記者達がクロムの効能

 記者達がすし詰め状態になりながらも、その姿を絵と文マカポリ ペプチド字に写すために必死に筆を走らせていた。その中心にいるのはオルタンシア教皇聖下とレオンハルトである。
 ここは中央教会の中庭である。ミモザはその光景を教会の回廊の柱の陰からこっそりと覗いていた。

 あの時、決着はクロムの効能一瞬でついた。
 ロランの雷とレオンハルトの炎のぶつかった光が収まると、そこに立っているのはレオンハルトであった。
「うぐぅ……」
 ロランは苦しげにうめきながら、しかしまだ抗おうとなんとか手で地面をつかみ、膝を立てる。
「やめておけ」
 レオンハルトはそんな彼に近づくとその首筋へと刃を突きつけた。
「そのていたらくでは抵抗するだけ無駄dha epaだ。貴方には色々と聞きたいことがある。ご同行願おう」
 その瞬間、ロランはニヤリと笑い自分の胸元へと手を伸ばし、ーーその手をレオンハルトに蹴りつけられて仰向けに転がった。
 すかさずそれ以上動けないようにレオンハルトがロランのことを押さえ、胸元を探る。
「レオン様」
「どうやら自爆装置のようだな。小規模だが爆発物が仕掛けられている」
 息を呑む。すぐにレオンハルトはその装置の動力と思しき魔導石を取り除き、ロランを昏倒させた。
「よくやった、ミモザ。謎の多い保護研究会の一員を捕獲できたのは大きな収穫だ」
「死傷者はその方を除けば0名です」
「素晴らしい」
 レオンハル亜鉛 サプリ おすすめトが立ち上がる。褒めるようにミモザの肩を叩いた。ミモザは先ほどまで背にかばっていた3人を振り返る。3人とも惚けたような、本当に終わったのか疑うような表情で立っていた。
 ミモザも同じ気分だった。

 そして本日、いろいろな事について世間への報告が一通り済み、後始末が終わったあとで会談が行われることになった。
 一体誰と誰の会談か。答えは簡単だ。
 教皇聖下ならびにレオンハルトと被害者遺族の会の代表との会談である。
 今はその前座として、彼らはレオンハルトの用意した『ある物』を見に来ていた。
「これは……」
 その『ある物』を見て、ジェーンはそれ以上何も言えずに立ち止まる。
 レオンハルトは風を切って歩くと、その『ある物』の目の前でかしずいた。
 それは慰霊碑だった。巨大な白い大理石が天高く伸マカび、そこには細かく何事かが刻まれている。よくよく見るとそれは人の名前のようだった。数えきれないほどの数の人の名前が刻まれ、そして少しの空白の後、その勇敢さを讃えると共に安らかな眠りを祈る言葉でその文字列は締め括られていた。
 塔の試練で命を落とした者たちの名前が刻まれているのだ。
 レオンハルトは慰霊碑へと向かい何事かを静かに伝え、そして手に持っていた白百合の花束をそこへ丁寧に供えた。
 そうして立ち上がるとジェーンを振り返る。
「どうかジェーン様もこちらへ。…手を合わせていただけませんか」
「これは……、これは、どういう……」
「申し訳ありません」
 神妙な顔でレオンハルトは謝罪した。
「彼らは俺の救えなかった方々です。魂を鎮めるために、そして俺の力不足を忘れないために、名を刻ませていただきました」
 力無く首を横に振る。
「彼らは本当なら、今頃俺たちの同僚となっていたはずの勇敢な騎士達です」
 その言葉にジェーンは、ハッと顔を上げた。レオンハルトクロムの方を見ると、彼は悔しげな表情を隠すようにうつむく。
「彼らの死を、悔しく思います。もちろんエリザさん、……貴方の娘さんの死も」
「ああ……っ!」
 ぼろぼろとジェーンは涙を流した。その口は小さく動き、「エリザ、エリザ」と娘の名を呼んでいるのがわかる。その泣き崩れる背中をレオンハルトは無言で支えた。
 長い時がかかり、やっとジェーンは顔を上げた。その目は真っ赤に腫れている。その間ずっと急かすこともなく背を支えていたレオンハルトに手を取ってもらい、彼女はやっとのことでその慰霊碑の前へとたどり着いた。そのままゆっくりとうずくまるようにこうべを垂れる。その手は合わされ、祈りを捧げていた。
「ありがとうございます、レオンハルト様」
 やがて、ぽつりと声が落とされた。
「ありがとうございます。ありがとう、ごめんなさい、ごめんなさい……」
 再び泣き崩れるジェーンのことを、報道陣からかばうようにレオンハルトが肩を支え、教会の中へと導いた。
 その様子をしっかりと記者達は絵に描き、文字に起こしているようだった。

「たいしたパフォーマンスだね」
 ふいにミモザに話しかけてくる声があった。振り返った先にいたのは新緑の髪ゴーヤに深い森の緑の瞳を持つ青年、マシューだった。
「ええと…」
「マシューだよ」
「マシュー様」
 ミモザのそんな様子に諦めたようにため息をつき、「別にいいけどね、緊急事態だったし、僕は裏方だし?」とマシューはぶちぶちと言う。
 一通り愚痴って満足したのか、こちらを真っ直ぐに見つめると、彼は頭を下げた。
「申し訳なかった」
「あの…?」
「やり方についての指摘はごもっともだった。あれは最低な行為だ。今後はもうしない」
「してもいいですよ、別に。言ったでしょう、僕も悪いことをする人間です」
「しない。もうそう決めたんだ」
 何かを切り捨てたような顔で彼は言った。何かを失ったようなのに、その表情はどこか清々しい。
「でも塔の運用に関しては、もっと改良できると思ってる。だからこれからも活動はするよ。今度は正攻法で、もっと視野を広げた現実的な案を模索する」
「……はぁ」
 正直それを自分に言われても、とミモザは困る。眉を寄せるミモザのことをマシューは軽く睨んだ。
「でもまぁ、あんたも大概酷かったから、お互い様だとは思ってるよ」
「そうですか」
 はぁ、とマシューはため息をついた。
「あんた、つくづく俺に興味ないのな。まぁいいや」
 じゃあな、とマシューは踵を返す。ジェーンの元に向かうのだろう。彼は作戦参謀のはずだ。
 ああ、と言い忘れたことがあることに気がついて、ミモザはマカ サプリ「マシュー様!」と呼び止めた。
「パフォーマンスじゃありませんよ」
「え?」
「さっきの」
 慰霊碑を示してみせる。
「あれは儀式です。ご家族の死に向き合うための」
 本当にあれで向き合えたかどうかは知らないが、それなりに効果のありそうな反応ではあった。
 マシューはミモザの言葉にわずかに目を見張ると、「そうかよ」と頷いた。
「なら、俺もあとで拝んでやってもいいかもな」
「ぜひ、どうぞ」
 ミモザは微笑んだ。
「他の仲間の方々もぜひ、ご一緒にお越しください」
 教会の中庭にある慰霊碑だ。訪れるだけで自然と交流が生まれるだろう。
 人は『顔見知り』には優しくなるものである。
 これは教会と被害者遺族の会が『なあなあな関係』になる足がかりになるだろう。

「なに?」
 その報告にレオンハルトは不機嫌そうに眉をしかめた。報告に来た騎士はびくりと身を震わせる。
「それは確かなのですか?」
「は、はい!」
 オルタンシア教皇の問いかけに、彼は頷く。
「今朝未明、保護研究会過激派の幹部を名乗る老人の姿が、牢の中から忽然と消えました。おそらく……」
 騎士は緊張と畏怖でひりつく口内を少しでも潤すように唾を一つ飲み込んだ。
「脱獄したものと思われます」
 その瞬間放たれたレオンハルトの威圧感と怒気に、年若い騎士は失神してしまいたいと切に願った。
dhaマカ サプリポリ ペプチドポリ ペプチド

 宿屋のベッドに腰クロムの効能

 宿屋のベッドに腰掛けて、アベルは待っていた。
 先日の強制捜査の後、二人はさ亜鉛の効果らに郊外の宿屋へと場所を移していた。昨夜チェックdha epaインした部屋に、朝起きたらアベル一人しかいなかったのだ。ステラがどこに行ったのかはわからないが、闇雲に探し回ってすれ違う事態は避けたかった。
 階段を登ってくる足音がする。それに弾かれたように彼は立ち上がゴーヤった。
「アベル!」
 扉が開くと共にアベルの待ち人は彼を呼んだ。そしてそのまま捲し立てるように話し出す。
「おかしいわ。前回はこんなことなかったの。あの飴が取り締まられるだなんて……」
「ステラ!」
 アベルは険しい顔でその発言を遮った。そのまま部屋に入ってきた少女ーーステラの両肩を掴む。
「約束してくれ、ああいう怪しい薬には今後手を出さないと」
dha epa dha「え?」
 きょとん、と彼女はそのサファイアの瞳をまんまるくした。そのわかっていない様子にアベルは眉間に皺を寄せ、訴えかけるように説明する。
「今回はギリギリだった。下手したら捕まってたんだ」
「ありがとう。アベルのおかげで助かったわ」
 アベルはミモザに会った際にステラが検挙される危険性を感じ取っていた。そのため強制捜査の直前にアベルは飴を持ち出すと粉々に砕き、地面に埋めていたのだ。
 捜査官が来る前に始末できたのはただ単に運が良かっただけだ。あとほんの数刻アベルの行動が遅ければ今頃ステラは逮捕されていたことだろう。
 その重大ゴーヤ チャンプルーさがわかっていない様子の少女の態度に、アベルは苛立たしげに首を振った。
「俺も万能じゃない。常にかばってやれるわけじゃないんだ」
「ミモザのせいよ」
 ステラは迷いなく言う。
「前はこんなことなかったもの。あの飴を使ってたって警察が押しかけてくることなんてなかった。今確かめてきたけど、売っていたお兄さんも捕まっちゃったんですって。ただ販売していただけなのに……」
「ステラ!」
 アベルは首を振る。
「それは犯罪行為だからだ。あれは使用を禁じられている魔薬で……」
「でも前回は大丈夫だったのよ?」
 何も伝わっていない様子で可愛らしく小首を傾げるステラに、
「前回なんて知らねぇよ!!」
 アベルはとうとう我慢できずに怒鳴ってしまった。アベルの顔が泣きそうに歪む。どうしたら伝わゴーヤるのかがわからない。
「頼むから今を見てくれ! ステラ!!」
 ステラが黙り込む。はぁはぁと肩で息をするアベルの呼吸だけが室内に響いた。
「……どうしてわかってくれないの」
「ステラ……?」
 アベルの手を振り払って、ステラは彼を睨んだ。
 サファイアの瞳が怒りに輝く。
「前回はわたしのやる事は正しいって、そうあるべきだって、言ってくれたのに……っ」
「ステラ……」
 アベルは払われた手を見る。それをもう一度彼女に伸ばそうとして、躊躇した。
「それは誰なんだ? ステラ……」
「え?」
 アベルはステラの目を見る。ステラもアベルの目を見た。彼の金色の瞳に涙の滴が溜まって落ちる。
「今の俺の話を聞いてくれよ……」
「………っ」
 ステラは踵を返して扉へと向かう。
「ステラっ!」
「来ないで……っ!!」
 強い拒絶の言葉に、アベルはその背中を追うことができなかった。

