「どういうことでサプリメント マカ

「どういうことですか?」
 ステ亜鉛 サプリラは愕然として言った。
「ちょっ」
 そサプリメント マカれなりに大きく響いたステラの声に、宿屋の店主は辺りを警戒するようにきょろきょろと見渡す。そうして周囲をはばかるように小さな声で告げた。
「大きな声をださないどくれよ、周りに亜鉛 サプリ聞こえたら……」
「だって!」
 ステラの声のボリュームが上がる。
「突然、出ていけだなんて!」
 それに店主は不快げに顔をしかめた。
「しょうがないだろ、こっちも客商売なんだ。前科者が泊まってるなんて評判がたっちゃあねぇ」
「前科者って……」
「あんた、いろいろ騒ぎ起こしてんだろ。その目立つ容姿だ、いろいろ見られてんだよ。人の口に戸はたてられねぇってい亜鉛うだろ?」
「そ……っ」
 それは誤解だと言いかけたステラの耳に、ひそひそと話す声が聞こえた。
「ねぇ、見て、あれでしょ? 刑務所に入れられた奴って」
 横目で声の主を探ると、それはステラとそう歳の変わらない少女だった。彼女は友人と思しき人達と食堂のテーブルを囲んでいた。
「あー、泥棒しようとして止めようとした奴逆上して半殺しにしたんでしょ?」
「なんかさぁ、友達見てたけどやばかったらしいよ」
「やばー」
「やばーじゃないよ、目をつけられたらどうゴーヤするのさ!」
 呑気に話す2人に、それまで黙って聞いていた少年が怯えたように言った。それにもう1人の少年が同調するように頷く。
「宿変えた方がいいんじゃね? 変に因縁つけられても困るし」
「あ、あーお客様、大丈夫ですよ、今すぐこっちのほう出て行かせますんで」
 その不穏な会話に店主は焦ったように笑顔を作ってそう言った。その後でステラへは一転して険しい顔を向ける。
「とにかく! 出てってくれ! あんたにいられちゃ商売あがったりだ!」
 それはとりつく島もない態度だった。

(どうしてわたしがこんなめに……)
 夕焼けに染まった街をステラは荷物を抱えてとぼとぼと歩いた。結局あの宿屋からは追亜鉛い出されてしまった。その後いくつかの宿屋を訪ねて歩いたが、どこも満室だと断られてしまいステラは途方に暮れていた。
(嘘だわ)
 満室だというのは言い訳だ。だってステラが尋ねた後に入った客は追い出されている様子はなかった。ステラのことを泊めたくなくて満室だと言って追い払ったのだ。
(どうして……)
 頭の中はその言葉ばかりだ。ステラが一体何をしたと言うのだろう。みんなのために頑張っているだけではないのか。
(やっぱりおかしい)
 村にいた時はこんなではなかった。みんなステラのことを優先してくれて、このようなぞんざいな扱いなどされなかったのに。
 その時ふと、見覚えのある藍色の髪が視界に入った。
「レオンハルト様!」
 彼はその声に振り返り、ステラを見るとわずかに驚いたような顔をした。
「ステラくん。どうしたんだい、こんな時間に」
 その穏やかな声にほっと息を吐く。ス亜鉛 サプリテラは瞳を涙に潤ませて彼に駆け寄った。
「レオンハルト様、わたし、わたし……っ!」
「……一体なにがあったんだい?」
 ステラは洗いざらい話した。みんなのために頑張ったが報われなかったこと、軍警察に逮捕されかけたこと、しかしそれは理由があっての行為でひどい誤解であること、そしてそのせいで宿を追い出されてしまったこと。
「……そうか、それは大変だったね」
 レオンハルトは慰めるようにそう言った。
「しかし……」
「レオンハルト様!」
 何かを言いかけたレオンハルトを遮り、ステラは彼に縋り付く。レオンハルトはわずかに不愉快げに眉を寄せたがそれは一瞬のことで、ステラは気づかなかった。
「わたしを、レオンハルト様のお家に置いてはいただけませんか?」
「……君を?」
 訝しげに目を細めるレオンハルトにステラは強く頷く。
「なんでもします! ですからどうか!」
 ミモザはレオンハルトの弟子として彼の家に滞在しているのだと風の噂で聞いて知っていた。ミモザにできるのにステラに許されないなどということはないだろう。
「レオンハルト様の弟子dha epaとしておそばに置いてください!!」
「……なんでも、か」
 レオンハルトはふぅ、と小さく息をついた。
 そしてじ、とステラの体を見る
「俺の渡したトレーニングメニューはどうしたかな」
「え、えっと……」
「なんでもするというのなら、そこからしてもらわなくては。君にそれを渡したのは随分と前のことだったが、君はいまだに俺の1番最初の指導を行ってくれていないね。まずは基礎ができなくては話にならない」
「そ、それは……」
 二の句がつげない。確かにステラはレオンハルトから渡された謎の筋トレメニューをこなしてはいなかった。しかしそれは筋トレなど必要なかったからだ。ステラには膨大な魔力と人の羨むほどの有用な魔法がある。魔法の技術を鍛えるならともかく、筋力を鍛える必要性など欠片も感じない。
 あえぐように黙り込んだステラをしばし眺めた後、レオンハルトはにっこりと微笑んだ。
「きっと俺の指導は君には向かないのだろう」
 そうして優しくステラの肩を叩く。
「なに、無理をする必要はない。君は君らしく精霊騎士を目指してくれればいいんだ。無理に俺のやり方を倣う必要はない。応援しているよ」
「えっと……」
「では俺はこれで失礼するよ。ああ、宿屋なら北の通りの方を見dha epa dhaてみるといいと思うよ。あの辺りならきっと見つかるだろう」
 そう言って爽やかに手を上げて彼はあっさりと立ち去ってしまった。
「…………」
 『北の通り』と聞いてステラは惨めな気持ちになる。元々ステラの泊まっていた宿屋は中央のメインストリートに面した非常に利便性の良く外観や内装も整っている場所だ。けれど北の通りはメインストリートからは遠く離れており正直人気のないエリアだ。
 そこは人気のあるエリアからあぶれたりお金のない人が仕方なく行くような場所だった。
「どうして……」
 先ほどまで渦巻いていたのと同じ言葉をこぼす。その途端にステラの中で何かが決壊してどろどろとした感情が一気に溢れ出してきた。
「どうしてよっ! わたしが何をしたって言うのっ!?」
 わめくステラに通行人は避けるように遠巻きに通り過ぎていく。
「おかしい、おかしい、おかしい、おかしい! わたしは優秀なの! 可愛くって! 賢くって! なんでもできて! みんなわたしのことを好きになってくれるの!!」
 ざわざわと周囲の喧騒が耳に入る。我に帰ると何人かがステラを指差して何かを囁いているようだった。
『きみの行為は常にマークされてると思いなさい』
 騎士の言った言葉が蘇る。
「あ、ああああああああああああ……っ!!」
 ステラは叫ぶと、耳を塞いで脇目も振らずに走り出す。
(見るなっ! 見るなっ!)
 人の視線がこんなに恐dha epa dhaろしいのは初めてだった。もはや全ての人がステラのことを蔑んでいるように感じられて人気のない方ない方へとステラは駆ける。
「はぁっ、はぁっはぁっ、はぁっ」
 息を切らしてようやく立ち止まったのはメインストリートから何本か横にそれた薄暗い裏路地だった。
「おかしい、おかしい……」
 爪をがりっと噛む。深く噛みすぎて血がじわじわと滲み出てきた。ぶつぶつと呟きながらステラはその場に座り込む。
 おかしい。こんなはずじゃなかった。だって前の時はこんな酷い目には合わなかったではないか。
「……くっ!」
 その時ひどい頭痛がステラを襲った。
(これは……っ)
 脳に一気に情報が詰め込まれる。あらゆる場面、あらゆる会話。そのどれもが確かな既視感を持ってステラの脳内によみがえった。
「そうだ、わたしは……」
 ステラはその深く青い瞳に仄暗い光を宿し、顔をあげる。
「繰り返したんだわ、女神様に頼んで」
 やっと思い出した、とステラはうっそりと笑った。
(レオンハルト様のために、人生を繰り返したんだ)
 失敗してしまった、とステラは反省した。
 先ほどのレオンハルトとの会話だ。ステラは前回も同じ理由でレオンハルトに弟子入りを断られたのだ。
 あそこは筋トレをしているふりをするべきだった。選択を間違えてしまった。
「でも、おかしいわね……」
 ステラは前回と何も変わらない。記憶が有ろうが無かろうが、ステラはステラのままだ。なのになぜ前回とこんなに状況が違うのか。前回も確かにレオンハルトは今のような距離感だったが、それ以外の5人とは仲良くできたはずなのに。
「……ミモザ?」dha epa
 前回と今回の1番大きな違い、それはミモザだ。
「……もしかして覚えているのかしら」
 それならばこの違いに説明がつく。
「……そう、またわたしの邪魔をするのね、悪い子」
 アベルもジーンもマシューも、前回はステラのものだった。ステラに反論したりしなかった。ステラを愛してくれていた。けれど今はどうだろう。
 ミモザが何かしたのだ。彼らに何かを。
「……殺してやろうかしら」
 しかしステラが直接手を下すわけにはいかない。それではすぐに足がついてしまう。
 確か前回のミモザは殺されて死んだ。しかし今回、もしミモザに1回目の記憶があるのなら、大人しく殺されたりはしないだろう。
「……会えないかしら」
 ミモザを殺した人間に。ステラとはきっと良い協力関係になれるはずだ。
「まぁいいわ、それは後でにしましょう」
 ステラには秘策がある。前回もお世話になったものだ。それさえあれば何も問題はない。
 そう、ステラの記憶が確かならば、確かこの場所はーー、
「そこのお嬢さん、よければおひとついかがかな?」
 その声にステラはにぃっと歪んだ笑みを浮かべた。
 その時、ぶわりと小さな音を立ててステラの守護精霊であるティアラから黒い霧のようなものが滲み出た。その目が薄暗い路地裏の中で紅く輝く。
 しかしそれはほんの一瞬のことで、ステラは気づかなかった。そんなことよりも自分の考えのほうに夢中だったからだ。
マカ サプリクロムdhaゴーヤアントシアニン

