(どうしてdha epa

(どうして、わたしが……)
 詰め所から出てステラは悲しげに亜鉛 サプリ目を伏せた。
 対応した騎士からは厳重注意を受けて帰されたのだ。ステラがゴーヤどんなにその必要性を説明しても彼は聞く耳も持たなかった。
「君ねぇ、君のしようとしたことの重大さをわかっているのかい? 違法採取は窃盗罪というれっきとした犯罪だよ。特に塔の中の薬草は国をあげて保護している貴重なゴーヤものだ。君はまだ若いし悪気があるわけじゃなさそうだし未遂だったから注意で済ましてあげてるけどね、本当にやってたら刑務所行きだよ。止めてくれた妹さんに感謝しなさい」
 あろうことか心無いことを言ったミモザの方が正しいなどと言う。彼は不満そうにするステラに呆れた顔をすると、「それとね」とステラから没収した荷物の中から巾着袋を取り出して机に置いた。
「それ……」
「これね、君、密アントシアニン猟もしてるよね」
「密猟だなんて……」
 言い募ろうとするステラを無視して彼は袋の口を開けて中身をひっくり返すようにして机に出した。じゃらじゃらと音を立てて大量の魔導石が机の上に広がる。
「指定された数を超えての狩猟行為は立派な密猟だよ。記録にないから今回が初犯だね? まぁ、初回はやはり厳重注意で解放することにはなってるけど記録には残るから。これから君の行為は常にマークされていると思いなさい」
「そんな、これには理由が……」
「理由?」
 彼は眉をひそめる。
「君の妄言は聞き飽きたよ。あのねぇ、世界は君を中心に回クロムの効能ってるわけじゃないの! 今はまだ若くて可愛いからそこまで痛々しさはないけどさ、もう15歳だろ? 成人してるんだからそろそろ現実見ないと! これに懲りたらもうこういうことはしないようにね! 次は牢屋に入ることになるからね!」
 ステラの言葉を遮って彼はそう言うと会話を終わらせた。ステラに書類のサインを促し、書いたのを見届けてステラのことを部屋から追い出すと「はい、じゃあ2度目はないからね! 帰っていいよ!」と言い捨ててせかせかと立ち去ってしまう。
 他にどうすることも出来ず、ステラはすごすごと出てきたところだ。
「ステラ……っ!」
 ひと足先に釈放されていたのだろう。アベルがステラに気づいて駆け寄ってきた。その見慣れた姿にステラはほっと息をつく。
「アベル、大丈夫だった?」
サプリメント マカ俺はまぁ、状況を確認されただけだから」
 アベルはなぜか言いづらそうにもごもごと話した。
 確かにアベルはあの時見ているだけだった。けれど全ての会話を見て聞いていたのだ。きっとステラのことを擁護してくれたことだろう。
「あの人、全然わたしの話を聞いてくれなかったの。額面だけ見てわたしのことを悪いって決めつけて……。失礼しちゃうわ」
 そこまで言ってステラはアベルの反応を待ったが、予想に反してアベルはなんの相槌も打ってくれなかった。見ると彼は硬い表情をして押し黙っている。
「アベル?」
「ステラ、犯罪行為はダメだ」
 諭すように、説得するように丁寧にアベルは話す。
「どんな理由があっても違法な行為が咎められるのは当然のことだ。咎められることを覚悟した上で、それでもどうしてもそうしなければならないと言うのなら俺にはそれを止められない。けどそうじゃないなら、咎めるみんなが悪いと思ってるなら、それは間違いだ、ステラ」
「アベル……」
 ステクロムの効能ラは目を細めた。
「やっぱり、貴方もミモザの味方なの?」
「違うって言ってるだろ!!」
 反射的に怒鳴った後で、彼はそれを悔いるように黙り込む。ややして苦しげに拳を振り上げ、けれどそれでどこかを叩くこともできずに力無く手をおろした。
「どうしてそうなるっ。俺は、俺はっ! お前のためを思って……っ。ステラ、お前はすごいよ、優秀だ。けどだからといって何をしてもいいわけじゃない。それにそろそろ気づいてくれ……っ」
「……わたしが間違ってるって言うの?」
 アベルはのろのろと力無く顔をあげた。そうして疲れ果てた様子で、けれど何かを決心したようにゆっくりと首肯した。
「そうだ」
 噛みしめるように、振り絞るような声で言う。