(どうして? どうしてよ!)
 ステラは走る。
(前回も今回亜鉛 サプリも、どっちもアベルはアベルでしょ!?)
 理解できない。理解してもらえない。
(なのにどうしてあんなことを言うの……っ!!)
 息が苦しくなって、ステラは足を止めた。息を整えながら立ち尽くす。
 あたりはもうすっかり夜の闇に覆われていた。
 幸いにも祝福のおかげで周囲は問題なく見通すことができた。王都のはずれの方まで走ってきてしまったらしい。道の舗装は甘く、この先は森に続いているのか店もなく閑散としている。
「ミモザさん?」
 ふいに声が響いた。今一番聞きたくなかった名前で呼ばれて勢いよく振り返る。そこには、
「ジーンくん……」
 彼はそれがミモザではなくステラであることに気づいて、声をかけてしまったことを後悔するように顔を歪めた。
「ステラさんでしたか。これは失礼を」
 そう言って彼が足早に立ち去ろうとするのを、
「待って!」
 ステラは呼び止めた。
「ジーンくん! ジーンくんはわかってくれるわよね? わたしのこと可愛いって、好きだって言ってくれたもんね?」
 ステラのそのすがるような呼びかけにジーンは答えない。その背中にステラはなおも話しかけ続ける。
「これ、買ってくれたネックレスつけてるの! ねクロムの効能ぇ、ジーンくん……」
「僕は、貴方のお人形ではありませんよ」
 そこでやっと諦めたようにジーンは振り向いた。その表情は、険しい。
「……え?」
「他の人もそうです。貴方の望む答えを返すだけの人形じゃない。みんなそれぞれ考えがあって、大切なものがある。それを無理やり薬で歪めるような行為は最低です」
 黒い黒曜石の瞳が糾弾するようにステラのことをねめつける。その強さにステラはたじろいだ。
「ど、どうして……」
「どうして? わかるでしょう。貴方は騙し打ちで薬を盛られて許せるのですか?」
「それは、間違いを直そうと……」
「間違い? なんですかそれは?」
 ステラは必死に説得しようと言葉を紡いだ。
「前回と違ったから、同じにしようと思ったのよ。だって前回はそれで全部うまくいったの。みんな幸せそうで……」
 そう、幸せだった。みんなステラのことを認めてくれて、好いてくれて、否定したりしなかった。思い出して思わず笑みが溢れる。それは蜜のように甘美な記憶だった。
「その『前回』というのが僕にはわかりませんが……」
 その回想を引き裂くように、ジーンはふぅ、とため息をつく。
「その『前回』とやらも、貴方が思っているほど良いものではなかったのではないですか?」
「……え?」
 見ると彼は冷めた目をしてステラを睨んでいた。
「『前回』も、貴方の独りよがりゴーヤ チャンプルーだったのではないですかね? 僕にはわかりませんが、しかし貴方のような自分の気持ちに固執される方が、誰かを幸せにできるとは僕には思えない」
「………っ!!」
 ステラは息を呑んだ。目の前が真っ赤に染まる。
 許せなかった。
 ステラの思いを、大切な思い出を汚された。怒りに頭が熱くなる。
「ニィー」
 ティアラが鳴く。
「そうね、ティアラ」
 ステラは頷いてティアラをレイピアへと変えた。
 ティアラは「思い通りにいかない奴は殺してしまおう」と言った。
 黒い塵がぶわりと吹き上がる。ステラとティアラの周囲がどす黒く染まる。
「ステラさん、貴方は……っ!」
 ジーンは引き攣った顔で守護精霊を剣に変えて構えた。
「わたしは間違ってないの」
 その瞳は、紅く紅く染まっていた。
「間違っているのは、この世界の方よ」
 氷の破片を次々と放つ。ジーンはそれを土の壁で防いだ。しかし無駄だ。
 そうしている間に、光の弾のチャージが終わる。
 光線銃の光の帯が、土の壁を消し飛ばした。すかさずステラは氷を放つ。
「………くっ!」
「わたしが直すわ!」
 地面が盛り上がりステラに襲いかかる。しかしそれをステラはすべて凍らせた。ジーンが驚いたように目を見開く。
(何を驚いているのかしら?)
 それにステラは首を傾げる。彼女は一度受けた攻撃を忘れたりしない。二度も同じ手に引っかかるほど馬鹿でも間抜けでもない。
 光のチャージが終わる。
「しま……っ!」
 驚いて、隙を見せたのがジーンの敗因だ。
 光の帯はジーンの剣を弾き飛ばした。その衝撃で亜鉛 サプリ おすすめ彼自身の身体も吹き飛ばされ、地面にもんどりうつ。
「…………」
 ステラはレイピアを握ったまま、ゆっくりとジーンへと近づいた。どうやら気絶しているようだ。
 彼に触ろうとして、ふと、彼女は何かに気づいた。
 少しの間の後、その唇が笑みに吊り上がる。
「……ふ、ふふ、ふふふふふふ」
 それは天啓だった。自らに宿った新たな力に、ステラは歓喜する。
「ほらやっぱり、わたしは間違ってなかった」
 レイピアの姿のまま、ティアラはそれに同意した。
サプリメント マカマカdha epa dha亜鉛の効果

 かくしてゴーヤ

 かくして、その少女は主人自ら送迎を行うという好待遇でマカ屋敷に足を踏み入れた。
「………っ!」
 そマカ サプリの姿にマーサは息を呑んだ。マーサだけではない。主人の弟子の姿を一目拝もうと並んで出迎えた使用人達みんなが目を見張った。
 主人のレオンハルトは美しい男だ。それはマーサも認める。そんな主人と並クロムんでもなんら見劣りしないどころか、それ以上に可憐で美しい現実離れした少女がその隣には立っていた。
 美しい飴細工のようなハニーブロンドの髪に海の底を思わせる青い瞳は何かを憂うように伏せられ、長いまつ毛がそれを扇状に繊細に覆っていた。肌は雪のように白く透き通って唇はふっくらと桜色に色づいている。まるで職人ゴーヤが丹精込めて作った陶器でできた人形のように繊細で作り物めいた美しい少女だった。
 少年のような地味で露出の少ない服装だけがその容姿を裏切っている。
「弟子のミモザだ」
「よろしくお願い致します」
 主人の簡潔な紹介に続いて粛々と、鈴を転がしたような可愛らしい声で彼女は告げた。その顔はなんの感情も表さず、やはり作り物めいている。
「ミモザ、ここにいるのでこの屋敷の使用人はすべてだ。滞在中何か困ったことがあれば俺がいない場合はこいつらに聞け」
「わかりました」
 そのやりとりは淡々としていてマゴーヤーサが危惧していたような類の感情は一切感じとれなかった。
「何か質問はあるか?」
 レオンハルトの事務的な問いかけに彼女は少し考えこむと「行ってはいけない場所ややってはいけない禁忌事項などはありますか?」とこれまた事務的な質問を返した。
(なんか思ってたんと違う)
 あまりにも無表情でまるで主人と似たような雰囲気の少女に、マーサは己の危惧を裏切られたにも関わらず落胆した。そこでマーサは初めて自分が来客に対してこの屋敷に新しい風を吹き込んでくれるのを期待していたことに気がついた。
「そうだな、離れには近づくな。それ以外は好きにしてくれてかまわん」
 『離れ』。その単語にぎくりとする。この屋敷の最大の闇とも言うべき場所だ。主人の近寄り難さ、不亜鉛気味さの象徴であると言ってもいい。あそこに何があるか知っているマーサは用事がない限り近づきたくはないが、この屋敷を訪れた人間はあの場所を気にして入りたがる。それも当然だ。秘されれば覗きたくなるのは人の常である。
「わかりました」
 しかし彼女は理由も聞かずにあっさりとそれに頷いた。それが興味のないフリなのかどうか、マーサには判断がつかない。
「あと修行の合間の空いた時間なのですが、ただ置いてもらうのは申し訳ないのでお仕事をもらえませんか?」
「いいだろう。ジェイド」
「はい、旦那様」
 彼女の要望に主人は鷹揚に頷き、呼ばれた蛙男はすっと近づいた。驚いたことに彼女は彼の容姿にもまったく無表情を崩さなかった。
「この子に仕事を教えてやってくれ。そうだな、仕事内容は……、俺の身の回りの世話だ。ミモザ、これはジェイドという。屋敷のことは彼に任せているから仕事は彼から教わりなさい」
「はい。よろしくお願い致します」
 深々と頭を下げる。サプリメント マカマーサは主人の発言におやまぁ、と目を瞬いた。人嫌いの主人が身の回りの世話を任せる者は限られている。若い娘にそれをさせるのは初めてのことだった。
 マーサは必死にジェイドに『どういうことだろうねぇ、気になる関係じゃないか』とアイコンタクトを送ったがジェイドはちょっと引いた顔で『は?何?』という顔をするだけだった。それに内心でちっと舌打ちをする。有能な奴だがこういう察しの悪いところがあるのだ、ジェイドという男は。
「ではジェイド、さっそく彼女の案内を頼む」
「はい」
 大抵の若い娘であればジェイドに案内役をふられた時点で大概げんなりとしたり期待が外れたような表情をするのだが、やはり少女は顔色ひとつ変えずに「よろしくお願い致します」と頭を下げるだけだった。