 その後のレオ亜鉛 サプリ おすすめ

 その後のレオンハルトdha epa dhaの行動は迅速だった。すぐに4人とミモザを引き連れてそクロムの効能れぞれの家へと向かい事情を説明し、主犯が自らの弟であることをアベルの取り巻きの家族へと謝罪した。そしてまだミモザへの謝罪は行われておらず、反省の意思が低いことを伝え、よくよく指導してくれるように、といい含めた。
 それぞれのごアントシアニン家族は二度目だったこともあり、恐縮した様子でミモザに謝ってくれた。
 そうして1人ずつ家へと帰していき、最後はアベルを残すのみとなった。ミモザとレオンハルトとアベルというなんとも微妙な組み合わせで家を訪ねる。
 アベルの家とミモザの家はなんとお隣同士である。隣といっても田舎あるあるでものすごく遠く、畑と牧場を挟んだ上での隣である。まぁ、それでも隣は隣である。
 ミモザの家は村の一番西端にある。その手前クロムがアベルの家である。さわやかな空色の屋根にクリーム色の壁。庭には家庭菜園と色とりどりの花が咲き誇る美しい家である。庭の手入れがよくされているのが見ただけでわかる。
 レオンハルトは終始渋っていたアベルの腕を掴んで引きずるようにしながら、その家の扉をノックした。
「はーい、どなた?」
 凛とした明るい声がする。おそらく彼女はアベルが学校から帰るのを待っていたのだろう。エプロンをつけて昼食の香りをただよわせながら玄関に出た。
 明るい橙色の髪に理知的な青い瞳。髪を編み込んでお団子に結い上げた美しい女性だ。
 その普段は明るいdha epa表情が、来客のただならぬ様子を見て曇る。
「レオンくんとミモザちゃん?一体どうしたのかしら?」
「カーラさん、このような形になってしまって申し訳ない。大事な話があってきました」
 そう丁寧な口調で告げると、レオンハルトはアベルのことを地面に跪かせるようにカーラの前へと投げ出した。
「アベル……?あんた……」
「母さん、違うんだ、俺……っ」
「アベルがミモザくんのことを傷つけました」
 その言葉にハッと彼女はレオンハルトのことを見上げ、ついでミモザの顔の傷を見て取ったのか表情を歪めた。
「友人3人とともに彼女を取り囲んで石を投げつけ、髪を引きちぎるという暴行を加えたようです」
「……なっ!?」
「違う!」
 思わず反射で叫んだのであろうアベルを、レオンハルトとカーラ、計3つの目が見下ろす。
ポリ ペプチド「何が違うんだ、言ってみろ」
「お、俺は、別に!暴行だなんて……、そんなつもりじゃ……」
 その視線に怯んだのかアベルはもごもごとそれより先の言葉は続けられず言いごもる。
 レオンハルトの深いため息に、アベルは身を震わせた。
「じゃあどんなつもりだったと言うんだ。まさかその行為で彼女が喜ぶと思っていたわけでもあるまい」
「それは、だって…っ」
「だって、なんだ?お前は明確な悪意を持って、彼女に危害を加えた。どんな言い訳を並べ立てたとて、その事実は揺るぎない」
 アベルは顔を真っ赤に染め、耐えきれなかったように叫んだ。
「それはこいつが生意気……っ!」
「もうやめて……っ!!」
 しかしそれは別の悲鳴じみた声に遮られた。見るとカーラは苦しむように頭を抱え、俯いている。その目からはぽたり、ぽたりと涙がこぼれ落ちていた。
「もう、やめて……」
「母さん……」
「やっぱり血は争えないのかしら」
 その目は失望感に満ち、遠くを見つめている。クロム
「それを言われては俺の立つ瀬もありませんが」
 苦笑しながら言われた言葉にカーラは弾かれたように顔を上げる。
「ごめんね、レオンくん。そんなつもりじゃ……」
「いえ、わかっていますよ。大丈夫です」
 どうやら2人にしかわからない話があるらしい。カーラは気を取り直すようにアベルを見ると、その前に膝をつき目線を合わせた。
「アベル、ねぇ、アベル。なんでこんなことをするの。前回の時あんた反省したって言ってたじゃない。嘘だったの?」
「それは……」
「あんた母さんにも先生にもミモザちゃんにも嘘をついたの」
「嘘をついてるのはミモザだ。俺は窓ガラスは割ってない!」
「あんた、何言ってるの」
 アベルの決死の叫びに、しかしカーラは目を見張った。
「誰が窓ガラスの話なんてしたの。ミモザちゃんに怪我をさせた話をしてるのよ」
「……っ」
 アベルは唇を噛みしめる。カーラはそんな息子の様子に力無く首を振った。
「アベル、わたしはね、もしあなたがミモザちゃんと同じ目に合わされたらそれをした相手が憎いわ。死んでしまえばいいとさえ思うかもしれない」
「……っ!?」
「あんたのしたことはそういう行為よ。そういう最低なことなの。わからないの?」
 カーラはアベルの肩を掴む。そ亜鉛 の サプリの瞳には焦燥があった。
「ねぇ、わからないの?アベル」
「……母さん」
「わたしはもう、あなたがわからないわ。一生懸命育ててきたつもりだった。愛情を持って、真っ直ぐ生きてくれたらと。でももうわからないのアベル。どうしたらいいのかがわからない。あんた、一体どうしたらまともになってくれるの?」
「か、母さん!」
「カーラさん」
 そっと、レオンハルトはカーラの背中を慰めるようにさすった。そして残酷に言い放つ。
「アベルはおそらく病気です」
「お、俺!病気なんかじゃ……」
「普通の健常の人間は理由もなく暴力を振るったりなどしない。それは明らかに異常な行為だよ、アベル。
風邪を引いたら医者にかかるように、今回の件も専門家を頼るべきだと俺は思います。カウンセリングを受けさせましょう。更生のために。いい先生を探します」
「……レオンくん」
 不安げに見上げるカーラに、レオンハルトは力強く頷いてみせた。
「アベル自身の将来もですが、これ以上被害者を出さないことを第一に考えるべきでしょう」
「それは、入院させるってことかしら?」
 アベルは息を呑む。しかしレオンハルトは首を横に振った。
「それは最終手段です。まずは通院でいいでしょう。それでどうしようもないなら入院させるしかありませんが。学校側に協力を仰いでアベルが暴力的な衝動を抑えられない様子がないかどうかなど見張ってもらいましょう。こう言ったことはちゃんと環境を整えて徹底マカ的にやらないといけない」
 そこでアベルへと向き直る。
「アベル。お前もいいね。お前に治療の意思がなければどうにもならん。苦しいとは思うが俺も協力を惜しむつもりはない」
「俺、病気じゃないよ」
 アベルは途方にくれたように言った。自分の意思に反して進んでいく話についていけないのだ。
 しかしレオンハルトはその言葉を言い逃れと捉えたのか追撃の手を緩めなかった。
「ではお前は正常な状態にも関わらずなんの罪悪感もなしに暴力を振るったということになる。そちらの方がよほど悪い。そうなのか?アベル。お前は生まれつき暴力的な行為が好きな人間なのか?」
 問われてアベルは力無く首を横に振った。もう何も言えない様子だった。それに対してレオンハルトはやっと態度を軟化し優しく微笑み、なぐさめるように肩を叩く。
「まずは自分が異常な行動を取っていること、それを自覚するところから始めよう。大丈夫。必ず良くなる。そうすれば心の底から申し訳ないことをしたとちゃんと反省し、謝罪することができるようになるだろう」
 アベルは操られた人形のように無気力に首を縦に振った。レオンハルトもそれに同意するようにしっかりと頷き返す。
「頑張っていこうな」
 そして立ち上がるとミモザの隣へと移動し「じゃあカーラさん。俺はミモザくんを家に送ってご家族に謝罪をしてきますので」と告げた。
 それにカーラは焦ったようにエプロンを外しながら「わたしとアベルも一緒に……」と身を乗り出す。
 しかしその言葉をレオンハルトは手で制し、首を横に振ることで断った。
「今のアベルの様子で亜鉛は謝罪などしても上べだけになってしまうでしょう。それでは先方にかえって失礼だ。まずは俺1人で謝罪に伺います。カーラさんはアベルのことをよろしくお願いします」
「……ごめんね、迷惑をかけちゃって」
「なにを言うんです。家族でしょう。俺はそのつもりでしたが違いましたか?」
 カーラはその言葉を噛みしめるように俯いた。
「いいえ、違わないわ、ありがとう」
 そしてミモザへと向き合う。その瞳はもういつもの理知的な光が戻ってきていた。
「ミモザちゃん、本当にごめんなさい。きちんとアベルのことは更生させます。あなたにも近づかせないようにするからね。本当にごめんなさい」
 あまりにとんとん拍子に進む急転直下の状況に、ほぼ空気と化して流れを見ていただけだったミモザは首をぶんぶんと横に振ることしかできなかった。
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 それはチャイムマカ サプリ