「お前は、間違っている」
 ステラは何も答えなかった。
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 周囲は喧騒亜鉛

 周囲は喧騒に包まれていた。まだ日が高い時刻のため人の往来も激しいゴーヤ。故郷の村では決して見ることのできない賑やかで華やかな街の様子をステラは亜鉛 の サプリ店主が店の奥から出てくるまでの時間を潰すために眺めていた。ふと自身の手が目に入る。右手の甲に浮かぶ花のような紋様のその花弁のうちの一枚が金色に輝くのを見てステラはふふふ、と満足そうに笑う。
「おクロム嬢ちゃん、計算が終わったよ」
 年配の店主がゆっくりと店の奥から出てくるとカウンターへ腰掛けた。彼は老眼鏡の位置を直しながら伝票と現金を弄る。
「全部でこのくらいの価格で買い取れるけどもね」
「わぁ!ありがとうございます!」
 なかなかの価格にステラは目を輝かせる。ステラの精霊騎士を目指す旅は順調に進んでいた。第1の塔では金の鍵を簡単に見つけられたし、野良精霊を倒すのも手間はゴーヤかかるがそんなに難しくはない。初めは路銀稼ぎに苦労すると噂では聞いていたが、これだけ稼げるなら余裕で王都で過ごすことができる。
(ミモザは銅だったわね)
 卒業試合では遅れをとってしまったが、しかしミモザはミモザだ。やはりステラよりも劣っている。
(どうしてレオンハルト様はミモザを側におかれるのかしら)
 ステラの方が何においても優っているというのに。もしかしたら優しいレオンハルトはだからこそ妹に肩入れしているのかも知れなかった。いじめを受けて祝福も1番下のものしか受けることができない。確かに同情するには十分かも知れない。
 上機嫌でおゴーヤ チャンプルー金を受け取ろうとして、店主はしかしそれを手で覆って渡すことを拒んだ。
「………? 店主さん?」
「これは一日で取ったのかい?」
 店主はじっとステラを探るように目を見つめてきた。それに首を傾げてステラは頷く。
「ええ、そう……」
「ステラっ!!」
 そこで息を切らしてアベルが駆けつけた。物資の買い出しの途中でステラだけ抜けてきたので心配していたのだろう。彼は必死の形相だ。ステラと店主の手元を見て、アベルは顔を真っ青に染めた。
「これは子どもの時から集めてた奴も混ざってるんだ!ガキの頃は換金なんてできなかったから!」
 そうして意味のわからないことを言う。ステラは首を傾げてアベルの言葉を訂正しようと口を開きーー、その口をアベルの手で塞がれた。
「………。まぁ、いいがね、厳密に一日に何匹狩ったかなんてのを取り締まるのはどだい無理なゴーヤ話なんだ」
 そう言ってため息をつくと店主は金をアベルへと渡した。
「けどねぇ、お嬢ちゃんら、やりすぎはいかんよ。多少は見逃されるけどね、あんまりにも度が過ぎりゃあ絶対に取り締まられる」
 ちろり、と店主の灰色の目が鋭くステラの目を射抜いた。
「密猟ってやつはね、加減を知らんといけんよ」
「………肝に銘じておきます」
 ステラの開きかけた口をまた手で押さえて、アベルは神妙な顔でそう言った。
「行くぞ」
 そのままステラの手を強引に取って歩き始める。その歩く速度の速さにステラは戸惑う。
「アベル、ねぇ、アベル!」
「1人で動くなって言っただろうがっ」
 怒鳴って、アベルはステラの手を離した。そのまま2人は橋の上で立ち止まる。無言の中で川のせせらぎだけが鳴っている。
 振り返らないアベルの背中は震えていた。
「アベル……?」
「わりぃ……、怒鳴るつもりはなかったんだ」
 アベルはゆっくりと振り返った。金色の瞳が、真っ直ぐにステラを見つめる。
「なぁ、ああいうこアントシアニンの効果とはやめよう」
「ああいうことって?」
「密猟だよ。一日に20匹以上狩るのはやめよう」
 ステラは首を傾げる。アベルが何故辛そうなのか、その理由がわからなかった。
「どうして?」
「法律違反だからだ。ミモザも言ってただろ。今回は見逃してくれたが、頻繁に繰り返すとまずい」
 ステラは表情を曇らせた。
「……アベルはミモザの味方なの?」