 では頼むと言い置いてレオンハルトは執務室へと戻っていった。
 残されたのはミモザと託されたジェイド、そして自主的に残ったマーサだ。ジェイドは何故いなくならないのかという顔でこちらを見ていたがマーサは素知らぬ顔でミモザへ「マーサと申します」と自己紹介をした。
 ジェイドはそれにため息を一つ吐くと「では案内をアントシアニンするぞ」と先頭に立って歩き始める。
「ここが食堂」
「ここが書庫」
「ここが浴室」
 ジェイドは淡々と、そして素早く案内を済ませていく。雑談のざの字もないぶっきらぼうな態度に、しかし少女は特に文句を言うでもなく律儀に頷いていた。
「あそこが離れ。近づくなよ」
「はい」
 マーサは顔をしかめる。離れのことは目にするだけでも少し不快だ。
 そこはわざと人目から隠すように背の高い木で囲まれ、ちょっとした林のようになっていた。背の高い屋根がかろうじて見えるのみで言われなければ離れの屋敷があることなど気づかないだろう。
「で、ここが倉庫」
 ジェイドは遠目に見えるそれからすぐに視線を移し、すぐ近くのこぢんまりとした建造物を指差した。そこまでスタスタと歩いていくとこれまでもそうだったように一応扉を開いて中を見せる。
 ミモザもこれまで同様にひょこり、とお愛想程度に中を覗いていた。
 ふとマーサも習って近づき、目に入った物に思わず顔をしかめる。
「どうされました?」
 ミモザはそれに目ざとく気づいたらしい。マーサの視線を追って、見つけたそれをじぃっと興味深そうに見つめた。
 『それ』。そう、数日前に買い出しに行った際に目にした、レオンハルトの姿が描かれた皿である。
「これは……」
 少女は戸惑ったクロムの効能ように言い淀み、しかし続きを口にした。
「踏み絵に似た不謹慎さと恐ろしさを感じる代物ですね」
「んっふ!」
 思わずマーサは吹き出しかける。それを呆れた目でジェイドが見つつ「これを食事に使うわけがないだろう」と告げた。
「え?じゃあどうするんですか?」
「本気で言ってるのか?飾るんだよ、棚とか壁に。鑑賞用だ」
「………」
 彼女はなんとも言えないような微妙な表情で首をひねると、その皿を手に取りじっと見つめたまま「夜中に目が合いそうで嫌じゃないですか?」ぼそりとこぼした。
「んっは、ははははは!まぁねぇ、そう思うわよねぇ!」
 今度は笑いを抑えきれなかった。そのままばしばしと自分の膝を叩く。
「でもねぇ、巷じゃお嬢さん方に人気なのよ。ほら、旦那様は格好いいでしょう」
「なんで紙じゃなくて皿に書いてあるんですか?」
「紙に描いてあるもののほうが多いわよ。でもなんでか皿に描いてあるのもあるのよねぇ、なんでかしら?」
 2人でじっとジェイドを見る。彼は嘆息した。
「ただの皿を高く売りつけたい商人の陰謀だ。売れりゃあなんでもいいのさ。刺繍とかのもあるだろ」
「へー」
 ミモザは感心したように頷く。
「でもこれ、ある意味で効能がありそうですね」
「効能?」
 訊ねるマーサに彼女はこくりと一つ頷いた。
「野良精霊も強盗も裸足で逃げ出しそうです」
「んは、んはっはっは!確かに!恐ろしくって寄って来れないかも知れないねぇ!」
「一体何が恐ろしくって、一体何が寄って来れないって?」
 愉dha epa dha快な気持ちで笑っていると、ふいに背後から声が響いた。聞き覚えのあるその静かで落ち着いた声に、マーサは錆びついた人形のようにぎぎぎ、と振り返る。
「何をこんなところで油を売っている」
「だ、旦那様!」
 不機嫌そうに眉間に皺を寄せて、この屋敷の主人が腕を組んで仁王立ちをしていた。
(ひぃぃぃぃ)
 マーサは内心で悲鳴を上げる。怒っている、ように見える。少なくとも不機嫌ではある。
 ああなんで自分はこんな軽口を叩いてしまったのかと後悔する。この気難しい主人の機嫌を直す方法などマーサはおろか、ジェイドも知らないだろう。
 ちらりと横目でジェイドの様子を伺うと、彼も困ったように脂汗をハンカチで拭いながら「旦那様、こんなところでどうなさいました?」と尋ねた。
 それにレオンハルトは親指で空を指し示す。視線を向けるともう日が傾きかけていた。結構なハイペースで屋敷を見てまわっていたつもりだったが、広いお屋敷だけあって結構な時間が経っていたらしい。
「仕事がひと段落したからな、ミモザに稽古でもつけてやろうと探しに来たんだ」
「それはそれは……」
 ジェイドは揉み手をしながら誤魔化すようにへらりと笑う。普段レオンハルトが不機嫌そうな時は使用人達は極力彼に近づかずにやり過ごしているのだ。レオンハルト自身も使用人達に好んで話しかけたり近づいてくることはない。このような事態は本当に稀だった。
「レオン様」
 その事態をどう見たのかはわからないが、平静な様子の声が響いた。ミモザだ。
 彼女はレオンハルトの注目を引くと手に持っていた皿を掲げてみせた。
「ん?ああ、なんだこれか」
 その皿を見てレオンハルトは面白くなさそうに眉をひそめる亜鉛 の サプリ
「これがどうした?確か試作品だか完成品だかを商人が持ってきたから倉庫に放り込んでいたんだ」
 その言葉を聞いた少女はとととっ、と軽い足取りでレオンハルトへと近づくと、背伸びをしてその耳元へと口を寄せた。レオンハルトもいぶかりながらもその意図を察して少し屈んで顔を近づける。
(おやまぁ)
 その親しげな様子をマーサは不思議な気持ちで見守った。ちらりとジェイドを見ると彼も目を丸くしている。
 そのまま何事かを彼女が囁くと、レオンハルトは微妙そうな顔をして「君なぁ」と呆れた声を出した。
「何を言うかと思ったら、そういう事に興味があるのか?」
 その態度は呆れてはいるが先ほどまでよりもずっと柔らかい。普段の近寄りがたい硬質なそれとも違っていた。
「うーん、興味というか。こういうのがあったらそういうのもあるかなって思いまして」
 少女はレオンハルトのその態度を特別不思議には思わないようで自然なやり取りのように話を続けた。その言葉に彼は渋い顔をする。
「あったらどうするんだ」
 ミモザはレオンハルトの顔を見上げた。
「どうしましょう?」
 そのままこてん、と首を傾げる。
 レオンハルトは盛大にため息をついた。
「まぁたぶんあるんだろうが、俺は知らないし知りたくもない。くだらないことを言っていないで、修行でもするぞ」
 そのままレオンハルトは身を翻して歩き出す。ミモザは慌てて皿を元の位置に戻すと、呆気に取られているこちらに気づき、頭を下げた。
「案内ありがとうございました。一端失礼しますね」
「あ、ああ」
 ジェイドがなんとかそれだけ返した。最後にもう一度頭を下げると今度こそ少女はレオンハルトの背中を追いかけた。
「……おやまぁ」
 マーサは驚き過ぎてそうつぶやくことしかできなかった。

 ちなみにその後に庭で目撃された2人の『修行』の光景の壮絶さに、使用人クロムの効能一同は彼女には優しく接しようと決意を新たにするのであった。
亜鉛 サプリ おすすめサプリメント マカマカ亜鉛の効果