 それはチャイムが鳴って1時間目の授業が終わった時のことだった。次の授dha epa業の準備のための短い休憩時間にがらりと音をたてて唐突に教室のド亜鉛 サプリ おすすめアが開いた。
 開けたのはミモザである。
 ショートカットのハニーブロンドには天使の輪がかかり、憂鬱そうに伏せられた瞳は冬の湖面のように深い青色に澄んでいて美しかった。雪のように真っ亜鉛 の サプリ白な肌は透き通っているが血の気が引いたような白さで、その外見の美しさも相まってまるでよくできた人形のようだ。これで服装がもっと華美であればますます人形のように見えたのだろうが、彼女はいつも暗い色のシンプルなシャツと半ズボン、そして黒いタイツといった少年のような格好をしていた。その容姿と服装の奇妙なアンバランスさは彼女に不思議な近寄りがたい雰囲気をクロム与えていた。
(戻ってきたのか)
 アベルは意外な気持ちで彼女が静かに自身の席へと戻るのを眺めた。
 変な言葉を叫んで飛び出していったから今日はもう家に帰るのかと思っていたのだ。しかし戻ってきたということはそうはできなかったのだろう。
(そりゃそうか)
 普段より早く家に帰れば理由を聞かれるだろう。これまでミモザが親に一度も学校での出来事を話していないのは当然知っている。
(ステラにはチクったみたいだが…)
 ち、と軽く舌打ちをする。幸いにもステラは素直でお人好しな少女だ。アベルが誤解だと誤魔化マカ と はすとそれを信じたようだった。
 ステラ。あの美しい少女を思い浮かべるとアベルは幸せな気持ちになる。双子なのに根暗で生意気なミモザとは似ても似つかない。
 アベルだって最初からミモザを蔑ろにしていたわけではない。学校に通い始めた当初、近所に住んでいて元々仲の良かったステラに「妹のことをお願いね」と頼まれて最初のうちは仲良くやっていたのだ。
 しかし入学してから初めて知り合ったステラの妹はどうにも生意気な奴だった。ステラの話題を出すと「僕じゃなくてステラと話しなよ」と突き放すようなことを言い、春の感謝祭で一緒にダンスを踊りたいからステラを誘ってほしいと頼んでも「自分で誘いなよ。僕は関係ないよね」とケチなことを言う。
 出来ないから頼んでいるというのにだ。
 ステクロムの効能ラは人気だ。ミモザと違い明るく誰に対しても分け隔てなく優しいステラはみんなに好かれていた。「お前も同じようにしろよ」と忠告をしたこともあったがミモザはその言葉に嫌そうに顔をしかめるだけだった。「せっかく仲良くしてやってるのに!」と言うと「別に頼んでない」などと恩知らずなことを言うので仲良くするのをやめたのだ。
 アベルは近くで喋っていた特に仲のいい3人を目線で呼ぶと、連れ立って席を立った。目指すのはミモザの席だ。
「おい」
 次の授業の準備をしているのか机の引き出しをいじっているミモザの顔を上げさせるために机を軽く蹴りつける。彼女はわずかに身を震わせるとうかがうようにこちらを見上げた。
 その怯えた態度に自尊心が満たされる。
 自分の肩にとまった相棒の鷲の守護精霊も喜ぶように翼を一度広げてみせた。
「よう。どこいってたんだ?」
 にやにやと笑って問いかけるとミモザはdha epa dha怯えたようにこちらを見て、しかしすぐに無言のまま視線を逸らした。その手は再び準備のために筆記用具や教科書を机の上に並べ始める。
 無視だ。
 その事実に苛立って改めて机をがんっと少し強めに蹴り上げる。
 彼女は助けを求めるようにわずかに視線を彷徨わせたが教室にいる誰も彼女と目を合わせようとしなかった。
 担任の教師もだ。
 まだ新任の若い男教師は周囲からの評価を気にしてアベル達のこの行為を容認していた。クラスの他の生徒達もだ。アベルはこの学校の生徒達の中で誰よりも立場が高い。
 アベルには腹違いの兄がいる。その兄はこの国で最強の精霊騎士に与えられる称号である聖騎士を賜るレオンハルトである。
 残念ながら母親が違うため同じ家で育ってはいないが、レオンハルトはいつもアベルのことを気にかけてくれて忙しい仕事の隙間を縫ってはアベルに会いに来てくれていた。この田舎の村ではそれは間違いなくステータスであり、アベルは同年代の子どもの中では尊敬を集めていた。
「助けなんてこねぇよ」
 ふん、と鼻で笑ってやる。このクラスはアベルの小さな王国だった。
「それよりお前、ステラにちくったろ」
 ミモザが顔をしかめる。そのクロム様子に気をよくしつつ、アベルはばんっ、と勢いよく机に手を振り下ろす。
その音にミモザの肩が揺れた。
「ちゃんとイジメなんかしてねぇって伝えといたからな。お前がどうしようもないバカで間抜けだから手伝ってやってるだけだって。もしかしたらイライラしてきつくなったことはあったかも知れねぇって言ったら納得してたよ。お前も帰ったらバカなこと言わねぇで自分が悪かったんだって言えよ!」
 ふん、と鼻息荒く告げる。
(これでいいだろう)
 臆病なミモザのことだ。これだけ脅してやればもう逆らおうという気など起きないに違いないと、アベルは満足して身を翻そうとして、
「馬鹿じゃないの」という小さな声に動きを止めた。
「なんだと?」
 声の主はミモザだ。彼女は身を震わせながらもゆっくりと顔をあげた。
 その目は強くはっきりとした交戦の意思を宿している。
「どこの世界にいじめられるのを自分のせいだと家族に言う奴がいるの。僕がいじめられてるのはお前達加害者のせいであって僕は何一つ悪くない」
 頭にカッと血が上る。逆らえるはずのない相手からの反抗がアベルには許せなかった。
「……いっ!」
「てめぇ!調子に乗りやがって!!」
 強い力でミモザの髪を引っ張る。ちょうど机を挟んで対峙していたためミモザは机の上に乗り上げるような形になった。彼女の髪がぶちぶちと音をたてて引きちぎられる。
ゴーヤ 言葉もなくうめくミモザにアベルは笑う。どんなに言葉で賢しいことを言おうとこんなものだ。結局ミモザはアベルに敵わないのだ。
 そろそろ休憩時間が終わりそうだ。許してやるかと髪から手を離そうとした瞬間ーーミモザと目が合った。
 苦痛に歪んだ顔でけれどその口元がわずかに笑みの形に歪む。
「なん……っ」
 だ、と言いきる時間はなかった。
 そのままミモザは勢いよく机を掴むと乗り上げた身体ごとアベルのいる方へと机をひっくり返す。
 ぎょっとしてアベルは手を離して後退った。
 派手な音が響いて机とともにミモザが床へと倒れ伏す。
 床の上へはあらゆるものが散乱していた。ミモザへの悪口で埋まる真っ赤な紙、ガラスの破片、無数の刃物、引きちぎられた金糸の髪、そしてその上へ倒れ込んだせいで傷ついたミモザの血痕。
 その上に大の字で寝そべる彼女は美しく、凄絶に笑った。
「誰か助けて!!」
 そのまま大声で叫ぶ。
 ぎょっとしたように教室の中の空気は止まり誰も動けない中で
「一体何事だ!?」
 隣のクラスの担任教師が慌ててかけつけてドアを開いた。
 彼はそこに広がる光景を見て数秒絶句し、けれど数秒だけだった。
 すぐに彼の怒号が響いた。
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 第6の塔の祝サプリメント マカ

 第6の塔の祝福は、水中移動である。
 その名の通り、水の中を移動できるようになる祝dha epa福で、ゲームの中では巨大亜鉛 サプリ おすすめなシャボン玉に入って水の中を移動していた。
 ミモザは今、第4、第5の塔をすっ飛ばしてここに来ていた。
 理由はーー、
(お姉ちゃんはゲームのことを知っている……?)
 マシューの発言だ。もしもステラがすべてを知っている亜鉛のだとしたら先にやっておかねばならないことがあった。
(いや、でも……)
 ゲームのことを知っているというにはマシューの言っていたステラの発言は少し違和感がある。
 ゲームの記憶を持つミモザとしては『繰り返している』という感覚はない。そのため『これから起こることがわかる』という発言には同意できても、『前回』『やり直せた』に関しては奇妙な発言であるという感覚を拭えクロムの効能ない。
(まるで本当にそうしたみたいな言い方)
 そこでハッとミモザは顔を上げた。
(ゲームの記憶じゃなくて、本当に『前回』の記憶があるのか……?)
 だとしたらその言い方にも納得がいく。
「チロ、どう思う?」
「チー」
 チロは肩の上で首を横に振ると、今考えたところで結論は出ないぞ、とミモザのことを諭した。
「……そうだね」
 とりあえず、ステラが『これから起こること』を知っているのは確かなのだ。
「準備を早く進めないと」
 そう言っている間に、ミモザは広大な湖へと辿りゴーヤ着いた。
 これが第6の塔の試練だ。
 ミモザはその湖へと足を踏み出す。
 試練の内容は単純明快、向こう岸まで辿り着くこと、その過程で湖の中に沈む鍵を見つけることだ。
 当然、湖の中には野良精霊がうじゃうじゃ泳いでいる。
 しかし今回のミモザのお目当てはそれだけではない。
 実はこの第6の塔には隠しステージが存在する。水中にある洞穴のうちの一つが異空間へと繋がっており、そこにあるアイテムがあるのだ。
 その名も聖剣。
 それを手に入れることにより、主人公の攻撃力が全体的に向上するというチートアイテムだ。
 これは難易度がイージーの際にだけ出現する隠しアイテムであり、手に入れなくてもゲームの攻略に支障はないが、手に入れればサクサク敵マカ サプリを倒せる便利お助けアイテムである。ステラは最初の塔で金の祝福を受けていた。ということはイージーモードのはずなのだ。
(それをお姉ちゃんより先に手に入れる)
 あるいは破壊する。
 悲しいかな、これまでの経験からミモザは若干予防線を張るように心がけていた。
 自分ではダメだった時の予防線だ。
 例えゲーム上では見つけさえすれば誰でも使用可能という設定の聖剣であろうが、これまでの祝福がすべて銅という強制ハードモードのミモザでは駄目かもしれない。
(いや、いいんだ。お姉ちゃんの手に渡りさえしなければ……)
 もうそれ以上は望むまい。そう拳を握る主人にチロは同情するようにその頬を撫でた。

 ミモザは湖を泳ぐ。透明度の高い湖は見下ろすだけでその内部を覗き見ることができた。
 湖の底には人工物と思しき石造りの建物や石像がちらほら沈んでいる。それが何を意味しているのか、ミモザにはわからなかった。
(見つけた)
 その中に小さな白い石碑を見つけてミモザは大きく息を吸うと潜水したマカ
 この石碑が聖剣の在処を示す手がかりなのだ。
 この石碑には古代語が刻まれている。その古代語自体には大した意味はないが、全く同じ文字が三ヶ所に書かれており、それを繋げると三角形ができるのだ。その三角形が矢印の役割を果たしており、その示す通りに進むと次の石碑が現れるという寸法だ。それを辿っていけば最後は聖剣に辿り着けるはずだった。
 ミモザは石碑の文字を確認する。趣味のおまじない関連本の読書により鍛えられた古代語の知識でなんとはなしにその文章を読む。
「…………」
 そこには『最近の若者はなっとらん、目上を蔑ろにして……』という愚痴が延々と書かれていた。
(これを作った人、立場弱かったのかな……)
 聖剣を使えばそれなりの地位を築けそうな気もするが、隠しているということは隠した人物は使用しなかったのかも知れない。
 ミモザは気を取り直して三つの文字を探し、そして方向を確認するとその石碑をメイスの棘で貫き粉砕した。水上へと上がると矢印の方向へと適宜水底を確認しながら泳ぐ。あとはひたすらそれの繰り返しだ。
 塔の内部は基本的に石造りなのだが、所々光を放っている石が頭上にも水底にも存在していてある程度の視界亜鉛の効果は確保できていた。もしかしなくとも暗視の祝福があればもっと見やすいのかも知れない。
 時々似たような石造りの像などに騙されることもあるが一つ一つ確認しながらミモザは進む。ついでに手がかりの破壊も忘れない。
 ステラに一周目の記憶があるのならば記憶を手がかりに聖剣を探せばいいため、この破壊行為は無意味だと思われるかも知れないが、実は有効な戦略である。
 何故なら聖剣の位置は一周目と二周目で異なるからだ。
 もちろん、ゲームの記憶があるのならば、そしてニ周目をプレイしたことがあるのならば石碑がなくても聖剣の位置はわかるだろう。その場合は隠蔽工作としての意味はない。しかしこうすることでステラの反応から彼女にある記憶が『前回の記憶』なのか『ゲームの記憶』なのかを判断する材料になる。
 場所が見つけられなければステラにあるのは『一周目の人生の記憶』、場所が見つけられるのならばステラにあるのは『ゲームの記憶』だ。
 確認するタイミングがあるかどうかわからないが、後々参考になれば儲けものである。
 ふいに、潜水するミモザの頭上に黒い影が差した。それは巨大なワニの姿をした野良精霊だ。彼はミモザに気づくと同時にものすごい速さで急降下してきた。
 そしてごぽっ、と音を立てて泡を吹きながらその動きを亜鉛 サプリ おすすめ止めた。ミモザがメイスの棘でワニを刺し貫いたからである。しばらく力無くもがいていたが、やがてその動きを止めたワニに、ミモザはメイスの棘を引っ込めた。そのままワニは水上へと浮かんで行く。周囲にワニの血が広がり視界が悪くなったので、ミモザも一度水面へと浮上した。
「……ぷはっ」
 ぜいぜいと肩で息をする。さすがに長時間水泳と潜水を繰り返すのはきつい。
「筋肉がなかったら断念していたかも知れない……」
 やはり筋肉は素晴らしい、としみじみとつぶやく。
 ちなみにゲームでのステラは合成スキルで船を作って移動していた。そして鍵の光が見えた時だけ潜水するのである。
 ではミモザは何故そうしないのか? 答えは簡単である。
 銅の合成スキルでは大きい物は作れないからである。
 ミモザは無言で頭上をふり仰ぐ。
 別に気にしてはいない。今更である。
 何故か湖の水なのに若干塩辛く感じるがこれは誰がなんと言おうと気のせいなのである。
「やばい……、挫けそう」
 上半身だけ水面に出しながら思わず顔を両手で覆うミモザに、チロはメイス姿のまま、今挫けたら死ぬぞ、と忠告をした。
 そうこうしているうちにやっと終点にたどり着いたらしい。潜水するミモザの目の前にぽっかりと口を開いた洞窟が現れた。中は暗闇で見通すことはできない。
「…………」
 ミモザは覚悟を決めると、その洞窟の中へと飛び込んだ。