「お前の味方だよ!だから言ってるんだ!!」
 眉を顰める。ステラの味方なのにステラの行動を止める理由がわからない。
「でも、20匹以上狩ってもわたしは大丈夫なのよ。怪我もしないわ。そんな制限なんてなんの意味があるというの?」
「理由なんかどうだっていい!問題なのはそれが犯罪だってことだ!」
「アベル……」
「なぁ、ステラ、わかってくれ。俺はお前が大事なんだ。傷ついてほしくない」
「……わかったわ」
 本当はわからない。けれどアベルがあまりにも辛そうで、ステラはそう言っていた。
「ステラ……っ」
 アベルが安心したように破顔してステラを抱きしめる。
「ごめんね、アベル。アベルの嫌がることをして」
「いいよ! いいさ、わかってくれれば!」
 ぎゅうぎゅうとアベルに抱きしめられながら、ステラは思う。
(アベルが気づかないようにしないと……)
 知られるたびにこポリ ペプチドうもうるさく言われては面倒だった。

 かたん、と軽い音を立てて扉を開ける。
「ああ、ミモザ。帰っていたのか」
「レオン様っ!?」
 部屋から出た途端にかけられた声にミモザは飛び上がった。
 彼もちょうど帰ってきた所だったのだろう。自室の扉を開けて入ろうとした時にミモザが隣の部屋から出てきて鉢合わせたらしい。
「なにをそんなに驚くことがある」
 彼はそんなミモザの反応に憮然とした。
「いや、急に声をかけられたもので……」
 ついでに言えば考えごとをしていたせいでもある。
 ステラのことだ。
 姉のあの行為をレオンハルトに相談するかどうかを悩んでいたら、急に声をかけられて飛び上がってしまったのである。
(どうしようかな……)
 軍警に届け出るというのは選択肢には最初からない。なにせ本人の自白以外に証拠のないことであるし、積極的にステラを追い込む気にはなれないのだ。
(覚悟が甘いな、僕も。……奪うと決めたのに良い人ぶりたいのか?)
 しかしミモザはステラから聖騎士の座をぶんどる覚悟はしていても、ステラから社会的な立場を奪う覚悟はしていなかったのだ。元々はせいぜいが悔しがって地団駄を踏んで欲しかっただけである。笑えるほどに甘っちょろい報復を目論んでいたのだ。
 しかし見捨てると決めたからには、ミモザも覚悟を決めなくてはならないのだろう。
 例えステラがどうなっても、見捨て続ける覚悟を。
「ミモザ?どうした?」
 黙り込むミモザに不審そうにレオンハルトが問いかけた。マカ サプリそれに一瞬逡巡し、
「なんでもありません。第1の塔の攻略をしてきました」
 結局ミモザは黙ることを選択した。
 しかしこれはステラに温情をかけたのではない。むしろ逆だ。
(落ちるなら、とことん勝手に落ちていってくれ)
 今ここでステラの罪状を食い止めてあげる義理はミモザにはないのだ。
 ステラの行為に目をつむる。
 それがミモザなりの、『ステラを貶めたい』という自分が抱く悪意に対する礼儀であり、言い訳の許されない悪人になるという覚悟だった。
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「保護研究亜鉛

「保護研究会というのはそもそも何なんですか?」
 エオとロアントシアニンランに遭遇したミモポリ ペプチドザは今、
「元々はボクのご先祖であるハナコが設立した研究者の集まりだよ」
 三人で鍋を囲んでいた。
 理由は単純にお腹が空いていたからである。体力をつけるために鍋をするというエdha epa dhaオ達に誘われたのでご相伴にあずかることにしたのだ。
「当時のこの塔は今以上に謎に包まれていてね。女神教も入り込んでいなくて、なんとなく畏れおおい入ってはいけない場所、という感じの聖域だった。それをハナコが人の役に立てるために塔の内部を研究し始めたのが保護研究会の始まりだよ」
「今ではテロリスト集団と思われていますが」
「うふふ、それも間違いではないね」
 エオはこともなげに肯定する。ミモザは大根をかじった。亜鉛 サプリ おすすめ
「所詮は研究者の集まりだ。人のためというのは建前で知的好奇心を満たすのが第一の集団なのさ。だから魔薬というものを生み出して大事件を起こしてしまった」