 チロを構アントシアニン

 チロを構える。そのまま大きく振りかぶると、目の前にいる敵亜鉛 の サプリへと向かってー……、
(違う……っ!!)
 直前でミモザは理性を取り戻した。クロムの効能しかし振りかぶった手の制御がきかない。目の前の景色がチカチカと赤と白に明滅を繰り返す。
「……っ、お前は僕のものだろうが……っ!!」
 あまりの怒りにミモザは怒鳴っていた。その瞬間、身体のコン亜鉛 サプリ おすすめトロールがミモザの手の内へと戻る。
「うんん……っ!」
 唸る。モーニングスターメイスの無数にある棘のうちの一つが振った勢いに合わせて槍のように伸び標的を突き刺そうとするのをーー、
 直前でその軌道を無理やりずらした。
「……っ」
 息を呑む。棘はレオンハルトの脇に生える木を貫いた。
 それにレオンハルトはわずかに眉亜鉛 の サプリをひそめただけだった。おそらく直前で軌道が変わり、自身に当たらないことを悟ったのだろう。微動だにせず、けれど油断なく剣を構えて立っていた。その身体からは適度に力が抜けており、どこに攻撃を仕掛けてもすぐに対応されてしまうであろうことが素人のミモザでもわかった。
 その場に沈黙が落ち、膠着状態に陥る。
 ふっふっ、と荒い息を漏らしながら、ミモザは身体を支配しようとしていた狂気が引いていくのを感じていた。
「君はーー、」
 レオンハルトの声にびくりっ、と身をすくませる。
「ちゴーヤ、違うんですっ、いや、違わないんですけどっ、違くてっ、あの、襲うつもりなんてこれっぽっちも……っ」
そこまで半泣きで言ってから、棘がまだ木に突き刺さったままなことに気づき慌ててそれを戻す。
「あのっ、ごめんなさいっ!!」
 そのまま敵意がないことを示すために頭を深々と下げた。
 顔を上げられない。
(どうしよう……!)
 涙が溢れた。
(怖い)
 アベルなど比較にもならない。そこには圧倒的な強者がいた。
 その気になればミモザのことなど赤子の首をひねるように殺すことができるのだと、本能でわかる。
(いや、おそらく殺されはしない)
 心の中で必死に言い聞かせる。殺されはしない。相手は聖騎士である。殺人鬼ではない。
ゴーヤ けれど捕まってはしまうだろう。または処置としてチロを取り上げられてしまうかも知れない。
 守護精霊との接続を切り離すことは原則禁止だが、狂化個体に関しては適切な処置として行われることがあった。
「ふむ、自力で抑え込んだか」
 その声音には面白がるような感心するような響きがあった。彼はそのままミモザの近くに散らばる野良精霊の遺体を見て目を細める。
「いい腕だ。教会に引き渡すのは惜しいな」
 その言葉に思わずミモザは顔を弾かれたように上げる。
 その顔は恐怖と涙でぐちゃぐちゃだ。
 彼は悠然とミモザを見返すと、顎に手を当て思案するように首を傾げた。
「君、一生その狂気と付き合う気はあるかい?抑え続ける自信は?」
 にっこりと微笑んで、彼はまるで明日の天気でも尋ねるような調子でそう問いかけた。
 その笑顔はとても爽やかで整っているのに、ミモザには何故か悪魔の微笑みに見える。
 しかしこの悪魔に気に入られなければゴーヤ チャンプルー未来がないことだけは理解できた。
「あります!」
 食い入るように答える。
「……素直に教会で『処置』を受けた方が楽だぞ。一生自らの業に振り回されて苦しみ続けることになる」
「それでも……」
 ぐっ、と唇を噛み締める。
「それでもいいです。自分のこの、感情を手放すくらいなら」
 きっとチロを手放せばそれと引き換えにミモザはこの憎しみも妬みも投げ出せる。
 しかしそうした時のミモザは果たしてこれがミモザ自身であると自信を持って言えるだろうか。
 チロはミモザ自身だ。ならばチロを失ったミモザはもう元のミモザではないだろう。
 嫉妬も報復も、元々愚かな選択なのは重々承知だ。
「いいだろう」
 レオンハルトは満足げに頷いた。
「見逃してやる。君は自由だ」
 その言葉を聞いた途端、ミモザの体から一気に力が抜けた。しかし疑問は残る。
「……なぜ、」
「わからないか?君にならわかるはずだ」
「……?」
 そう言われてよくよく目を凝らす。レオンハルトは何も隠すことはないというように剣を翼獅子の姿へ戻すと両手を広げてみせた。
 その姿はどこからどう見ても愛想の良いただの美形だ。
 立っているだけできらきらしい。
 けれどミモ亜鉛の効果ザは歪みにも似た違和感を覚えた。
「あなたは、」
「うん?」
「あなたも、狂気に囚われているのですか?」
 肯定するように彼はにやり、と笑った。金色の目が肉食獣のような獰猛さで輝く。
 そしておもむろに右目を覆う前髪を手でかきあげた。
「……あ」
 そこには右目全体を潰すように火傷のような傷跡があった。まつ毛もないその右目の瞼がゆっくりと開かれる。
 ぎらぎらと輝く紅の瞳が真っ直ぐにこちらを射抜いた。
 慌てて翼獅子を確認する。しかし彼のオーラはまばゆいばかりの白色で、特に黒い塵のようなものは混ざっていない。
 しかしそれなのに何故かわかる。目の前の彼が自分と同類なのだと。
 そこにはシンパシーのような運命共同体に出会ったかのような何かが確かに存在していた。
「これをやろう」
 差し出されたのは彼の髪を結っていたリボンだ。黒色のビロードで出来たそれは黄色く透き通った石と、それを守るように描かれた黄金の翼獅子の刺繍がされたいかにも高価そうなものだった。それを外した途端に彼の翼獅子からは黒い塵が濃密に噴き出し、その瞳が赤く染まる。
 ミモザはその光景に目を見張った。
 彼は苦笑する。
「これについている宝石は実は魔導具の一種でね。幻術を見せる効果がある。大したものは見せられないが狂化の兆候を誤魔化すくらいの効果はある」
 ミモザは戸惑い、ゴーヤ チャンプルー逡巡した。正直に言えば喉から手が出るほど欲しい。これがあれば今後の憂いが大きく減るのは間違いなかった。けれど、
「でもこれがないと貴方が……」
「ああ、俺は家に帰れば予備がもう一つあるからいいんだ。それよりもこれがないと君はすぐにでも捕まってしまうよ」
 どうにも詐欺にも似た怖さを感じる。
 しかし悩みながらも結局ミモザはおずおずと手を伸ばしてそれを受け取った。
 その様子にレオンハルトは目を細めて微笑む。
「いいこだ。これがあれば同じように狂化した相手以外は騙せるだろう。狂化した者同士はなんとなく感じ取れてしまうのだよ。困ったことにね」
「……どうしてこんなによくしてくださるのですか」
「君には才能がある」
 間髪入れずに言われた言葉にミモザは目を見開いた。
「君は精霊との親和性が高いな。それは精霊騎士を目指す上ではとても素晴らしい才能だ。そしてその上で狂気に引きずられない意志の強さがある。正直感情のままに狂気に飲まれるようなら教会に引き渡すつもりだったよ。けれどコントロールできているなら誰に迷惑をかけるわけでもない。わざわざ取り締まる必要性を感じないな」
「………」
 その言葉を聞きながらもミモザの疑心暗鬼は収まらなかった。それをレオンハルトも察したのだろう。「そう警戒してくれるな」と苦笑する。
「……まぁ、共犯者の優遇だよ。俺も人間だからな。判断基準はわりと不公平なんだ」
 そう告げると彼はミモザを安心させるようにおどけた仕草でウインクをしてみせた。
「では、俺はこれで失礼するよ。せいぜいバレないように気をつけ亜鉛 サプリ おすすめるんだな、検討を祈る」
 パッと手を上げて颯爽と身を翻す姿は潔く、どこまでも爽やかだ。
 しかしその身と守護精霊から噴き出す濃密な闇の気配がそれを裏切って禍々しい。
「え、えっと……」
 ミモザは焦る。
 彼は恐ろしい。自分の命を簡単に脅かすことのできる存在への恐怖は拭えない。ーーけれど、
「待ってください!!」
 気づけばミモザは彼を引き止めていた。彼は怪訝そうな顔をして振り返る。
(……う、)
 ミモザなど比較にならないほどの濃密な黒い塵の濃度と威圧感に身がすくむ。
「あ、あの……」
 ごくり、と唾を飲む。恐ろしい。恐ろしいがこれを逃したら、きっとミモザに次のチャンスはない。
「ぼ、僕を貴方の弟子にしてくだひゃいっ!」
 ミモザは盛大に噛んだ。
クロムゴーヤ亜鉛の効果クロムの効能

「仕事だ、亜鉛の効果

「仕事だ、ついて来い」と簡潔に言われてほいほいついて行った先がdha epa王宮だった。
 おかしいアントシアニンとは思ったのだ。えらい身綺麗にされて化粧をほどこされドレスを着せられたから。
「え、なん、なんですか?」と若干怯えて尋ねるミモザにレオンハルトは真顔で言った。
「害虫退治だ」
「それってゴ……」アントシアニン
「その名は口にするな」
 実はゴから始まる4文字の虫が大の苦手なレオンハルトである。あれはいつのことだっただろうか。いつものようにミモザが王都に滞在した夜、屋敷に出現した例の虫の姿を見つけて、ミモザは初めて自分の師匠が逃げ出す姿を見た。ちなみにその時はミモザが退治した。
 レオンハルトはごほん、と一つ咳払いをすると、
「その虫じゃない方だ。まぁ、行けばわかる」
「はぁ」
 亜鉛まぁ虫なら得意だから別にいいか、と安易に考えたのがつい先ほどの話である。

 現在ミモザは王都のレオンハルト邸で厄介になっている。これは何もミモザに限ったことではなく、塔の試練に挑むほとんどの者が王都に滞在することになるのだ。なぜかというと7つの塔は王都を取り囲むようにして存在しているため、王都に滞在するのが攻略に効率的だからだ。
 王都には塔の試練に挑む者限定の宿屋まで存在するほどである。試練に挑むことを推奨する国が支援金を出しているため、他の宿屋よりも安く泊まれたりする。もちろんいつまでも試練に挑んでいるのだといって居座マカ と はられては困るため、割引は一年間のみという制限はある。ミモザも宿屋に泊まろうか迷ったのだが、レオンハルトに頼みたい仕事もあるからと誘われたのでご厚意に甘えさせてもらうことになった。
 そしてその滞在初日の仕事がこれである。
(ちょっとよくわからない)
 きょろきょろするとレオンハルトに行儀が悪いと叱られるので必死に平静を装う。しかし内心はいまだに混乱中だ。
「ええと、レオン様、虫は……?」
「今追い払われたから問題ない。そのまま虫除けをしていろ」
「はぁ……」
 しれっと返された言葉は相変わらず要領を得ない。意味がわかっていないミモザに、レオンハルトは意地の悪い笑みを浮かべた。
「君の外見はいいな。虫除けにぴったりだ」
「あー……」
 そこまで言われてやアントシアニンっとミモザも察する。周囲をちらりと見ると若い女性陣はひそひそと何事かを話し合っているが近づいては来なかった。
「かえって余計な刺激をしてしまうのでは?」
 その中に鬼の形相でこちらを睨む女性を2人ほど見つけ、訊ねるミモザを彼は鼻で笑った。
「君の容姿を見て挑む度胸のある女性は稀だ。よほど自分の容姿やそれ以外に自信がなくてはそんな真似できないだろう」
 まぁ確かに、とミモザは頷く。自分の容姿が優れている自覚はあった。何せ主人公と瓜二つの顔である。良くないわけがない。
 こればかりは感謝せざるを得ない。これで容姿まで正反対でミモザだけ不細工であったら本気で立ち直れる気がしない。製作者からの温情か、キャラデザをサボっただけかはわからないが、なにはともあれありがたい話である。
「まぁつっかかって来そうなのもいるが、死にはしないさ」
「死なない程度の目には合うんですか?」
 ミモザの質問にレオンハルトは答えず肩をすくめた亜鉛 サプリ
「たいした派手なご登場だなぁ」
 その時、聞いたことのある声に話しかけられた。振り向くとそこに立っていたのはガブリエルであった。
 彼も今日は制服ではない正装をしており、ブラウンの髪を後ろに撫で付けて伊達男っぷりに磨きがかかっている。黒のスーツの胸元には赤い薔薇が飾られていた。
「オルタンシア様は?」
「あっち」
 彼はレオンハルトの問いに簡潔に答える。そこには誰かと談笑しているオルタンシア教皇の姿があった。彼はさすがにいつもの法衣を身にまとっている。
 あたりを落ち着いて見回すとフレイヤとジーンの姿もあった。彼女達もいつもの制服ではなくパーティー仕様で、フレイヤは真っ赤なドレスに身を包んでいる。
(今頃お姉ちゃん達は宿屋だろうか)
 きらびやかな世界を眺めながらぼんやりと思う。若干自分は今何をしているのだろうと疑問には思うが、ゲームのストーリー通りに進んでいるのなら今日は特にすることはないはずだ。
 今日はゲームで言うと旅立ちの日だ。ショートカットして道なき道をきたミモザとは違い、ステラは街道を進んで王都まで来アントシアニンの効果たはずである。つまり倍以上の時間をかけて今頃王都についたのではないだろうか。まぁ、ヒッチハイクや乗り合い馬車に乗るなどをすれば14時間よりは短い時間で王都には辿り着けるだろう。確かチュートリアルボスとの戦闘もその途中にあったはずだ。まだ仲間として選択できるのはアベルだけのはずなのでアベルと2人で行動しているのだろう。
(確か次の攻略対象との遭遇は王都での買い物中だったか)
 ゲームのシステムは午前と午後の行動を大雑把に選択できるというもので、買い物にいけばそれだけで午前中は潰れる。そして最初はチュートリアルとして装備を整えるために午前中に買い物に行かされるはずだ。つまり明日の午前中にその攻略対象と出会うはずである。あまりどういった人物だったか思い出せないが、確か『知り合いと間違えて声をかけてしまった』というベタな出会い方だった気がする。 
(つまり明日の午前中に僕は第1の塔に行けば鉢合わせずに済む)
 明日は朝早くに家を出よう、と考えていると、その思考を引き裂くように荘厳な演奏が始まった。
 ぎょっとして顔を上げる。
「本日のメインのご登場だな」
 ガブリエルが囁いた。
「メイン?」
「決まってるだろ?第一王子殿下さ」
 彼は陽気にウインクをして見せた。
dha epa dhaゴーヤアントシアニンゴーヤ チャンプルー

