンシアは皆の注目を促すように手を数回叩いて見せる。
「今回は残念な結果でしたが、決して我々は犯罪者に屈したわけではありません。現に密売人は捕らえ、事件の収束には成功いたしました。残りの購入者についても目星はついているのです。これは犯罪者予備軍をピックアップ出来たと言ってもいい。一度誘惑に負けた者はまた違う形で誤ちを犯す可能性が高い。その時には、彼らに二度目はないということを思い知らせてあげましょう」
 彼のすみれ色の瞳がうっすらと微笑む。そこに映るのは慈悲ではなく断罪の光だ。
「この国に住む人々の平和と安寧のために」
 最後に彼は祈るようにそう言った。
マカ と は

 そこは病室だった。看護師や医師は突然降って湧いた大量の精神汚染の患者達の対応に追われて慌ただしく走り回っていた。
 その廊下を美しい女性が肩で風を切って歩いていた。彼女は銀色の髪を風に流し、銀色の瞳に決意をみなぎらせている。
 そんなフレイヤの後ろをちょこちょこと物見遊山気分でミモザはついて歩いていた。
 とはいえ別に遊びに来たわけではない。手にはちゃんと果物を持っている。前回ミモザが怪我した際はジーンに迷惑をかけたので、そのお礼とお返しを兼ねたお見舞いに来たのである。
 フレイヤは目当ての病室を探し当てると勢いよくその扉を開けた。
「ジーン!! わたくしの不肖の弟子!! なんであんな怪しい奴からの飴なんて口にしたの!!」
 開口一番叱責である。
 まぁ、フレイヤの心労を思えば無理からぬことかも知れないが、被害者であるジーンには少々酷な話だ。
 彼らは二人部屋にいた。身体的には異常がないからだろう、それぞれのベッドに腰掛けてマシューとジーンは何かを話しているところだったようだ。
 怒れる師匠の登場にジーンは素早く立ち上がりピーンと背筋を伸ばして直立すると「大変申し訳ありませんでしたゴーヤ!!」と綺麗なお辞儀をかました。
 きっちりと分度器で測ったかのような90度のお辞儀である。
(体育会系……)
 人のことは言えないが、ミモザはそれを見てしみじみと思った。
 見るからに文化系のマシューなどその光景を見て若干引いている。
「その、まさか魔薬が入っているとは……。先日のお詫びだと渡されまして……」
「おおかた可愛い女の子から渡されたからって受け取ったんでしょう! 情けないわ!!」
「も、申し訳ありません!」
 師弟のやり取りを尻目にミモザはすすす、とマシューへと近づくとジーン宛の果物は勝手にジーンのベットサイドへと置き、マシュー宛の果物を彼に差し出した。
「ちなみにマシュー様はどうして食べたんですか?」
「………、あんな子だとは知らなかったんだよ。ちょっと極端な所があるとは思ってたけど……」
 そこまで言ってじろりとマシューはミモザを睨む。
「あんたのお姉さんだと言うのも一応理由としてはあったよ」
 それにおや、とミモザは首をひねる。
「マシュー様、僕が突然なんの理由もなく飴をあげたら食べるんですか?」
「…………」
 マシューは差し出された果物を受け取ろうとした手をぴたり、と止めてしばし悩んだ。
「いや、うん、そうだな……。あんたからのは……、悩ましいな。お見舞いであれば受け取るけど、なんの理由もなしか亜鉛 の サプリ……」
「まぁ、あげませんからそんな真剣に悩まないでください」
「あんたはそういう所だよ」
 じろりと再び睨むとマシューはふん、と鼻を鳴らして果物を受け取った。
「まぁ、あんたは利口だからこんな目撃者の多い所で毒殺はしないだろう。こっそり渡されたら受け取らない!」
「はぁ……」
 まぁ、確かにこんなに目立つ場所で白昼堂々毒殺はしないだろう。
 そのまま二人はしばしフレイヤ師弟の叱責と謝罪が終わるのを待ったが、二人は全く終わる気配を見せない。
(帰ろうかな……)
 時間を持て余してジーンへの挨拶はまた今度にするかと諦めかけたところで、「なぁ」とマシューが声をかけてきた。
「あんたの姉ってなんか妄想癖でもある?」
「なぜですか?」
 突然の質問に驚く。正直思い込みは激しいが、と思いつつミモザは尋ねた。するとマシューは少し難しい顔をして頭を掻く。
「いや、なんかこれから起こることがわかるとか、自分は人生をやり直してるとか言っててさ」
「………っ」
 ヒュッと呼吸が鋭い音を立てた。言葉が出ない。