「え」
「その一件で保護研究会にはテロリストのイメージがつき、我々の失墜と共に教会が塔の管理の実権を握るようになったのさ」
 まぁ、いろいろな要素が重なったのさ、と彼は言う。
「そして保護研究会にはそれをわざわざ弁明しようという人間もいなくてね」
「……花子様は?」
「特に他人からの評判には興味がなかったみたいだね。放置してたようだよ」
「……………」
「まぁ実際に研究のためなら暴力もマカ サプリじさない人間も多く所属しているから間違いではないしね」
「マッドサイエンティストの集団か……」
 テロリストのほうが共通の目的意識があるだけまだ対策を取りやすいのかも知れない。
 エオが最初に『仲間意識が薄い』と言ったのは嘘ではなさそうだ。要するに協調性のない人間の集まりだと言うことだろう。
「でも何故みんな保護研究会に所属しているんですか?」
 興味がないならわざわざ悪いイメージの組織に入らなくてもいいだろうに、とミモザは思う。それに彼は「研究費用と環境のためだね」とあっさり返した。
「イメージ悪くても歴史と実績はあるからね。これまで所属してきた研究者達の集めた文献やレポートが所蔵されているし、貴族の中には研究成果が欲しいがためにこっそり寄付金を提供してくれる人もいるし」
ゴーヤ チャンプルー「なるほどー」
 なんとも合理的な話だ。
「貴方の研究テーマは何なんですか?」
 ミモザは尋ねる。それに彼は煮えた卵を頬張りながら「不老不死」とあっさり告げた。
「不老不死……」
 確かバーナードも言っていた。
「今実現可能なのは魂を別の肉体に移すというものだけでね、そうじゃなくて肉体が滅びない方法を探しているんだ」
「魂は移す方法はあるんですか?」
「魂を移す方法は確立しているね」
「………物騒な話ですね」
「そうかな?」
「そうですよ」
 ミモザはうんざりと頷く。
「だって肉体ハイジャックができると言うことでしょう」
「肉体ハイジャックか。わかりやすくていい表現だね」
 エオはうむうむと満足そうだ。
「しかしそんなに簡単でもない。肉体には相性があって誰のものでも良いわけじゃないからね」
「どういうことです?」
「相性が悪いと魂が定着しなくてね。あとは定着しても記憶が崩れてしまうことがある」
 ミモザは少し考える。
「貴方の言う『魂』がもしも記憶だとしたら、サプリメント マカそれって不老不死とはちょっと違いそうですね?」
「うん?」
「肉体は他人、ということは、そこに記憶を移し替えても性格までは変わらないんじゃないでしょうか」
 例えば、前世の記憶があってもミモザはミモザのままであると思っているように。
「性格まで移せないのであれば、それはただの知識の伝授でしかないのでは? それとも人格まで移せるということですか?」
「それは難しい問題だね。なにせ移したのが記憶だけなのか人格そのものなのかを立証する術はないからね」
 エオは鍋の中を目当ての食材を探すように覗き込む。
「けれど例え移せるのが記憶だけだったとしても、その強い思いは残るんだよ」
 再び卵を拾って、エオは笑った。
「思いが残れば、それはある意味永遠ではないかな」
「段々とロマンチシズムの話になってきましたね」
「まぁ、不老不死なんてロマンだからね」
「研究者なのに?」
「研究なんてロマンがないとやってられないよ。今の技術ではできないことを実現するために研究してるんだから」
「なるほど」
 ミモザにとっては途方もない話に思える。確かにロマンを感じていなければ途中で挫けてしまいそうだ。
「まぁ、ボクの話はともかくとしてね」
 彼はシメのラーメンを放アントシアニンり込んで煮込む。水泳で冷えてしまった体にはありがたい食事である。
「聖剣の話なんだけど、元々剣があった異空間はどこにあるんだい?」
「もうありません」
 煮えた大根を鍋からよそいながらミモザは堂々と嘘をついた。
 何も馬鹿正直に話して彼らに面倒な逃亡先を提供するいわれはミモザにはない。
「聖剣が壊れると同時に消失してしまいました。なので僕は今ここに居るのです」
「……なるほどね」