「君の服を買いにポリ ペプチド

「君の服を買いに行くdha epaぞ」
 仕事から帰ってすぐにレオンハルトはそう告げた。
 喧騒の亜鉛中、2人は街を歩いていた。レオンハルトは行き先がもう決まっているのかすたすたと迷いなく歩く。
(服かー)
 先日だめにしてしまったが、着替えくらいは当然持っている。別にそんなに焦らなくても、と呑気に構えるミゴーヤモザに「ここだ」とレオンハルトは足を止めた。
「……え?」
 明らかにミモザのような人物は門前払いされそうな高級そうな店がそこにはそびえ立っていた。

「いらっしゃいませ、ガードナー様」
「服を用途に合わせて一式揃えてもらいたい」
「かしこまりました。こちらのお部屋へどうぞ」
 なんと個室である。通さマカれた部屋は普通に広く、そこに次々と服が運び込まれて来る。部屋にはソファとテーブルがあり紅茶を出されたが、ミモザはそこに座ることもできず立ったままぽかんとその光景を眺めていた。
「ミモザ、座れ」
「れ、れれれレオン様、これは……」
「服を見に行くと言っただろう」
 その不思議そうな表情を見ているとなんだかおかしいのは驚くミモザのような気がしてきてしまう。
(いや、そんなわけない)
 ぶんぶんと気を取り直すようにミモザは首を振る。
「レオン様、僕お金ないです」
 昨日もらった3万ガルドはあるが、それ以外はほアントシアニンの効果とんど母親に送ってしまっている。
「俺が出すから問題ない」
「も、問題です。出していただく理由が……っ」
 言いかけるミモザをレオンハルトは手で制した。
「これは必要経費だ」
「必要経費」
「ああ」
 彼は頷くとソファへと深く腰掛け優雅に紅茶を口に運んだ。
「昨日のように服がダメになることなどこれからざらにある。騎士団では制服は当然支給される。うちの屋敷の使用人の制服も同様だ。それと同じで君を管理する立場にある俺が服を支給するのは当然のことだ」
「な、なるほど」
 確かに仕事を任されるたびに服をダメにしていてはミモザはそのうち破産してしまう。しかし、
「高そうなお店ですよ」
 部屋に並べられた調度品を見て恐ろしくなる。どうせ汚れるなら亜鉛 サプリ汚しても罪悪感を抱かない価格帯の品にして欲しいものだ。
「安物だといざという時に足を引っ張られるからな」
「足を引っ張られる?」
「環境に適応できないとそれだけで体力を消費する。例えばいつも俺が着ている教会騎士団の制服はチソウ鳥の羽でおられた布でできている」
「はぁ」
 よくわかっていないミモザにレオンハルトはちらりと目線だけを流す。
「丈夫で軽い。羽に空気を含んでいるから寒い地域では暖かいし、暑い地域では通気性がいいので蒸れない。そして高級品だ」
「なるほどー」
 つまり戦うのに快適な服装を用意したいということのようだ。
「ここはチソウ鳥でできた服を取り扱っている。安い店ではまず見ないからな」
「ええと、ありがとうございます」 
 そわそわと相変わらず店の高級感に落ち着かない気持ちになりつつ、とりあえず事情に納得がいったのでミモザもレオンハルトの隣へと腰を落ち着けクロムの効能る。
「それにしてもチソウ鳥?って初めて聞きました。そんな鳥どこに住んでるんですかね」
「過酷な環境にいることが多い鳥だからな。外敵の少ない環境に適応するために優秀な羽毛に進化したんだろう」
 なるほどー、と頷いて紅茶を一口飲む。高級そうな味がする。
「ちなみに名前の由来は過酷な環境に踏み入って餓死しかけた人間がその鳥を見つけて『ごちそうだ!』と叫んだというエピソードだ。焼いて食うと美味い」
「か、可哀想」
 まさかの由来だった。
「羽はむしられるわ食べられるわで散々ですね」
「まぁな」
「ガードナー様、準備が整いました」
 くだらない話を特に笑いもせず続ける師弟に、店の人間が営業スマイルで声をかけた。

「どれがいい?」と尋ねられた。店員もにこにこと笑って「お嬢様は大変お綺麗ですのできっとどれもお似合いですよ」とお世辞を言ってくる。
「えーと、どれがいいですかね」
 人間選択肢が多過ぎると決められなくなるものらしい。というか田舎のおばあちゃんがやっているような服屋にしか行ったことのないミモザにはあまりにもハードルが高すぎた。
「好みはないのか」
「好み…アントシアニン…」
 随分と久しぶりな気がする質問にミモザは戸惑う。
(可愛いのがいいと言ったら呆れられるだろうか)
 もごもごとしているミモザに「こちらなどはどうでしょう?」と店員のお姉さんが助け舟を出してくれた。勧められたのはシックだが所々にワンポイントでレースや花の飾りのついた可愛らしい白いワンピースだ。
 これまでそういった女の子らしい服に飢えていたミモザの目はそのワンピースに釘付けになる。
「ええと」
 それが欲しい、と口にする前に
「いや、それはダメだな」
 とレオンハルトが却下した。ガンッとミモザは頭に重しが乗ったような感覚に陥る。
「だ、だめですか」
 思わず声が震える。そんなミモザの様子にレオンハルトは怪訝そうな顔をしつつ「ああ、ダメだ」と断定した。
「スカートだと戦う時に動きずらい。ズボンに合わせられるものがいい」
 ミモザの目が点になる。
(そりゃそうだ)
 そりゃあ、そうだ。戦うのに都合が良い服を探しに来たのだ。
「えっと」
「そうだな、装飾がどこかに引っかかると困るから装飾のなるべくないものでシルエットの隠れる物にしてくれ」
「シルエットですか?」
 首を傾げるミモザにレオンハルトは頷く。
「内側に防具を付けているだろう。それがわからないような物の方がいい」
「確かに」
 ミモザも頷く。レオンハルトも同様だが、服の内側ゴーヤにミモザは薄い鎖かたびらのような防具を付けている。一応肩や胸あたりにもプレートのような物を仕込んでいる。それが隠れる服の方が見た目的にいいだろう。
「それに君のその鍛えた体格も隠した方が都合がいいしな」
「え?」
「君の容姿は相手の油断を誘える」
 にやり、と悪どい微笑みを浮かべる。しばし惚けた後、その意味を理解してミモザも同調するようににんまりと笑った。
「できるだけ油断を誘えるような子どもっぽい服装にしましょうか」
「そうだな、まぁ年齢相応に可愛らしい服がいい。なるべく争いごととは無縁そうな印象を与えたい」
 2人してふふふ、と笑い合う。
「相手を油断させて不意打ちできるような?」
「相手が君をあなどって手を抜くような」
 勝負が始まる前から自分に有利な状況を整えるのは大事なことだよ、とレオンハルトは囁いた。