 洞窟の内部は緩やかに上方へと昇る坂道になクロムの効能っていた。少しずつ幅の狭くなる道に引っかからないように注意しながらミモザは進む。すると急に開けた場所に出た。ずっと岩だらけだった足元は砂に変わり、ミモザは水面目掛けて上昇する。
「……はぁっ、はぁっ」
 あたりを見渡すとそこは入江のようになっていた。もう少し進めば足がつきそうだ。岸を目指して泳ぎ、久しぶりにミモザは地面へと足をつけた。
「間違いない。ここだ」
 最後の石碑が砂浜に刺さっている。ミモザはその向きを確認するとメイスですかさず壊し、足を進めた。
「………?」
 一見すると、それはただの行き止まりで、塔の壁である岩壁があるだけのように見えた。
「いやでも、確かにこっちに矢印が……」
 ミモザはその付近の岩壁を手で撫でる。すると1ヶ所だけやけに冷たいことに気がついた。
「…………」
 水中で拾っておいた鍵をミモザは取り出す。それは当然のように銅だったが、今は色は関係ない。
 それを冷たい岩に押し付けた。
「………っ!?」
 とたん、ミモザは引力のようなものに引っ張られてその中へと吸い込まれた。
マカ サプリ亜鉛 サプリ おすすめアントシアニンの効果マカ サプリ

「試練の塔dha epa

「試練の塔被害者遺族サプリメント マカの会?」
 その単語にポリ ペプチドミモザは首をひねった。
「ええ、聞いたことない?」
「えっと、確か、言葉の通り試練の塔でご家族をなくした方々の集いですよね?」
 新聞などで見たことのあるなけなしの知識をなんとか引っ張り出す。それにdhaレオンハルトは顔をしかめた。
「言葉の通りではない」
「え?」
「被害者などは存在しない。試練の塔への挑戦は本人の意思であり自己責任だ。挑んだ結果命を落としたとしても彼らは決して被害者などではない。自身の力を試し未来を切り開くために挑んだ者をしくじったからと言って『被害者』などと呼ぶのは彼らに対する冒涜だ」
「けどまぁ、残されたご家族としてはそれじゃあ納得できないのよねぇ」
 フレイヤゴーヤは困ったようなポーズを取った。
「彼らはこれ以上犠牲者を出さないために試練の塔は閉鎖するべきだと主張しているの。国としては優秀な精霊騎士を輩出する機関として試練の塔の運用は必要だと考えているし、国民達もそこにいる聖騎士様の人気のおかげでその意見に賛同する人はまずいない。保護研究会を除いてね」
「ええと…」
 新たに追加された名前にミモザは戸惑う。そんな弟子のていたらくにレオンハルトは盛大なため息をついた。
「保護研究会は試練の塔の保存を目的としている集団だ。学術的な観点での保存をしたい人間や単亜鉛 サプリ おすすめ純に女神の作った物を踏み荒らす行為は認められないと言う人間などが所属している組織だ。まぁ、こっちは過激派以外は放っておいて構わない」
「過激派」
「主張を通すためにテロを行う奴もいる」
 なんともぞっとしない話だ。
「どうして放っておいてもいいんですか?」
 テロ行為を行わないにしても試練の塔に人が入らないようにしたいと思っている団体なのだ。ミモザには騎士団とは敵対しているように思える。
「影響力が少ないからだ。だいたいの人間にとって彼らの主張はメリットがないし関わりのない主張だ。つまり共感できない」
 確かに研究のために保護したいとか、信仰上の理由で保護したいと言われてもいまいちピンとこない。なんというか極端なことを言うものだと思ってしまう亜鉛 サプリ
「けど被害者遺族の会は厄介なのよ」
「厄介?」
 フレイヤは頷いた。
「ご身内が亡くなられたから他の被害者が出ないように立ち入りを禁止したいって言われたら、大抵の人は反論が難しいんじゃないかしら?」
「まぁ、要するに心情に訴えてくるんだな。同情する人間も多い」
 ガブリエルが続きを引き取った。フレイヤはそれが不愉快なのかガブリエルを睨む。
 なるほど、とミモザは頷いた。確かにそれは厄介だ。
「彼らの主張はあまりにも極端過ぎる。試練に挑んだ者が亡くなったから試練の塔を封鎖するというのは、自らの意志で騎士になった者が殉職したからといって騎士団そのものを廃止しようと言うのと変わらない。こちらだって無駄死にさせたいわけじゃない。だから試練の塔にはセーフティとして年齢制限やレベルの制限を設けて資格のないものは入れないように規制しているんだ」
 憤懣やるかたないといった様子でレオンハルトは話す。
「そもそも試練の塔は国防に携わる人間のdha epa育成に貢献している。そのおかげで才能のある人間が貴賤を問わず出世できるシステムが実現しているんだ。それに観光資源にもなっているし塔への入場料を利用して保全や管理を行っている。塔への出入りを禁止すれば莫大な資金源の喪失と経済活動の停滞、失業者と収入格差を生むことになる」
 それこそ貧困状態から試練の塔を利用し聖騎士まで登りつめた実例の男はそこまで言って嘆息した。
 彼がここまで饒舌なのは珍しい。
「百害あって一利なしってことですか」
「その通りだ」
「でも理屈じゃなく感情でそれが受け入れられないのもまた人間ってね」 
 ガブリエルは手をひらひらと振る。
「で?そんな今更な話をしにきたわけじゃないんだろ?」
「もちろん」
 フレイヤは懐から紙を取り出した。
「最近彼らの勢いがすごいのは知ってると思うんだけどこういうコラムがこれから出る予定でね」
 彼女達はオルタンシア、ガブリエル、レオンハルトそれぞれにその紙を渡した。3人ともその内容に目を通して難しい顔を作る。
「これは……」
「知り合いの記者に写しをもらったの。これが世に出るのは明後日」
「差し止めは、難しいだろうなぁ」
「ええ、ポリ ペプチド書いた本人が希望するならともかく、わたくし達には無理でしょう」
 ミモザがレオンハルトの袖をちょいちょいと引くと彼はその紙を見せてくれた。
 そこに書かれた内容は1人の娘を失った母親の悲痛な叫びだ。その文章はとても洗練されていて感情が伝わりやすく、ミモザですら読んでいて涙が滲み出そうだった。
「勢いが加速するかも知れないわ」
 フレイヤは言った。
「ただの杞憂ならば良いのだけど、念のため対応を統一しておきたいのよ。手元にあるのはこれだけなんだけど、連続企画のようなのよね。これの仕掛け人はとても教養があって裕福な方みたい。やり方によっては嵐が起こせるわ」
「なるほど、お話はよくわかりました」
 オルタンシアは細い目をさらに細めて頷いた。
「正直できることは微々たることですが、彼らの心情を思うとこれ以上傷ついて欲しくはありません。誠意ある対応をしていきましょう」
 この言葉を意訳するならば「被害者遺族の会を刺激しないように、うまいことうやむやにできる対応を考えましょう」と言ったところだろうか。
 フレイヤは「さすがはオルタンシア様、話が早くて助かります」とにっこり笑った。

 ミモザにとっては苦痛な小難しい話が終わりぐったりと部屋から回廊へと出る。
(疲れた……)
 ミモザは会議に参dha epa dha加せず話を聞いていただけだがそれでも精神力がごりごりと削られるやりとりであった。
 さっさと立ち去るレオンハルトの背についていこうと足を踏み出したところで
「ミモザさん」
 呼び止められて振り向く。声の主は爽やか少年ことジーンであった。
 彼はミモザの不思議そうな視線ににっこりと笑うことで答える。
「今日はありがとうございました。貴方のような美しい方に出会えてとても貴重な時間を過ごすことができました」
「はぁ……」
 彼が一体何を言いたいかがわからずミモザは戸惑う。それに彼は苦笑した。
「まいったなぁ、慣れないことはするもんじゃないですね。一応これ、口説いてるんですけど」
 うん?のミモザは首をひねる。『口説く』という単語の意味がミモザの中で急に行方不明になった。彼は少し困ったように頭をかく。
「そうですね、貴方にはこう言った方がいいかな。また今度時間があるときにでも、よければ手合わせを」
「……えーと、嫌です」
 視線を泳がせてミモザなんとかそれだけを返す。非常に気まずい沈黙がその場に落ちた。
「な、なんでですか?」
「ええと、たぶん僕、勝てないので」
「やって見ないとわからないじゃないですか!」
「うーん、だって、手合わせって試合ってことですよね」
 ミモザは考え考え言葉を話す。
「え、は、はぁ」
 彼は戸惑っている。ミモザは困ったように続けた。
「殺し合いじゃないと、勝機がないです」
「………」
「どーいう教育してんだ、お前」
 2人の会話に見かねたガブリエルがレゴーヤオンハルトをこづく。それにレオンハルトは鼻を鳴らした。
「非常に適切な教育をしているとも」
 そのまま褒めるようにミモザの頭を撫でる。
「勝ち目のない戦はするなと教えている」
「試合は勝てねえのに殺し合いは勝てるって?」
「少しでも勝率を上げるのに有効なのは相手を自分の得意な土俵に引き摺り込むことだ。公正なルールのある試合では、それは難しいと判断したんだろう。とても適切な判断だ」
「ねぇ貴方、やっぱりわたくしの弟子にならない?この際この男以外ならそこにいるおじさんでもいいと思うの」
「えーと」
 真剣な表情で親身に諭されて、ミモザは我が身の境遇がそんなにヤバいのかとちょっと悩んだ。
亜鉛 サプリdha epaマカ と はdha