 そんなミモザの様子には気づかずにマシューは愚痴るように続ける。
「なんか前回が前回がってずっと言っててさ。俺たちは前回も仲が良かったとか、女神様にお願いしたからやり直せたとか……、薬が効いてる時は可愛いと思って聞いてたけど、今思い返すと結構ヤバいこと言ってたよ」
「そ、そうですか……」
 ミモザにはそう返すのがやっとだった。
アントシアニンdha epaポリ ペプチドdha epa dha

「奇妙な事件が起き亜鉛 の サプリ

「奇妙な事件が起きています」
 そう重々しく告げたのはオルタンシア教皇聖下だった。彼はゴーヤ執務机に肘をおき、ふぅ、と疲れたように息ゴーヤを吐く。
 その場にはオルタンシアを除くと4人の人間がそろっていた。
 ミモザとレオンハルト、そして教会騎士団団長のガブリエル。
 そして最後の1人は渦中の人であるジーンの師匠、フレイヤである。
 彼亜鉛 の サプリ女はわずかに怒りを滲ませた瞳でオルタンシアの言葉を聞いていた。その目は吊り上がり己の感情を体の内に必死に押し留めているのであろうことが窺える。怒りが彼女の生来の美しさをさらに苛烈なものにしていた。
「もうお聞きおよびかとは思いますが、改めて簡単に説明を。一言で言えば精神汚染が起きているようです」
 ここ最近、人格が入れ替わったように変わるという異変が立て続クロムの効能けに起こっていた。穏やかだったのに気性が激しくなったり、逆に精力的な人だったのが無気力になったりという具合にだ。けれどその件の特筆すべきはある共通点である。
「ある人間に異常に傾倒、あるいは恋慕するようになるとのことです」
 それも、今まで見向きもしなかったような相手に対してそのようになることが多いという。さらに詳しく言えばこれまでに振った相手や自身のストーカーなど、今まで一方的に思いを寄せてきていた相手に何故か一転して執着するようになるらしい。
「これは、あれですね」
 ガブリエルは真面目腐った顔で頷く。
「あれでしょうねぇ」
 オルタンシアはサプリメント マカ困り果てたように頷いた。
「あれですか」
 フレイヤは不愉快そうだ。
「あれか」
 レオンハルトは呆れたようにため息をついた。
「あれってなんですか?」
 唯一わからなかったミモザが挙手した。
 みんなが一斉にそんなミモザを見る。
(いや、常識のように言われても……)
 わからないものはわからないし、知らないものは知らないのである。
「これがジェネレーションギャッ、」
「ミモザ」
 レオンハルトにデコピンを喰らわせられてミモザは口を閉ざした。
 むぅ、とうなるミモザをスルーして、オルタンシアは「実は最近密売事件も起きてまして……」と言葉を続ける。
「どうやらとある薬を売り捌いている怪しげな人物が出没するのだそうです」
「とある薬?」
 再び懲りずに声を上げるミモザに、オルタンシアは淡々と机の上に小さポリ ペプチドな袋をひょいと置いた。
 透明な袋に入ったそれは、
「……飴?」
 にしか見えなかった。赤やピンク、オレンジに黄色といった可愛らしい色合いのハートの形をした飴である。
(あれ、これどこかで……)
 思い出そうとするミモザの思考を遮って
「名付けて、ラブドロップだそうです」
 オルタンシアが答えをくれた。
 その名称にミモザは思い出す。これはーー
(好感度上昇アイテムだ)
 ゲームの中では攻略対象者の好感度を上げるために会話の選択肢やデート、そしてそのキャラの好きな貢ぎ物をあげるという方法があるのだが、その中で怪しい商人から買えるチートアイテムがある。
 それがラブドロップ。その名の通り好感度を爆上げするアイテムである。
 お値段はそれなりに張るのだが、それだけあって効果はてきめんである。他の要素を進めるために好感度を上げるのを怠っていたプレイヤーはよく使用するアイテムだ。
(……ってことは、つまり)
 無理矢理薬で好感度を上げられたことによる精神亜鉛の効果汚染事件が起きているということである。
「ネーミングセンス最悪っすね」
「馬鹿がつけたんだろう」
 ガブリエルとレオンハルトが容赦なくその名前をこき下ろした。 
「私が決めたわけではなく、そういう商品名のようでしてね」
 オルタンシアは気まずげにごほん、と咳払いをすると「まぁ、古くは『恋の妙薬』という名前で取引されていた魔薬です」と説明を付け加えた。