 結局服はチソウ鳥の羽毛で編まれた少し丈が長くゆったりとした白いパーカーに黒のショートパンツを合わせたスタイルになった。黒いタイツも今まで同様に履くが、所々に針金のように細い金属を織り込んだ物になっていて強度が増している。
 ミモザは新しい服を着てくるりと一回転する。トップスはシンプルなデザインだが裾と袖口に黒い糸で花の刺繍が施されており可愛らしい印象を与えるものだった。ズボンなのは相変わらずだが、いままでのただただシンプルで男の子っぽいだけだった服装とは雲泥の差である。
「よく似合っている」
 レオンハルトは頷く。それにdha epa dha「えへへ」と笑ってから照れを誤魔化すようにミモザは「そういえば」と呟いた。
「なんだ?」
「えっと、変な質問なんですが、このパーカーとかっていつからあるんですかね」
 そう、実はこの世界、服だけでなくちょくちょく現代にあるような代物を見かけるのである。
 レオンハルトは「なぜそんなことを気にするのか」という顔をしつつ「さあ」と首を捻った。
「パーカーでしたら確か今から150年ほど前にできたと言われていたはずですよ」
 その時控えていた店員さんが答えをくれた。
「150年前?」
「ええ、当時有名な発明家であられたハナコ様が作り出した物です」
(花子……)
 これはおそらく
(異世界チートだ)
「これもそうなのか」
「はい。ハナコ様は機械から食品に至るまでありとあらゆる物を発明致しておりましたから」
「あのー、花子様って……」
 共通認識のように会話が進むのに、恐る恐るミモザは尋ねる。それにレオンハルトは意外そうな顔をした。
「知らないのか?」
「えっと、すみません」
「歴史的な偉人だ。彼女により100年近く文明は進んだと言われている」
(でしょうねー)
 どうりで生活しやすいはずである。
「フルネームはハナコ・タナカと言う」
「う、嘘っぽい」
 『田中花子』はさすがにパーカーの売られている時代には少ない名前だろう。いや、それとも本当に本名だろうか。
「うん?」
「あ、えっと、なんでもないです」
「興味があるなら国立博物館に展示品があったと思うが……」
「あ、大丈夫です。全然、全然」
「そうか?」と怪訝そうにしつつレオンハルトは紙袋を渡してきた。思わず受け取ってからミモザは首を傾げる。
「これは?」
「うん?気に入ったんだろう?」
 それだけを言うとレオンハルトはゴーヤ チャンプルーさっさと店外へと向かってしまった。どうやらもう会計は済んでいるらしい。紙袋の中身を見ると、それは最初に店員に勧められた白いワンピースだった。
「レオン様!」
 慌ててミモザは追いかける。
「これっ!」
「仕事以外の時に着ればいい」
「えっと」
 言葉に詰まる。結局なんと言ったらいいかが分からず、紙袋を抱きしめるとミモザはなんとか「ありがとうございます」と声を捻り出した。
「ええと、その……」
 けれど他にも何か言うべきことがある気がして、店を出たところで立ち止まる。レオンハルトは怪訝そうに振り返った。
「ミモザ?」
「あ、あのっ!」
「聖騎士様でいらっしゃいますか?」
 しかしそれは言葉にならずに終わった。突然現れた声に遮られたからだ。
 振り返るとそこには上品そうな身なりをした少し年嵩の女性が立っていた。彼女はブラウンの髪をしっかりとお団子に結い上げて黒い服に身を包んでいる。
 まるで喪服のようだ。
「いかにもそうだが、貴方は?」
「私はジェーンと申します」
 その名前を知っている気がしてミモザは首を傾げる。しばし考えて、それをどこで『見たのか』を思い出して唖然とした。
「少しお時間をよろしいでしょうか」
 彼女は試練の塔被害者遺族の会の話の時に見た、試練の塔を封鎖して欲しいというコラムを書いた張本人であった。
アントシアニンクロムdha epa dhaクロムの効能

 レオンハゴーヤ

 レオンハルト・ガードナーは英雄である。
 それはガゴーヤードナー家の使用人であり侍女頭であるマーサも認めるところだ亜鉛
「ねぇねぇ見た?」
「何を?」
「何をってあなた!この間の練習試合よ!」
 きゃあきゃあと出先の店先で若い娘達が黄色い声ではしゃいでいる。
「レオンハルト様の勇姿!格好良かったー!」
「いいなぁ、わたし抽選が外れちゃって訓練クロム場に入れなかったのよ」
「試合見学の市民への開放は教皇聖下のご提案でしょ?本当に良かったとは思うけど抽選式なのだけが玉に瑕よね」
「仕方ないわよ!すごい人気だもの!」
 彼女達はうっとりと目を細めた。
「レオンハルト様の格好いいこと」
「強いのにお優しくて」
「爵位を賜って偉くなられたのに気取ってなくて」
「うちの亭主とゴーヤ チャンプルー交換したいくらい」
 きゃー、と歓声があがる。
「あなたそれはちょっと図々しいわよー」
「いいじゃない!ちょっとした願望よ!」
「まぁでも想像しちゃうわよね、平民出身だからワンチャンあるかもって」
 ほう、と恋する瞳でため息をつく。
「そういえば新しい姿絵が出てたのよ」
「やだ!早く言ってよ、買いに行かなきゃ!」
「あなた新婚でしょ?そういうの旦那さんは許してくれるの?」
 その質問を問われた女性は気取った様子で髪の毛をふぁさっ、と手で流した。
「絵付きのお皿を買うのは止められたわ!」
「あー…」
「それはねー…」
亜鉛の効果「高いし嵩張るからダメだって!あの紙とは違う高級感がいいのに!!」
「せめて目に焼き付けときましょうよ」
 そう言って1人が店の一番目立つ位置にでかでかと飾られた平皿を指差す。その皿には華美な装飾が施されており、その中央には剣を抜いたレオンハルトの絵がでん、と描かれていた。じつに実用性が無さそうな皿である。
「………」
 マーサは四十肩ぎみの肩をとんとんと叩きながらその光景を白けた目で見る。マーサの守護精霊の小鳥もしらっとした目で見ていた。
「あいよ、マーサさん!おまちどう!」
 マーサが用があった青果店の店主がやっとお目当ての果物を手に戻ってきた。店先に在庫がないからと取りに行ってくれていたのだ。彼はマーサの視線の先を追って「ああ」と納得したように頷いた。
「すごい人気だよなぁ、あの店の前はいつも若い娘さんでいっぱいだよ」
「恋は盲目とは言dha epa dhaうけどねぇ、夢見すぎじゃないかしら」
「何を言うんだい?実際夢の中から出てきたような人じゃないか。実は俺、いつだったか仕入れに出かけた先で助けてもらったことがあるんだよ。野良精霊に襲われてよ。いやぁ、評判通りのいい男だったよ」
「……そうかい」
 マーサは果物を受け取って、心中だけでつぶやく。
(実際近くにいるとかなり無愛想な人だけどねぇ)
 やれやれとため息をつくとマーサは重い足取りで屋敷へと歩き始めた。

 マーサの勤める屋敷の主人であるレオンハルト・ガードナーという男は裏表の激しい人物である。
 表向きは非常ににこやかで紳士的な好青年だ。しかし身内だけの場や屋敷の中になると、とたんに寡黙でぶっきらぼうでとにかく重苦しい空気をただよわせた暗い人物に変貌するのであった。どちらが素なのかなど確認する必要性も感じない。
「ああ、マーサ。旦那様がお呼びだったよ」
 重い荷物を抱えて帰ってそうそうに、同僚の男はそう告げた。醜dha epa dhaいあばた面のその男は名前をジェイドという。
 小さい身長にずんぐりむっくりとした体格、瞼の重い目にぶつぶつとできものの浮き出る浅黒い肌。どこからどうみてもゲコゲコと鳴くあれにそっくりの男だ。ジェイドという名前の由来なのだろう瞳の緑色だけが美しいが、その美しさがかえって目玉を強調してぎょろっとした印象を与えている。その首には守護精霊の瞳の色と同じ緑の蛇がとぐろを巻いていた。
 見た目同様の陰気な男で使用人達の集まりにも全く参加しないことで有名だ。しかし彼は主人からの信頼をもっとも得ており執事長としてこの屋敷を取り仕切っていた。
「一体なんの用だかねぇ」
 ジェイドに向かって話しかけたつもりだったが、彼は気がつかなかったのか無視したのかそのまま無言で立ち去ってしまう。
 マーサはため息をつくと荷物を置いて主人の部屋へと足を向けた。
 深い赤色の絨毯のひかれた廊下を歩く。屋敷の中はどこも綺麗に掃除をして換気もされているはずなのに主人の気質にでも倣っているかのように重苦しい印象を受ける。
 必要最低限の用事以外の来客のない屋敷である。もう少し人の出入りがあれば明るい雰囲気を取り込めるポリ ペプチドような気もするのにあの人嫌いの主人にそのような進言のできる関係性の使用人などはいない。
 大きく重厚なドアをノックする。物理よりも心理的な重みのあるドアの向こうから入室を許可する声が響いた。
「失礼致します」
 なるべく音を立てずに部屋の中に滑り込むと、屋敷の主は執務机に腰を掛け、いつも通りの仏頂面で書類を睨んでいた。
「マーサ、弟子をここに招くことになった。部屋を準備してくれ。位置は…、そうだな、俺の私室の近くにしてくれ」
 目も合わせず淡々と用件だけを告げる。
(弟子……?)
 そんなものがいたのか、とは勿論口に出さないし出せない。
「性別はどちらでしょう?何か特別に用意するものなどはありますか?」
「性別は女だ。年齢は12。普通に寝泊まりできるように整えてくれればいい」
「承知致しました」
 頭を下げながら「女かー」とマーサは内心で嘆いた。この主人に若い娘は鬼門だ。一体何度若い娘がこの屋敷に期待に胸を膨らませて訪れ、期待を裏切られて去っていったことか。今残っている使用人は年嵩の者か、はなからそういった興味がない者だけだ。
(まぁ、この人自身が見つけてきたのなら大丈夫か)
 半ば自分に言い聞かせつつ、厄介なことになりませんように、とマーサは祈った。
ポリ ペプチドゴーヤクロムdha epa