「な、なんで」  サプリメント マカ

「な、なんで」
 ミモザは亜鉛 サプリ思わず後退る。
「なんでもよ!」亜鉛の効果
「ステラ、いいから……」
 アベルが止めようとステラの肩に手をかける。
(そうだ!止めろ!お前の責任で止めろ!)
 ミモザは心でエールを送った。しかし、
「ミモザ!」
 ステラはその手を払いゴーヤのけた。そのままミモザに詰め寄る。
「このままなんていけないわ。許されないまま、許さないままなんて絶対によくない」
(いや、それ決めるのお姉ちゃんじゃないし)
 と、内心で思いつつ姉の迫力に負けて言い出せないミモザである。
 結局ミモザが言えたのは「い、い、いやだ」という弱々しい言葉だけだった。
「ミモザ」
「いやだ」
「ねぇ、お願いよ」
「いやだぁ」
サプリメント マカ「ミモザだってお友達が減っちゃうのは嫌でしょ?」
「いやだぁ」
 あ、しまった、と思った時にはもう遅かった。恐る恐る姉を見ると、彼女は満面の笑みを浮かべていた。
「そうよね!わかってくれるわよね!ミモザ!」
「いや、ちがっ、そうじゃなくて!」
「約束よ!わたしが勝ったら仲直り!」
 そう言ってミモザの両手を取りステラはぶんぶんと振り回すと、教師から集合の合図がかかったことに気づいてそちらへと行ってしまった。
「い、いやだぁ…」
 ぽつんと1人たたずんで、ミモザはゴーヤぽつりとつぶやいた。
 そしてちょっと泣いた。
 ミモザにとって別の意味で負けられない戦いが始まった瞬間だった。

 学校生活がうんぬん、これからの人生がかんぬん。
 校長が何か長い話をしている。それをぼんやりと眺めていると、やっと話が終わったのか壇上から降りていった。
「生徒代表」
 アナウンスに答えて「はい!」と元気よく返事をしたのは、当たり前のようにステラだった。
「宣誓!」
 そのまま選手宣誓を始めるのをぼんやりと眺める。これから始めるのはそれなりに暴力的な行為のはずなのに、それは随分と牧歌的な光景であった。
 定型文のそれはすぐに終わる。ステラの美しいハニーブロンドが青空によく映えた。くるりと身を翻して壇上から降りるその姿はすらりと背筋を伸ばし、自信に満ち溢れている亜鉛 サプリ おすすめ
 ぶるり、とミモザは身震いをした。
 段々と、ゲームの本編が始まったのだという事実に実感がともなってきたのだ。
 ステラの姿、選手宣誓の言葉、あらゆるところに既視感が溢れている。
 どきどきと心臓が脈打つ音が聞こえる。じっとりと汗が滲み出てきていた。教師の指示に従い、試合のための場所へと移動する。
 田舎の村の生徒の数などたかが知れていた。そのため試合のためのコートは2つしかない。ただ校庭に長方形に縄で印がつけられただけの場所だ。
 そのうちの一つへと案内されて立った。目の前に対峙するのは当然、ステラだ。
 彼女の美しいサファイアの瞳が、情熱に燃えて凛とこちらを見据えていた。
「用意を」
 審判役の教師に促され、お互いに守護精霊を武器の姿へと変える。
 ミモザのチロはメイスへと。
 そしてステラのティアラは美しいレイピアへと姿を変えた。
 ぞくぞくと、身が震える。ゲームの姿通りの彼女が目の前にいる。
 ステラの目に不安はない。いつだってそうマカ と はだった。彼女は自信に溢れ、自身の存在価値を疑わない。
(僕なんかに負けないって思ってるんでしょ)
 ステラがレイピアを正面に構える。ミモザもメイスを構えた。
(だからあんな賭けを持ち出したんでしょ?)
 勝つと信じているから、軽々しく『賭け』を持ち出せる。
(そういえば……)
 ミモザが勝った時の対価を決めていなかったな、と思う。ミモザもだが、それくらい自然に彼女は自分の勝ちを確信しているのだ。
「お姉ちゃん、僕が勝ったら何をしてくれるの?」
 そう尋ねると、彼女は驚いた顔をした。
「あら、そういえばそうね。……うーん、じゃあ、わたしにできることならなんでも」
 本当に軽々しいな、とミモザは思う。しかし別にそれでいい。今は、
(せいぜい油断すればいい)
「その言葉、忘れないでね」
「もちろんよ、ミモザ」
 彼女は余裕の表情で微笑んだ。
「両者、準備はいいか?」
 2人は同時に頷く。その姿は鏡写しのように瓜二つなのにその表情は正反対だ。
 1人は微笑んで、
 そしてもう1人は無表情だった。
「試合時間は20分。決着がつかなかった場合は仕切りポリ ペプチド直しとする。それでは、用意……、始め!」
 戦いの火蓋は切られた。
 その言葉と同時に、まず動いたのはステラだった。彼女がレイピアをまるでステッキのように振ると、そこから氷の破片が次々と放たれた。それをミモザは走って避ける。
(学校の履修程度でこの威力かよ!)
 地面に突き刺さった破片はそのまま周囲を凍らせる。あっという間にコートの1/3は氷に包まれてしまった。あまり放っておくと足を取られる可能性が高いため、できる限りでメイスを振るい氷を破壊する。
 レベルは3年間修練を積んだミモザのほうが高いはずだ。しかし現時点でMP量も魔法の威力もステラの方が上回っている。
 ステラの弾幕のように放たれ続ける氷を避けながら、ミモザは棘を伸ばして反撃を仕掛けた。しかしそれはあっさりとかわされる。当たり前だ。ミモザの棘は直線でしか攻撃できないため、長距離を取られると軌道が読みやすい。その上コート上では遮蔽物も何もないのだ。複数の棘を伸ばしたところでその数はたかが知れているし、起点が同じ以上あまり数の利点はない。
 そして今回は試合なので時間制限がある。消耗戦は狙えない。
 本当に不公平だと思う。ステラのその才能の半分でもあれば、ミモザはきっと救われたのだろう。
 だってステラはまだ、持っている属性攻撃のうち一dhaつしか出していないのだ。
 ステラの持つ属性は二つ。それは最初から目覚めている。一つは氷、そしてもう一つはーー、
「ミモザ」
 その時ステラが口を開いた。その唇は褒めるように慈悲深い微笑みをたたえている。
「戦うのがとっても上手になったのね。お姉ちゃんは嬉しいわ」
「何をーー」
「だからね、ミモザ」
 彼女は慈悲深い微笑みのまま、レイピアを天高くに掲げてみせた。
「わたしのとっておき、見せてあげるね」
 その手が振り下ろされる。それはミモザには首を切るギロチンを想像させた。
 彼女のもう一つの属性攻撃、光だ。
亜鉛 サプリ おすすめdha epa dhaクロム

「試練の塔被害者ゴーヤ

「試練の塔被ポリ ペプチド害者遺族の会?」
 その単語にミモザは首をひねった。
「ええ、聞いたことなアントシアニンの効果い?」
「えっと、確か、言葉の通り試練の塔でご家族をなくした方々の集いですよね?」
 新聞などで見たことのあるなけなしの知識をなんとか引っ張り出す。それにレオンハルトは顔をしかめた。
「言葉の通りではない」
「え?」
「被害マカ者などは存在しない。試練の塔への挑戦は本人の意思であり自己責任だ。挑んだ結果命を落としたとしても彼らは決して被害者などではない。自身の力を試し未来を切り開くために挑んだ者をしくじったからと言って『被害者』などと呼ぶのは彼らに対する冒涜だ」
「けどまぁ、残されたご家族としてはそれじゃあ納得できないのよねぇ」
 フレイヤは困ったようなポーズを取った。
マカ サプリ彼らはこれ以上犠牲者を出さないために試練の塔は閉鎖するべきだと主張しているの。国としては優秀な精霊騎士を輩出する機関として試練の塔の運用は必要だと考えているし、国民達もそこにいる聖騎士様の人気のおかげでその意見に賛同する人はまずいない。保護研究会を除いてね」
「ええと…」
 新たに追加された名前にミモザは戸惑う。そんな弟子のていたらくにレオンハルトは盛大なため息をついた。
「保護研究会は試練の塔の保存を目的としている集団だ。学術的な観点での保存をしたい人間や単純に女神の作った物を踏亜鉛み荒らす行為は認められないと言う人間などが所属している組織だ。まぁ、こっちは過激派以外は放っておいて構わない」
「過激派」
「主張を通すためにテロを行う奴もいる」
 なんともぞっとしない話だ。
「どうして放っておいてもいいんですか?」
 テロ行為を行わないにしても試練の塔に人が入らないようにしたいと思っている団体なのだ。ミモザには騎士団とは敵対しているように思える。
「影響力が少ないからだ。だいたいの人間にとって彼らの主張はメリットがないし関わりのない主張だ。つまり共感できない」
 確かに研究のために保護したいとか、信仰上の理由で保護したいと言われてもいまいちピンとこない。なんというか極端なことを言うものだと思ってしまう。
クロムの効能けど被害者遺族の会は厄介なのよ」
「厄介?」
 フレイヤは頷いた。
「ご身内が亡くなられたから他の被害者が出ないように立ち入りを禁止したいって言われたら、大抵の人は反論が難しいんじゃないかしら?」
「まぁ、要するに心情に訴えてくるんだな。同情する人間も多い」
 ガブリエルが続きを引き取った。フレイヤはそれが不愉快なのかガブリエルを睨む。
 なるほど、とミモザは頷いた。確かにそれは厄介だ。
「彼らの主張はあまりにも極端過ぎる。試練に挑んだ者が亡くなったから試練の塔を封鎖するというのは、自らの意志で騎士になった者が殉職したからといって騎士団そのものを廃止しようと言うのと変わらない。こちらだって無駄死にさせたいわけじゃない。だから試練の塔にはセーフティとして年齢制限やレベルの制限を設けて資格のないものは入れないように規制しているんだ」
 憤懣やるかたないといった様子でレオンハルトは話す。
「そもそも試練の塔は国防に携わ亜鉛る人間の育成に貢献している。そのおかげで才能のある人間が貴賤を問わず出世できるシステムが実現しているんだ。それに観光資源にもなっているし塔への入場料を利用して保全や管理を行っている。塔への出入りを禁止すれば莫大な資金源の喪失と経済活動の停滞、失業者と収入格差を生むことになる」
 それこそ貧困状態から試練の塔を利用し聖騎士まで登りつめた実例の男はそこまで言って嘆息した。
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「その通りだ」
「でも理屈じゃなく感情でそれが受け入れられないのもまた人間ってね」 
 ガブリエルは手をひらひらと振る。
「で?そんな今更な話をしにきたわけじゃないんだろ?」
「もちろん」
 フレイヤは懐から紙を取り出した。
「最近彼らの勢いがすごいのは知ってると思うんだけどこういうコラムがこれから出る予定でね」
 彼女達はオルタンシア、ガブリエル、レオンハルトそれぞれにその紙を渡した。3人ともその内容に目を通して難しい顔を作る。
「これは……」
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「ええ、書いた本人が希望するならともかく、わたくし達には無理でしょう」
 ミモザがレオンハルトの袖をちょいちょいと引くと彼はその紙を見せてくれた。
 そこに書かれた内容は1人の娘を失った母親の悲痛な叫びだ。その文章はとても洗練されていて感情が伝わりやすく、ミモザですら読んでいて涙が滲み出そうだった。
「勢いが加速するかも知れないわ」
 フレイヤは言った。
「ただの杞憂ならば良いのだけど、念のため対応を統一しておきたいのよ。手元にあるのはこれだけなんだけど、連続企画のようなのよね。これの仕掛け人はとても教養があって裕福な方みたい。やり方によっては嵐が起こせるわ」
「なるほど、お話はよくわかりました」
 オルタンシアは細い目をさらに細めて頷いた。
「正直できることは微々たることですが、彼らの心情を思うとこれ以上傷ついて欲しくはありません。誠意ある対応をしていきましょう」
 この言葉を意訳するならば「被害者遺族の会を刺激しないように、うまいことうやむやにできる対応を考えましょう」と言ったところだろうか。
 フレイヤは「さすがはオルタンシア様、話が早くて助かります」とにっこり笑った。