「実際に見たことのある人は少ないでしょうが、名前だけは聞いたことがあるでしょう。大昔に開発されてその危険性から規制の対象となり、今ではその製法を記した本は禁書として王族の管理する車庫に封印された劇薬ですよ」
 ミモザははい、と手を挙げる。
「はい、ミモザくん」
 オルタンシアが指名した。
「その書庫に入れる人の仕業でしょうか?」
 それにオルタンシアは首を横に振る。
「少し考えづらいですね。王室書庫の、しかも禁書庫に入れるのは王族に連なる方々でも一部の方と、それから教会の代表者として私だけです。王族の方々がこのような事件を起こすメリットがありません。もちろん私も同様、手間がかかるだけでなんのメリットもありません」
 確かになぁ、とミモザは思う。第一、一番に疑われる羽目になるのにそれを堂々とばら撒くとも考えにくい。ゴーヤ
「おそらくですが、大昔はその製法が広く普及していましたから、こっそりとそれを伝えていた方がいたのでしょう。はぁ、まったく、頭の痛い話です」
 少し考えてからミモザはもう一度挙手した。
「はぁ、どうぞ、ミモザくん」
「副作用はありますか?」
 やる気なく指名したオルタンシアはその質問に「おや」と声を上げた。
「とても良い質問ですね。元来魔薬というのは副作用のない薬として開発されたものです」
「じゃあ……」
「ですが」副作用がないのか、と納得しかけたミモザにオルタンシアは告げる。
「よく効く薬というのは毒にもなりえます」
「つまり?」
「つまり、分量を誤れば効きすぎによる弊害が起きます。この薬の場合は常に相手に恋している状態を作り出すわけですから、恋は盲目というでしょう。相手に盲目になりすぎるあまり、依存関係へと陥り最終的には相手以外の全てがどうでもよくなります。具体的に言うと過去流行した時には心中事件が多発しました」
 なんと、ヤンデレ量産薬だった。
 その時そのやりとりを黙って聞いていたガブリエルがにやにやと口を開いた。
「あれぇ? そんなこと聞くってことはぁ、ミモザちゃんってば飲ませたい相手がいたりしてー」
 茶々を入れるガブリエルのことをレオンハルトが睨みつける。彼が何か言うよりも先にミモザは「そうですねぇ」と思案するように口を開いた。
「ミモザ?」
 師匠の訝しげな声をクロムの効能尻目にミモザは考え考え話す。
「これをうまく使えば痴情のもつれで起きる事件を防げたり、子どもの出生率をコントロールしたり、あと過去の事例で兵士同士が恋に落ちるとすごく強くなるという話を聞いたことがあったのでいいかと思ったんですが……。ちょうどいい用法容量を守っても問題が起きるものなんですか?」
 ミモザの言葉を聞いてレオンハルトはあからさまに顔をしかめた。
「……薬で得られる愛情に価値があるのか? 考えるだけで気色が悪いな」
 そのまま吐き捨てるように言う。その言い様にミモザはむっと口を尖らせる。
「……レオン様は案外ロマンチストですよね」
「……君は大概情緒の未発達なお子様だ。だからそんなふうに他人事のように平然と理屈をこねられる」
 不機嫌そうに言い返された言葉にミモザは驚く。
「レオン様にとっては他人事ではないのですか?」
「…………」
 レオンハルトは黙り込んだ。そして微妙な顔をしてミモザのことを見つめる彼の肩を何故だかガブリエルとフレイヤの2人は同情するように両側からぽんと叩いた。
「……まあ、そもそもちょうど良い用法など知ってる人間はいないでしょうね」
 その微妙な空気をリセットするようにオルタンシアが口を開く。
「え?」
 驚いて振り返るミモザに彼は呆れたように肩をすくめてみせた。
「まさか人体実験するわけにもいかないでしょう」
「あー……」
「それに魔薬は本当に扱いが難しいのです。管理する温度や使用する者の体質によって大きく効き目が変わる。コントロールは困難だと思いますよ」
「じゃあ有効活用は無理なんですね」
「そもそもそんな危険な劇薬を有効に使おうとするな」
亜鉛 サプリ なんとか気を取り直したレオンハルトが叱責するようにミモザの額に再びデコピンを食らわす。その威力に「ううっ」とうめいていると、それを白けた目で眺めながらオルタンシアが告げた。
「まぁ、有効活用できるくらいなら規制して封印したりしませんよね」
 ごもっともだなぁ、とミモザは頷いた。
亜鉛 サプリアントシアニンマカ と はゴーヤ