 2人でトボ亜鉛 サプリ おすすめ

 2人でトボトボと畑に亜鉛の効果囲まれた道を歩く。まぁ、トボトボしているのはミモザだけでレオンハルトは相変アントシアニンわらずの堂々たる足取りだ。
 ミモザはちらり、と無言で隣を歩く師を見上げた。
「あのぅ、もしかしてなんですが」
「うん?」
 ミモザの言葉を聞くように、レオンハルトは向き合う形で足を止めた。ミモザも立ち止まる。
「アベサプリメント マカルのこと、嫌いですか?」
 その疑問に彼はにっと犬歯をみせて意地悪く笑う。それはイタズラが見つかった子供のような笑みだった。
「わかるか?」
「えっと、まぁ、そうかなって」
「嫌いだよ、あんな奴」
 そう吐き捨てるように言った後、ふと思い直したように彼は「ああ」と吐息を漏らした。
「しかしそんなにわかりやすかったか、気をつけないといけないな」
「いえ、そこまであからさまで亜鉛の効果はありませんでしたので。でもまぁ、楽しそうだなぁと」
「ふっふ、いやすまない。君にとっては災難だったとは思うのだが……」
 そこでどうにも堪えきれないというようにレオンハルトは笑みをこぼす。それを隠すように手で口元を覆った。
「嫌いな奴を正論で追い詰めるというのは愉快でつい、な。バレないように自重しなくては」
「……あなたにとって幸いであったなら僕も嫌な目にあったかいがあります」
「ここは不謹慎だと責める場面じゃないか?」
 不思議そうに首を傾げるレオンハルトにつられるように、ミモザも「うーん」と首を傾げた。
 2人は鏡亜鉛 サプリ おすすめ写しのように向き合って同じ方向へ首を傾げる。
「僕1人だったら嫌な目にあったっていうだけの話でマイナスで終わっちゃうんですが、あなたが喜んでくださるなら補填されてプラスの出来事になるじゃないですか。意味もなく嫌な目にあったわけじゃないと思えるので」
「ネガティブなのかポジティブなのかわからない理屈だな」
 まぁ、君らしいか、とレオンハルトは微笑む。
「まぁ、君がそう言ってくれると俺も遠慮なく面白がれるというものだ」
「悪い人ですね」
「言っただろう」
 首を傾げるのをやめてレオンハルトは笑った。
「俺は不公平な人間なんだ」
 それは悪党にふさわしい凄みのある笑みだ。
「贔屓するべきは僕じゃなく家族なんじゃないでしょうかクロム?」
 しかしミモザは首を傾げたままだ。ミモザのその疑問に、レオンハルトは笑みを深めた。
「ふふふ、不思議か」
「二人は仲が良いのだと思ってました」
「まさか。あの能天気で恵まれた弟が疎ましくてたまらないさ。格好悪いから言わないだけだ」
 そうだなぁ、とレオンハルトは周囲を見渡す。辺りに人影はなく、あるのは畑と用水路だけだ。
「食べ損ねた昼食でもどこかでとるか」
「よろしいのですか?誰かに見られたら……」
 ミモザとレオンハルトがぐるだとバレてしまうのではないか、そんな不安がよぎる。しかし彼はそんなミモザの懸念を一笑にふした。
「いじめられて落ち込んでいる子どもを慰めるだけさ」
「なるほど」
 それなら、とミモザは頷いた。

 2人並んで適当な木陰へと座り、畑を眺めながらサンドイッチを食べる。用意したコップには水筒からいつものミルクティーをそそいでいた。
「俺の父親はどうしようもなアントシアニンの効果いろくでなしの呑んだくれでな、精霊騎士としては優秀だったようだが酒で問題を起こして軍を首になってからは更に荒れた。母親は娼婦でこっちも酒癖の悪いかんしゃく持ちでね。幼い頃は二人によってたかって殴られたものだよ」
 遠い記憶を思い起こすようにゆっくりとレオンハルトは語った。その口調は内容とは裏腹に随分とのんびりとしており欠片も悲壮感はない。
「ああ、同情は不要だ。母親は俺が幼い頃にあっさり死んだし、父親も俺の身体がでかくなって敵わなくなると大人しいものだったよ。それに俺は元から両親のことを好きではなかったし、なんの期待もしていなかった。まぁ可愛げのない子どもだったんだな」
 この傷も父親がやったものだ。と右目の火傷跡を見せる。
「幼い頃に、なんだったかな。火鉢の炭だったかなんだったかを押し付けられたんだ」
 ああ、火鉢ってわかるか、中に焼いた炭を入れる暖房器具なんだが、とジェスチャーをし始めるのに、「知ってます」とミモザは頷いた。
「見たことはありませんが、知識としては」
「そうか、正直今では廃れて使ってるのなんて魔導石もろくに買えないような貧乏人だけだろう」
「そうなんですか」
 亜鉛の効果ミルクティーに視線を落としながらミモザが相槌を打つのに、レオンハルトは苦笑して頭を掻く。
「まぁ、可愛くない子どもは蔑ろにされて当然だ」
 誤魔化すように言われた言葉にミモザは顔をしかめた。
「……当然じゃないですよ」
 全然当然ではない。
「おかしいです」
「……そうか」
 レオンハルトは否定せず、何故かミモザを慰めるように頭を撫でた。慰められるべきはレオンハルトだというのに変な話だ。
「もしまたそのようなことがあれば、今度は僕が守ります」
「すまないが、俺はもう自分自身で身を守れるし君よりもずっと強い」
 そう言いつつもレオンハルトの口元は嬉しげに緩んでいる。ミモザはつまらなそうに口を尖らせた。
「アベルの母親のカーラさんと再婚した頃は一番穏やかだった。たった4年しか持たなかったがね。彼女は賢明な女性だった。親父の『病気』が再燃するとすぐさま切り捨てた。……一応俺のこともアベルとともに引き取るつもりだったようだ。しかしそれは親父が拒んだ。別に俺に愛情があったわけじゃない。カーラさんに嫌がらせがしたかったのさ」
 そこで彼はミルクティーで口を湿らせた。普段こんなに長く話すことのない人だ。どうやら話しずらいらしい。先ほどからあまり視線が合わない。
「2人で王都へ行ってからの日々は最悪だったよ。しかしdha epaまぁ、王都にいたおかげで道が開けたとは言えるだろうか。俺は生まれつきガタイが良くて強かった。しばらくの間は精霊使いとして小銭を稼いで暮らしたよ。王都では需要に事欠かなかったからな。その関連で人に精霊騎士を目指してはどうかと言われてこうなったのさ」
 精霊使いというのは騎士の資格は持たないが精霊で戦うことを生業としている人達のことだ。騎士になるには色々と条件があるため、あえて騎士にならずに精霊使いとして働く人も多い。むろん、資格職なぶん、精霊騎士のほうが収入は安定していることが多いのだが。
 最初弟とカーラに会いに行ったのは安心させるためだったのだ、と彼は言った。
「彼女は俺のことも実の息子のように可愛がってくれていた。だから俺が無事であるということと、数年とはいえ穏やかに暮らさせてもらったことの恩返しもできたらと思っていたんだ。金は受け取ってはもらえなかったがね」
 苦笑する。伏せられた金色の瞳を憧れるように細め「彼女は理想の母親だった」と囁いた。
「弟のことも可愛がるつもりでいたさ。だが俺がくだらない親父の相手をしている間も、貧困に喘いでいる間も、あの弟は彼女のもとでぬくぬくと育っていたのだと思うと可愛がる気になれなくてな。この田舎の村で俺のことを笠にきて自慢するのを見ていると、ますます萎えてしまった。まぁ、あいつは別に悪くないさ。ただ逆の立場だったらと思う事が時々ある。要するに、ただのみっともない嫉妬さ」
「そうですか、なら僕と同じですね」
 ミモザの言葉に、やっと彼はミモザのほうを向いた。ミモザはそマカ と はれを見つめ返す。
「僕には出来のいい姉がいて、彼女は僕の欲しいものを全部持ってるんです。だから僕はそれが羨ましくて……」
 体育座りをしている膝に、こてん、と頭を預けてミモザは無邪気に笑った。
「僕たち、おそろいですね」
「……嫌なお揃いだな」
 苦虫を噛み潰したような顔をしてみせて、しかしすぐにレオンハルトは口元に淡い笑みを浮かべた。
「初めて人に話した」
「僕もです」
「内緒だぞ。格好が悪いからな」
「はい」
「君の話も内緒にしておいてあげよう」
「まるで共犯者みたいですね」
「まるでじゃないさ」
 ミモザが見つめる先で、彼は金色の目をにやりと歪めて悪いことに唆すような甘い声を出す。
「俺と君は共犯者だよ、間違いなく。だって一緒にアベルのことを陥れただろう」
 人差し指を一本立てて見せると、それをミモザの唇へと押し当てた。
「内緒だ」
 しー、と吐息を吐き出す彼に、ミモザも同意するようにしー、と息を吐き出した。
 2人は身を寄せ合って笑った。
マカアントシアニンサプリメント マカ亜鉛

 記者達がすサプリメント マカ

 記者達がすし詰めゴーヤ状態になりながらもdha epa dha、その姿を絵と文字に写すために必死に筆を走らせていた。その中心にいるのはオルタンシア教皇聖下とレオンハルトである。
 ここは中央教会の中庭である。ミモザはその光景を教会の回廊の柱の陰かマカ サプリらこっそりと覗いていた。

 あの時、決着は一瞬でついた。
 ロランの雷とレオンハルトの炎のぶつかった光が収まると、そこに立っているのはレオンハルトであった。
「うぐぅ……」
 ロランは苦しげにうめきながら、しかしまだ抗おうとなんとか手で地面をつかみ、膝を立てる。
「やめておけ」
 レオンハルトはそんな彼に近づくとその首筋へと刃を突きつけた。
「そのていたらくでは抵亜鉛の効果抗するだけ無駄だ。貴方には色々と聞きたいことがある。ご同行願おう」
 その瞬間、ロランはニヤリと笑い自分の胸元へと手を伸ばし、ーーその手をレオンハルトに蹴りつけられて仰向けに転がった。
 すかさずそれ以上動けないようにレオンハルトがロランのことを押さえ、胸元を探る。
「レオン様」
「どうやら自爆装置のようだな。小規模だが爆発物が仕掛けられている」
 息を呑む。すぐにレオンハルトはその装置の動力と思しき魔導石を取り除き、ロランを昏倒させた。
「よくやった、ミモザ。謎の多い保護研究会の一員を捕獲できたのは大きな収穫だ」
「死傷アントシアニン者はその方を除けば0名です」
「素晴らしい」
 レオンハルトが立ち上がる。褒めるようにミモザの肩を叩いた。ミモザは先ほどまで背にかばっていた3人を振り返る。3人とも惚けたような、本当に終わったのか疑うような表情で立っていた。
 ミモザも同じ気分だった。