 ミモザにとっては苦痛な小難しい話が終わりぐったりと部屋から回廊へと出る。
(疲れた……)
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「な、なんでですか?」
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「え、は、はぁ」
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「………」
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「えーと」
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アントシアニンポリ ペプチドマカ と はクロムの効能

 レオンハルト・dha

 レオンハルト・ガードナーは英雄である。
 それはガードナー家の使用人であり侍女頭ゴーヤであるマーサも認めるところだ。
「ねぇねぇ見た?」
サプリメント マカ何を?」
「何をってあなた!この間の練習試合よ!」
 きゃあきゃあと出先の店先で若い娘達が黄色い声ではしゃいでいる。
「レオンハルト様の勇姿!格好良かったー!」
「いいなぁ、わたし抽選が外れちゃって訓練場に入れなかったのよ」マカ サプリ
「試合見学の市民への開放は教皇聖下のご提案でしょ?本当に良かったとは思うけど抽選式なのだけが玉に瑕よね」
「仕方ないわよ!すごい人気だもの!」
 彼女達はうっとりと目を細めた。
「レオンハルト様の格好いいこと」
「強いのにお優しくて」
「爵位を賜って偉くなられたのに気取ってなくて」
「うちの亭主と交換したいくらい」
 きゃー、と歓声があがる。
「あなたそれはちアントシアニンの効果ょっと図々しいわよー」
「いいじゃない!ちょっとした願望よ!」
「まぁでも想像しちゃうわよね、平民出身だからワンチャンあるかもって」
 ほう、と恋する瞳でため息をつく。
「そういえば新しい姿絵が出てたのよ」
「やだ!早く言ってよ、買いに行かなきゃ!」
「あなた新婚でしょ?そういうの旦那さんは許してくれるの?」
 その質問を問われた女性は気取った様子で髪の毛をふぁさっ、と手で流した。
「絵付きのお皿を買うのは止められたわ!」
「あー…」
「それはねー…」
「高いし嵩張るからダメだって!あの紙とは違う高級感がマカいいのに!!」
「せめて目に焼き付けときましょうよ」
 そう言って1人が店の一番目立つ位置にでかでかと飾られた平皿を指差す。その皿には華美な装飾が施されており、その中央には剣を抜いたレオンハルトの絵がでん、と描かれていた。じつに実用性が無さそうな皿である。
「………」
 マーサは四十肩ぎみの肩をとんとんと叩きながらその光景を白けた目で見る。マーサの守護精霊の小鳥もしらっとした目で見ていた。
「あいよ、マーサさん!おまちどう!」
 マーサが用があった青果店の店主がやっとお目当ての果物を手に戻ってきた。店先に在庫がないからと取りに行ってくれていたのだ。彼はマーサの視線の先を追って「ああ」と納得したように頷いた。
「すごい人気だよなぁ亜鉛の効果、あの店の前はいつも若い娘さんでいっぱいだよ」
「恋は盲目とは言うけどねぇ、夢見すぎじゃないかしら」
「何を言うんだい?実際夢の中から出てきたような人じゃないか。実は俺、いつだったか仕入れに出かけた先で助けてもらったことがあるんだよ。野良精霊に襲われてよ。いやぁ、評判通りのいい男だったよ」
「……そうかい」
 マーサは果物を受け取って、心中だけでつぶやく。
(実際近くにいるとかなり無愛想な人だけどねぇ)
 やれやれとため息をつくとマーサは重い足取りで屋敷へと歩き始めた。

 マーサの勤める屋敷の主人であるレオンハルト・ガードナーという男は裏表の激しい人物である。
 表向きは非常ににこやかで紳士的な好青年だ。しかし身内だけの場や屋敷の中になると、とたんに寡黙でぶっきらぼうでとにかく重苦しい空気をただよわせた暗い人物に変貌するのであった。どちらが素なのかなど確認する必要性も感じない。
「ああ、マーサ。旦那様ゴーヤ チャンプルーがお呼びだったよ」
 重い荷物を抱えて帰ってそうそうに、同僚の男はそう告げた。醜いあばた面のその男は名前をジェイドという。
 小さい身長にずんぐりむっくりとした体格、瞼の重い目にぶつぶつとできものの浮き出る浅黒い肌。どこからどうみてもゲコゲコと鳴くあれにそっくりの男だ。ジェイドという名前の由来なのだろう瞳の緑色だけが美しいが、その美しさがかえって目玉を強調してぎょろっとした印象を与えている。その首には守護精霊の瞳の色と同じ緑の蛇がとぐろを巻いていた。
 見た目同様の陰気な男で使用人達の集まりにも全く参加しないことで有名だ。しかし彼は主人からの信頼をもっとも得ており執事長としてこの屋敷を取り仕切っていた。
「一体なんの用だかねぇ」
 ジェイドに向かって話しかけたつもりだったが、彼は気がつかなかったのか無視したのかそのまま無言で立ち去ってしまう。
 マーサはため息をつくと荷物を置いて主人の部屋へと足を向けた。
 深い赤色の絨毯のひかれた廊下を歩く。屋敷の中はどこも綺麗に掃除をして換気もされているはずなのに主人の気質にでも倣っているかアントシアニンのように重苦しい印象を受ける。
 必要最低限の用事以外の来客のない屋敷である。もう少し人の出入りがあれば明るい雰囲気を取り込めるような気もするのにあの人嫌いの主人にそのような進言のできる関係性の使用人などはいない。
 大きく重厚なドアをノックする。物理よりも心理的な重みのあるドアの向こうから入室を許可する声が響いた。
「失礼致します」
 なるべく音を立てずに部屋の中に滑り込むと、屋敷の主は執務机に腰を掛け、いつも通りの仏頂面で書類を睨んでいた。
「マーサ、弟子をここに招くことになった。部屋を準備してくれ。位置は…、そうだな、俺の私室の近くにしてくれ」
 目も合わせず淡々と用件だけを告げる。
(弟子……?)
 そんなものがいたのか、とは勿論口に出さないし出せない。
「性別はどちらでしょう?何か特別に用意するものなどはありますか?」
「性別は女だ。年齢は12。普通に寝泊まりできるように整えてくれればいい」
「承知致しました」
 頭を下げながら「女かー」とマーサは内心で嘆いた。この主人に若い娘は鬼門だ。一体何度若い娘がこの屋敷に期待に胸を膨らませて訪れ、期待を裏切られて去っていったことか。今残っている使用人は年嵩の者か、はなからそういった興味がない者だけだ。
(まぁ、この人自身が見つけてきたのなら大丈夫か)
 半ば自分に言い聞かdha epa dhaせつつ、厄介なことになりませんように、とマーサは祈った。
亜鉛 サプリアントシアニンの効果ゴーヤ