 そして本日、いろいろな事について世間への報告が一通り済み、後始末が終わったあとで会談が行われることになった。
 一体誰と誰の会談か。答えは簡単だ。
 教皇聖下ならびにレオンハルトと被害者遺族の会の代表との会談である。
 今はその前座として、彼らはレオンハルトの用意した『ある物』を見に来ていた。
「これは……」
 その『ある物』を見て、ジェーンはそれ以上何も言えずに立ち止まる。
 レオンハルトは風を切っ亜鉛て歩くと、その『ある物』の目の前でかしずいた。
 それは慰霊碑だった。巨大な白い大理石が天高く伸び、そこには細かく何事かが刻まれている。よくよく見るとそれは人の名前のようだった。数えきれないほどの数の人の名前が刻まれ、そして少しの空白の後、その勇敢さを讃えると共に安らかな眠りを祈る言葉でその文字列は締め括られていた。
 塔の試練で命を落とした者たちの名前が刻まれているのだ。
 レオンハルトは慰霊碑へと向かい何事かを静かに伝え、そして手に持っていた白百合の花束をそこへ丁寧に供えた。
 そうして立ち上がるとジェーンを振り返る。
「どうかジェーン様もこちらへ。…手を合わせていただけませんか」
「これは……、これは、どういう……」
「申し訳ありません」
 神妙な顔でレオンハルトは謝罪した。
「彼らは俺の救えなかった方々です。魂を鎮めるために、そして俺の力不足を忘れないために、名を刻ませていただきました」
マカ と は 力無く首を横に振る。
「彼らは本当なら、今頃俺たちの同僚となっていたはずの勇敢な騎士達です」
 その言葉にジェーンは、ハッと顔を上げた。レオンハルトの方を見ると、彼は悔しげな表情を隠すようにうつむく。
「彼らの死を、悔しく思います。もちろんエリザさん、……貴方の娘さんの死も」
「ああ……っ!」
 ぼろぼろとジェーンは涙を流した。その口は小さく動き、「エリザ、エリザ」と娘の名を呼んでいるのがわかる。その泣き崩れる背中をレオンハルトは無言で支えた。
 長い時がかかり、やっとジェーンは顔を上げた。その目は真っ赤に腫れている。その間ずっと急かすこともなく背を支えていたレオンハルトに手を取ってもらい、彼女はやっとのことでその慰霊碑の前へとたどり着いた。そのままゆっくりとうずくまるようにこうべを垂れる。その手は合わされ、祈りを捧げていた。
「ありがとうございます、レオンハルト様」
 やがて、ぽつりと声が落とされた。
「ありがとうございます。ありがとう、ごめんなさい、ごめんなさい……」
 再び泣き崩れるジェーンのことを、報道陣からかばうよう亜鉛にレオンハルトが肩を支え、教会の中へと導いた。
 その様子をしっかりと記者達は絵に描き、文字に起こしているようだった。

「たいしたパフォーマンスだね」
 ふいにミモザに話しかけてくる声があった。振り返った先にいたのは新緑の髪に深い森の緑の瞳を持つ青年、マシューだった。
「ええと…」
「マシューだよ」
「マシュー様」
 ミモザのそんな様子に諦めたようにため息をつき、「別にいいけどね、緊急事態だったし、僕は裏方だし?」とマシューはぶちぶちと言う。
 一通り愚痴って満足したのか、こちらを真っ直ぐに見つめると、彼は頭を下げた。
「申し訳なかった」
「あの…?」
「やり方についての指摘はごもっともだった。あれは最低な行為だ。今後はもうしない」
「してもいいですよ、別に。言ったでしょう、僕も悪いことをする人間です」
「しない。もうそう決めたんだ」
 何かを切り捨てたような顔で彼は言った。何かを失ったようなのに、その表情はどこか清々しい。
「でも塔の運用に関しては、もっと改良できると思ってる。だからこれからも活動はするよ。今度は正攻法で、もっと視野を広げた現実的な案を模索する」
「……はぁ」
 正直それを自分に言われても、とミモザは困る。眉を寄せるミモザのことをマシューは軽く睨んだ。
「でもまぁ、あんたも大概クロムの効能酷かったから、お互い様だとは思ってるよ」
「そうですか」
 はぁ、とマシューはため息をついた。
「あんた、つくづく俺に興味ないのな。まぁいいや」
 じゃあな、とマシューは踵を返す。ジェーンの元に向かうのだろう。彼は作戦参謀のはずだ。
 ああ、と言い忘れたことがあることに気がついて、ミモザは「マシュー様!」と呼び止めた。
「パフォーマンスじゃありませんよ」
「え?」
「さっきの」
 慰霊碑を示してみせる。
「あれは儀式です。ご家族の死に向き合うための」
 本当にあれで向き合えたかどうかは知らないが、それなりに効果のありそうな反応ではあった。
 マシューはミモザの言葉にわずかに目を見張ると、「そうかよ」と頷いた。
「なら、俺もあとで拝んでやってもいいかもな」
「ぜひ、どうぞ」
 ミモザは微笑んだ。
「他の仲間の方々もぜひ、ご一緒にお越しください」
 教会の中庭にある慰霊碑だ。訪れるだけで自然と交流が生まれるだろう。
 人は『顔見知り』には優しくなるものである。
 これは教会と被害者遺族の会が『なあなあな関係』になる足がかりになるだろう。

「なに?」
 その報告にレオンハルトは不機嫌そうに眉をしかめた。報告に来た騎士はびくりと身を震わせる。
「それは確かなのですか?」
「は、はい!」
 オルタンシア教皇の問いかけに、彼は頷く。
「今朝未明、保護研究会過激派の幹部を名乗る老人の姿が、牢の中から忽然とゴーヤ消えました。おそらく……」
 騎士は緊張と畏怖でひりつく口内を少しでも潤すように唾を一つ飲み込んだ。
「脱獄したものと思われます」
 その瞬間放たれたレオンハルトの威圧感と怒気に、年若い騎士は失神してしまいたいと切に願った。
亜鉛亜鉛 サプリクロム

 それは修行後のおマカ と は

 それは修行後のお茶の時間が常習化し、ミモザがレオ亜鉛 サプリ おすすめンハルトのことを愛称で呼ぶことが許されるようになった頃亜鉛 サプリに起こった。
「あ、」
「どうした?」
 問いかけるレオンハルトにミモザは困った顔をする。
「ランチボックスを忘れてきました」
 時刻はちょうどお昼時である。昼食の時間をまたぐことがあらかじめわかっていたため用意していdha epa dhaたのに、その肝心のランチボックスを丸ごと家に置いてきてしまったのだ。
「仕方がないな。今日は適当にどこかで買うか、外食でもするか」
 頭を掻きながらレオンハルトは提案する。以前の彼ならここは「なら帰るか」となりそうな流れだが、習慣を変えたくない性質なのか、それともミモザとのお茶会もとい食事会にそれなりに意味を見出しているのか判断に悩むところだ。アントシアニンの効果
「いいですよ、すぐに取ってきます。せっかく作ったのにもったいないですし、それに……」
「それに?」
 ミモザは気まずそうに目をそらした。
「この村、田舎なので外食する店ないです」
 悲しい事実だった。しかしレオンハルトは気に留めた風もなく「王都に行けばいいだろう」などと軽く言う。
「いや、遠いじゃないですか」
「レーヴェに乗っていけば1時間てところだな」
「え?」
 思わず驚いてレーヴェを見る。彼は自慢げに胸をそらし、翼を広げてみせた。
「近くないですか?確か半亜鉛 サプリ日ほどかかると思っていたのですが」
「それは街道を通った場合だな」
「……そんなに差がでるんですか?」
「まずこの村から主要な街道に出るまでに10時間ほどかかる」
「………」
「そこから街道を4時間と言ったところか」
「なんでそんなに街道まで遠いんですか」
「この村に何も特産品も需要もないからだな」
 そのレオンハルトの返答にミモザはうっ、と言葉に詰まる。
「世知辛い話ですね」
 結局それしか言葉を絞り出せなかった。
「まぁ、街道一本通すのに莫大な資金と人手がいるからな。必要のない村を通すより王都に有益な場所を経由するように道を作るのは当然だろう」
「世知辛い話ですねぇ」
 そして無情だ。
 どこの世界でも需要の少ない田舎は冷遇されがちらしい。
「まぁ、でも取ってきますよ。僕の家まで1ゴーヤ時間かからないので」
 立ち上がりかけたレオンハルトを制してミモザは「すぐ戻るので待っていてください」とお願いした。
 母や姉とレオンハルトが鉢合わせると厄介だからである。 

「はぁっはぁっはぁっ」
 ミモザは息を切らして走っていた。手には先ほど家から持ってきたランチボックスを抱えている。そのせいでいつもよりも走る速度は落ちていた。
「おい、待てよ!ミモザ!!」
 背後から石が飛んできてミモザの頭に当たる。大した大きさではないが、勢いがあり普通に痛い。
 バタバタと4人分の足音がずっと背後をついてきている。
「てめぇ!ふざけんなよ!逃げるな!!」
 いきりたって怒鳴っているのは当然、アベルであった。

 家にランチボックスを取りに行くところまでは良かった。母はまだ帰っていないのかミモザが用意した母親の分のサンドイッチはまだ冷蔵庫の中に残されていた。ミモザはその隣に置かれたランチボックスを持って外へと出た。
 そしてマカ出会ってしまったのである。
 下校途中のアベルとその取り巻き3人に。
(迂闊だった)
 ミモザは不登校になってから徹底的に姉やアベル達と生活サイクルを変えて生活している。
 学校の授業が始まる時間に起き出し、授業中に外出を済まし、下校以降は家の外には出ない。
 すべてはこの狭い村でアベル達にうっかり鉢合わせないためである。
 しかし失念していたのだ。
 もうすぐ秋休みだったということを。
 秋は実りの季節である。そしてこのような田舎の村では子どもも立派な戦力だ。そのため小麦や稲を植える時期と収穫の時期は学校は長期休みに入る。手伝いをするためだ。そして秋休みに入る前日は午前授業となる。
 今日がその午前授業の日だった。
 そしてミモザは追いかけられる羽目になったのだ。
クロムの効能ゴーヤ亜鉛 サプリ おすすめ