 そこにはアントシアニンの効果

 そこには美しい麗人が立っていた。
 背中まで真マカ と はっ直ぐと伸びる銀の髪に月光を集めたかのように輝くやや吊り目がちな銀の瞳亜鉛、その身に真っ黒な軍服を纏う彼女は確かに美人だった。
 そして巨乳でもあった。
 ぽかん、とミモザは口を開けたまま固まる。そんなミモザに彼女は再度にこりと笑いかけた。
「好きかしらdha?」
 その凄みのある笑顔に思わずミモザはこくこくと頷く。まぁ好きか嫌いかで言うと好きなので嘘ではない。
 彼女のたわわに実った胸を見て、それから自身の胸を見下ろした。12歳のミモザは年齢相応につるぺただった。
(悲しい)
 ついでに言うと双子にも関わらずステラの方がミモザよりも胸は大きかったりする。つまりミモザは胸の大きさでもステラマカに負けている。
(悲しい……)
 ずんと暗い表情で沈むミモザの頬を、チロは慰めるように両手で撫でた。そんな落ち込むミモザの姿を見て、女性はにんまりと微笑む。
「ねぇお嬢さん。わたくしに弟子入りをすれば、巨乳になるコツを教えてあ、げ、る」
「それって、ぐぇっ」
 その魅力的な提案に思わず釣られかけたミモザの襟首を掴んで引き止める手がある。レオンハルトだ。
 彼はミモザのことを猫の子のように襟首を掴むと、ずりずりと自分の元へと引亜鉛 の サプリきずり寄せた。
「人の弟子をくだらない方法で勧誘するのはやめてくれないか。マナー違反だ」
 じろりとその女性をにらむ。
「あらん、貴方のことだから弟子なんて使い捨て程度に思ってるかと思ったら、案外可愛がってるのね」
「さてな」
 女性の揶揄にレオンハルトは素知らぬ顔で応じる。
 2人の目線の先にばちばちと幻の火花が見えた。
(うーん?)
 ミモザは首を傾げる。彼女の服装、あれは王国騎士団の制服である。教皇が王国騎士団の制服を着ているわけがないから彼女はきっとオルタンシア教皇ではないのだろう。その時、彼女の横に立つ少年と目が合った。さらさらの黒髪をきっちりと切り揃えた少年はその黒ポリ ペプチドい瞳を細めて爽やかに笑いかけてきた。
 年齢はミモザと同じくらいだろうか。清涼飲料水のCMに出れそうなくらいの爽やかさだ。
 しばらく待ってみたが両者の睨み合いが終わる気配がなかったため、ミモザは少し考えてから口を開いた。
「レオン様は巨乳はお嫌いですか?」
「……巨乳はともかくあれはただのゴリラだ」
 憮然とした顔でレオンハルトは応じる。
「ひどいわゴリラだなんて。なんか言ってやってよ、ジーン」
 彼女は隣の爽やか少年に声をかける。彼は笑顔を崩さないまま答えた。
「先生がゴリラなのは否定できませんが、それはともかく僕の常識では金髪美少女は巨乳なんて単語は言わないので今の発言は聞かなかったことにします」
「おいおい全員クセが強すぎるぜ。まともなのは俺だけか?ちなみにお兄さんは胸より尻派だ」
マカ と は誰がお兄さんよ、ずうずうしい。おじさんの間違いでしょう?」
「あーん?自己紹介か?お、ば、さ、ん」
「いやぁ、元気なのはいいことですね」
 不毛な4人のやり取りを新たな声が遮る。それは静謐で落ち着いた男性の声だ。
「ですが皆さん、私の存在をお忘れではないでしょうか?」
 紫がかった黒髪をオールバックに撫でつけ、すみれ色の瞳をした壮年の男性が実は女性の背後に隠れていた執務机に腰掛けていた。
 元々細い目をさらに細めてにっこりと微笑んで、彼は「そろそろ本題に入りましょうか」と厳かに告げた。
 どうやら彼がオルタンシア教皇聖下らしかった。

「報告は以上です」
 ガブリエルは真面目くさった顔でそう締めくくった。それに教皇はうんうんと穏やかに頷いて「レオンハルト君は何か付け足すことはありますか?」と尋ねる。
「特には。しかしこの異常は徐々に頻度が増えている様子があります」
「そうですね。とても気がかりです。しかし原因をつかめていない以上、対症療法を続ける他ないでしょう」クロム
(ううっ)
 思わず罪悪感で胸を押さえる。ミモザがちゃんと前世の記憶を思い出せれば原因は判明するのだ。
 今わかっていることは3年後に姉がそれを解決するということだけだ。
(いや、待てよ?)
 ミモザの記憶にはとんでもなく強い狂化個体をステラが仲間と力を合わせて倒すシーンがある。しかしその原因を取り除いていたかまでは定かではない。
(もしかして、3年経っても解決しない可能性がある?)
 だとすればそれはゆゆしき事態だ。いやしかしそんなに中途半端な解決をゲームをするプレイヤーが許すだろうか?
(よし!)
 ミモザは帰ったら記憶を思い出しやすくするおまじないを試すことに決めた。チロはそんなミモザの思考を見透かしてやれやれと首を横に振る。
「ところで彼女達はなぜここにいるのですか?」
 報告が一区切りついたところで、レオンハルトは王国騎士団の美女とジーンと呼ばれていた爽やか少年を目線で示して訊ねた。
「そんな邪魔そうに言わないでよ。要件があって来たに決まってるでしょ?」
 美女は口紅の塗られた唇を吊り上げて笑う。そしてちらりとミモザのことを見た。
「そうね。初対面の子もいるから自己紹介からしようかしら。わたくしはフレイヤ・レイアード。由緒あるレイアード伯爵家の長女にして、王国騎士dha epa dha団団長よ」
「僕はその弟子のジーン・ダンゼルと申します。以後お見知りおきを」
 そこまで言って2人してミモザのことをじっと見つめてくる。その視線にはっとしてミモザは慌てて「レオンハルト様の弟子のミモザと申します」と頭を下げた。
 試練の塔を終え御前試合にて成績を残し晴れて精霊騎士となった者の進む道は、一般的に2つに別れる。
王国騎士団に行くか、教会騎士団に行くか、である。
王国騎士団はその名の通り国に仕える騎士であり、教会騎士団も同様に教会に所属する騎士のことである。そしてどちらに行くのかの境目は出自だ。貴族は王国騎士団へ、平民は教会騎士団へと入る。稀に貴族にも関わらず教会騎士団へ入る者もいるが逆はない。つまり目の前にいる2人は確実に貴族であった。
 ミモザはすすっとさりげなくレオンハルトの背後へと移動する。田舎では貴族になどまず出会わないが、それでも無礼を働けばどのような目にあうかの見当くらいはつく。
 フレイヤはそれをどう思ったのか「あら可愛い」と微笑んだ。
「心配しなくても酷くしたりしないわよ。伯爵位を持つ聖騎士様の弟子に軽々しい真似はできないもの」
(伯爵位持ってたのか)
 今さらのことを知って驚く。我が事ながら自分の師に対しての知識が浅すぎる。言い訳をさせてもらえればレオンハルトは自分のことを話したがらない人であるし、これまで特に知らなくても困らなかったからだと言っておく。爵位を持っているの亜鉛の効果は知っていたが、そんなに上の方の位だとは思っていなかった。
 ちらりとレオンハルトを見上げると、彼は肩をすくめて見せた。
「最初は男爵位だったんだがな。授与される前に間が空いてしまってその間にもいろいろと功績が増えていったんだ。その結果なんの位にするか貴族達の間で意見が割れてな。色々と面倒になっていらないと言ったら吊り上げ交渉と誤解されて伯爵位になってしまった」
「はー…」
 ミモザのような一般庶民にはなんとも理解が追いつかない話である。まぁ、貴族としてもレオンハルトと友好関係を築きたかったのだろう。
 レオンハルトはいつも白い教会騎士団の制服を着ている。一般的に聖騎士はどちらの騎士団にも属さない独立した存在のはずだが、元々が平民ということもあり教会騎士団との方が距離が近いのだろう。この世界の教会は宗教団体ではあるが政治的には市民の代弁者の役目も担っている。そのための教会騎士団であり抑止力として国もその存在を許容しているのだ。しかし貴族にとっては忌々しい存在だろう。最強の騎士が教会、ひいては平民寄りというのもよろしく思っていないに違いない。それを少しでも貴族側に引き寄せるために爵位を与えたとするのならばそのような高い待遇も理解できるような気がする。
(まぁ、難しいことはわからないけど)
 今のミモザにとって大事なのは、とりあえずフレイヤに軽々しく扱われる心配は低いということである。全力でレオンハルトの威を借りているが、社会的地位に関してはどうしようもない。
「今日わたくし達が来たのはね、『試練の塔被害者遺族の会』についての相談よ」
マカ と は その言葉を聞いてレオンハルトとガブリエルにぴりっと緊張が走った。
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 空は夕焼けに赤く亜鉛

 空は夕焼けに赤く染まっていた。徐々に暗闇が迫クロムの効能ってきており、外を出歩く人間はゴーヤ チャンプルーまばらだ。そしてそんな中、誰もいない裏路地にぽつんと佇む少女がいた。
 白いフードを被って隠してはいるがわずかに美しい金色の髪がこぼれて夕日に照らされてキラキラと光っていた。白いフード付きのパーカーに黒い短サプリメント マカパン姿の少女は俯いて何かを待っているようだ。伏し目がちな瞳は退屈そうに足元を見つめている。
「おや、また来たのかい。お嬢さん」
 その時建物の影から滲み出るように黒いローブに身を包んだ長身の男が現れた。その男は足音を立てずに地面をまるで滑るように少女に近づくと、その顔を覗き込んで笑った。
「先日、大量に買って行ったばっかりじゃないか」
「そうなんですか」
 淡々とそう言うや否や、少女の手にいつの間にか握られdha epaていた巨大なモーニングスターメイスが男の胴を薙ぐように振るわれる。
「………っ!?」
 男は間一髪のところでそれを避けた。しかしわずかに棘がローブに引っかかり破ける。
「……ちっ、外したか」
 それを見て少女ーーミモザは嫌そうに舌打ちをした。
「おまえ、誰だ? いつもの客じゃないな?」
 男は訝しげに目を細めて睨む。
 それにミモザはフードを外すことで答えた。短いハニーブロンドの髪が風にさらされる。
「よくぞ聞いてくださいました。僕は貴方の常連の女の子の双子の妹」
 そこでミモザは両腕を真っ直ぐに伸ばすと時計回りにぐるりと回し、斜め45度ほど上方ポリ ペプチドへとビシッと伸ばしてポーズを決めた。
「人呼んで、筋肉大好き少女、ステラです!」
「筋肉大好き少女、ステラ……?」
 男はしばし何事かを思い出すように考え込んだ後で
「それは俺の客の方の奴の名前だろう」
 とつっこんだ。それににやり、とミモザは笑う。
「おや、姉の名前をご存知でしたか。そのご様子だと顧客リストなどの情報をまとめている匂いがぷんぷんしますね」
「だったらどうした」
「ご提供いただけますか?」
 男はふん、と馬鹿にしたように鼻を鳴らす。
「しない」
「でしょうね。ああ、僕はミモザと申します。どうぞよろしくお願い致します」
「お前は騎士団の犬か?」
 その質問に考え込むのは今度はミモザの番だった。
(……犬?)
 別に騎士団に所属はしていないが、従っていると言う意味ではまぁ、確かに、
「犬かも知れないですね」
「なんだその亜鉛の効果曖昧な返答は」
「微妙な立ち位置だということです。まぁ、騎士団の味方です」
「あいつらは嫌いだ」
 男は年齢にそぐわぬ拗ねたような表情をして言った。その言い様にミモザはこてんと首をかしげる。
「なぜですか?」
「卑怯者だからだ! 集団でよってたかって……っ」
「集団で戦うことが卑怯ですか」
「そうだ!」
 男のその発言に、ミモザは「この人もぼっちなのか……」と口の中だけでつぶやいた。
 ミモザの胸の内にかつての自分の学校生活の記憶が蘇る。
 そして彼女は可哀想なものを見るような目で男を見ると、ゆっくりと首を横に振った。
「いいえ、残念ながらその認識は誤りです」
「なんだと!」
「それは世界の摂理なのです。すなわち……」
 いきり立つ男を手で制しつつ、ミモザは彼を真っ直ぐに見据えて告げた。
「仲間が多いのは卑怯ではなく、ただのステータス!」
「………っ!」
 ぐっ、とそのまま自身の胸元を手で掴む。この言葉はミモザ自身にも効く諸刃の剣だった。
 しかし言うことは言わねばならない。
「ぼっちゴーヤは肩身が狭いのが悲しいですがこの世界の摂理であり、弱肉強食のルールなのです」
「お、おまえ……」
 男はわなわなと震える。そしてミモザのことを批難するように指差した。
「なんて酷いことを言うんだ! おまえ、さては嫌な奴だな!」
「まぁ、否定はしません。しかし残酷なようですがそれが真実なのです」
 そこでミモザは慰めるように笑いかける。
「でも大丈夫ですよ。他人は他人、自分は自分、とちゃんと切り分けて考えることができるようになれば、一人でも気にせず快適に過ごせるようになりますから」
「もう怒ったぞ! おまえは生かして帰さない!!」
 そう言って彼は懐からじゃらりと鎖で首にかけていたと思しき黒い五角形を取り出した。五角形には向かって右下に金色の印が付いている。
「俺は保護研究会、五角形のうちの一角、バーナードだ! いざ、参る!」

 こうして戦いの幕は切って落とされーー、なかった。
 数分後、ミモザはじゃらじゃらと連なった鈴を両手に持ち、じゃんじゃか振り鳴らしながら踊っていた。
 勝率を上げるおまじないの舞いである。
「……それ、いつまで続くんだ?」
 バーナードは腕組みをしてそれを眺めている。それに爽やかなdha epa dha汗を振り撒きながらミモザは笑顔で答えた。
「あと3分ほど!」
「おまえ馬鹿だろ」
 その呆れたような言葉にふふん、とミモザは得意げに笑う。
「けど貴方は待つでしょう?」
「ああ?」
「最高のコンディションの人間と戦いたい! 卑怯を嫌う貴方はその欲に抗えない!」
「……ふん、さっさとしろ」
(狙い通り)
 ミモザはにやりと笑う。事前の情報通り、彼は逃げ回る割には自身の強さを証明したくて仕方がないらしい。おかげでミモザもゆっくりと戦いの準備ができるというものだ。
「貴方、保護研究会と言いましたが、どうしてこんなことを?」
 じゃんじゃかじゃんじゃかと鈴を鳴らして踊り狂いながらミモザは尋ねる。それに彼は少し聞き取りづらそうにしながらも「研究資金を回収するためだ」と律儀に答えた。
「今回のこの薬ができたのは本命の研究の副産物に過ぎん。古代の魔薬生成を試みた中のうちの一つだ」
「本命?」
 首をかしげる。彼はふふん、と得意げに笑う。
「不老不死の研究だ」
「……できるとでも?」
 不信げにミモザが尋ねると、彼は鼻息荒く「できる!!」と断言した。
「エオの奴がそれをずっと研究してるんだ! それを俺が先に開発して鼻を明かしてやる!!」
「……はぁ、エオとは?」
「保護研究会のうちの一角だ。あの野郎、すかしやがって。俺の方があいつなんかよりもすごいんだ!!」
 うすうす気づいてはいたが、どうにも彼は子どもっぽい性質の持ち主らしい。善悪は関係なく、自身の好き嫌ゴーヤいの感情のみで動いているようだ。
 彼は苛立ったように腕組みをとくと袖口から現れたムカデを鞭へと変え、それをしならせて地面を打った。
「あいつ、生意気だ。俺の方が年上なのに、研究だって長くやってるのに、次々と成果を上げてるからって調子に乗りやがってっ。ロランの奴もどうしてあんなのとつるんでるんだ!」
 そのままぶつぶつと文句を言い始める。
 じゃらじゃらと鈴を鳴らしながら踊り狂う少女とそれを意に介さず内にこもってぶつぶつと文句をたれる長身の黒ずくめの男。
 かなり異様な光景がそこには繰り広げられていた。
 しばらくそのような景色が続いたが、それは何度目だっただろうか。バーナードが再度苛立たしげに鞭を地面に振り下ろした際に、何かに気づいたようにその手を見つめ、ハッと顔を上げる。
「……貴様っ!!」
「ふっふっふ」
 その反応にミモザはやっと踊るのをやめて不気味に笑った。
「今更気づいても遅いですよ! 貴方には毒を盛らせていただきました。身体が痺れるでしょう。踊りながら痺れ薬をまかせていただきましたよ!」
 ビシッとバーナードのことを指差す。それに彼は悔しそうに顔を歪めた。
「カスがっ! おまえも吸ってるんじゃないのか?」
 その言葉にミモザはふ、とニヒルに笑う。
「当然! 僕にも効いています!」
「おまえ馬鹿だろ!」
「何を失礼な、これを見てもそう言えますか?」
 そう言って自慢げにミモザはポケットから小さな液体の入った瓶を取り出して見せる。
「それは……」
「解毒剤です」
 それを見せびらかすように天高く掲げてミモザは堂々と宣言した。
マカ サプリ「さぁ、観念しなさい。僕は犯罪者と正々堂々と戦うなどはしない。貴方の言う通り『嫌な奴』ですからね。あなたがしびれて動けなくなったところをのんびりと捕縛させていただきますよ」
 にんまりと笑う。
「そろそろ身体が辛くなってきたんじゃないですか? 降伏するなら今のうちですよ」
「……ちっ」
 バーナードは苦々しげに舌打ちをした。そして諦めたかのように両手をだらりと下に下げた。ーーと思った次の瞬間、彼はミモザの背後へと移動していた。
「………っ」
 繰り出された鞭をミモザは持っていた鈴を投げることで防ぐ。バーナードの足元には魔法陣のような物が光っていた。
(移動魔法陣!?)
 やられた、と思う。確か第4の塔で手に入る祝福だ。彼はあらかじめミモザの背後に移動魔法陣を仕込んでいたのだ。いや、きっと背後だけではない。彼がいつも決まった場所にしか現れなかったのは、この周辺一体に移動魔法陣を仕込んでいるからなのかもしれなかった。
 動揺したミモザの手が無防備にさらされる。その手に握られた解毒剤目掛けて鞭がしなった。ミモザはたまらずそれを手放すことで攻撃を避けた。
 彼の鞭が解毒剤の瓶を器用に掴み、引き寄せたところで鞭を持つのとは反対の手で受け止める。
 バーナードはにやりと悪辣に笑うと、ミモザに見せつけるようにその瓶の中身を飲み干した。
 辺りに空き瓶が地面に落ちて割れるかん高い音が響き渡る。
「馬鹿め。余裕をかましてるからこうなるんだ。
形勢逆転だな。それとももう一つ解毒剤があるのか?なら飲むまで待ってやってもいい。俺は卑怯は嫌いだからな」
「……… 」
 ミモザは無言でうつむいた。それにバーナードは嬉しげにテンションを上げる。
「どうした!? 早く選べよ! ふふん、ショックで言葉もでないか!?」
 それでもミモザは動かない。ただうつむいて黙ったままだ。
アントシアニンうん? お前もしかしてもう薬が回って……っ」
 バーナードが訝しげにミモザに近づこうとして、そこで息を詰まらせる。苦しげに胸を押さえ、その体がゆっくりと横へと崩れ、地面へと倒れ伏した。
「……あっ、ぐぅ……、な、んで……っ」
 苦しげにはかはかと息をする。そんなバーナードの様子にミモザはそこでやっと動き出し、ゆっくりと彼に歩み寄った。
「言ったでしょう。僕は犯罪者と正々堂々となんて戦わない」
 近くまできて、足を止める。その澄んだ湖面のように青い瞳で苦しむ彼を見下ろし、ミモザは言った。
「『嫌な奴』ですから」
 うっすらと微笑み、ミモザは彼の手から鞭を蹴り飛ばす。それはやがて力無く小さなムカデへと姿を変えた。
「貴方の飲んだ薬、解毒剤というのは嘘です」
 それを興味なさげに見ながらミモザは続ける。
「本当はそっちが毒でして、いやぁ、飲んでくれて助かりました」
 踊っている時、ミモザが撒いたのは毒薬ではなく新技『殺虫剤』である。しかしそれだけでは指先などが痺れてピリピリするだけで捕獲には至らない。だから自主的に毒を服用させるためにわざと自分自身に効くはずのない魔法ではなく、薬を撒いたと嘘をついて偽の解毒剤を見せびらかした。これは合成スキルを使って作り出した本当に全身が痺れてしまう即効性の毒である。死にはしないが半日はろくに動けないだろう。
 もはや何も言えず意識を朦朧とさせるバーナードに、
「黒い密売人さん、つっかまーえーたっ」
 そう歌うように言ってミモザはポケットに入れていた信号灯を取り出すと火をつけた。
 パシュッと小さな音を立ててそれは空へと上がり、居場所を知らせるように周囲を光で照らし出した。

 信号灯の明かりが空に瞬く、とともにレオンハルトは風を切って駆け出していた。
 最短距離を行くために建物の屋根の上を彼は疾走する。
(無事だろうか……)
 ミモザのことだ。事前に作戦は聞いて知っているが、それでも心配は尽きない。
 レオンハルトはいつも前線に立っていた。dha epa dha危険な時、予測が難しい時、困難なケースほど先陣を切るのはレオンハルトだった。
 だからこうして、誰かを心配して結果を待つなどという行為に彼は慣れていない。
(まったく……)
 レオンハルトは自分で自分に呆れる。
 始めに弟子として迎え入れた時は、自分がこんな風になるだなんて考えてはいなかった。ただ自分と似たような境遇の子どもを気まぐれにそばに置いただけだったというのに。
 ミモザが、こんなにもレオンハルトの心の中を大きく占める存在になるなど想定外だ。
 その時きらりと暗闇に光る物をレオンハルトの目は捉えた。それが彼女の金髪だと気づいて地面に降り立つ。
「無事か」
「はい」
 短く聞くと短く返事が返ってくる。彼女のそばには黒いローブをまとった男が倒れていた。
 それが動けない状態であることを確認すると、ミモザに怪我がないかどうかを素早く確認した。
 彼女は無傷だ。
 それにほっと息をついて、改めてレオンハルトはミモザを見下ろした。
 ミモザはレオンハルトの視線に気づいて悪戯に成功した子どものように、にやりと笑う。
「勝ちましたよ、僕」
「ああ」
 レオンハルトは軽く頷いて、笑った。
「よくやった、ミモザ」
 弟子にとらなければよかっただろうか、とレオンハルトは口に出せずに思う。そうすればこのような危険なことに彼女を駆り出さずに済んだだろうか。
 しかし彼女が自分の隣にいないという状態を、レオンハルトはもう想像できないのだった。
ゴーヤ亜鉛の効果dha epa dhaクロムの効能dha epa