 意外にもエオは納得したようだ。
「君に聖剣の力が宿っている様子もないし、見たところこの剣も本当にダメになってしまっている。……君に力が宿っていればぶんどれたのになぁ」
 ぼそりと付け足された不穏な言葉にミモザはぶるりと震えた。それに気づいてか気づかずにか、彼はにこりとミモザに笑いかける。
「この聖剣にはかつて女神が実体を持っていた頃に彼女が封印した邪悪な精霊が封じられていたと言われているんだ」
「えっ」
 ミモザは思わず食べる手を止める。
「解放されるって言われましたよ」
 もしかしなくともまずいのでは。冷や汗をかくミモザにエオは苦笑した。
「ああ、心配には及ばないよ。精霊の肉体はもう滅びてるから。復活はできないさ。解放とは魂の消滅のことだろう」
「は、はぁ、なら良いのですが……」
 よく知らずに手を出すものではないな、と反省する。一歩間違えば大災害だ。
「異空アントシアニン間を作るために聖剣の魔力を転用していたのだとしたら、その消滅と共に異空間が消えても不思議じゃない」
 そう言った後で、エオは感心したようにミモザを見た。
「消滅しなくて良かったね」
「え」
「異空間と一緒に消し飛んでもおかしくなかったと思うよ」
「…………」
 本当に迂闊なことはするものではないな、とミモザは猛省した。

 ロランと一緒に鍋を片付けて、ミモザは大きく伸びをした。これからまた泳いで祝福を手に入れに行かなければならない。エオが壊れた聖剣をいじっているのが視界に入った。
「聖剣欲しかったなぁ」
 思わずつぶやく。するとエオが顔を上げた。
「そうだね、じゃあ試してみるかい?」
「え?」
 返答が返ってきただけでも驚きなのに、さらに予想外のことを言われてミモザは目を見張る。そんな彼女にエオは面白がるように笑いかけた。
「いにしえから伝わるおまじないでね、力を得ることができるらしい。よければ教えてあげよう」
「…………」
 ミモザはごくり、と生唾を飲み込んだ。

 数刻後、ミモザはーー、
「力をー与えたまえー、力をー与えたまえー」
 藁人形に釘を打ちつけていた。
 頭には火のついた蝋燭を2本、ツノのようにくくりつけ、顔にはべっとりと赤い染料を塗っている。
「がんばれーがんばれー」
 エオはその後ろで自分の杖にハンカチをくくりつけ、旗のようにして笑顔で振っていた。
「大丈夫なのか? あれ」
 ロランはドン引きした顔で遠巻きに眺めている。
「……はっ!」
 その時ミモザは天啓を得た。
「できる! 気がする!!」
 ミモザは近くで眺めてアントシアニンいたチロへと手を伸ばす。チロは嫌そうにミモザへと近づくとメイスへと姿を変えた。
「はぁあ……っ!」
 気合いを入れてメイスを振る。
 するとそこにぼわん、と黒い煙のようなものが、球状にわだかまって現れた。
 それはミモザの全身と同じくらいの直径の球体だった。黒い煙は濃く深く薄まることがなく、そこにただぼんやりと浮かんでいる。
「は? 本当に効くのか」
 それに顔を引き攣らせてにロランは言う。
「いや、まさか」
 それをこともなげにエオは否定した。
「は?」
「プラシーボ効果ってすごいねぇ」
 プラシーボ効果。つまり、思い込み効果ということである。
「おまえ……」
「さてさて、どんな具合かな」
 ロランの非難の視線を避けるようにエオはその黒い塊へと近づくと「ふむ」と一つ頷いた。
「……大丈夫なのか。こんな得体の知れないもんに近づいて」
 ロランも恐る恐るといった様子で近づく。それにエオは気づいて場所を譲るように移動するとロランの背後へと回り、
「ちょっと試してみなよ」
 とその背中を押した。
「どわっ!!」
 ロランはその黒い煙へと全身を突っ込む。
「な、何も見えん! 何をするんじゃっ!!」
「まぁまぁ、死にはしなそうだから」
 ロランは慌てて煙の中から飛び出してくる。そしてむず痒そうに手足をばたつかせた。
「あーなんか、ピリピリするのう。別に動くのには支障はないが、なんじゃろうな、これは」
 むむぅ、と唸る。
「ちょっと体が痺れた時のようなピリピリ感と、激しい運動をした後に長風呂から上がったあとのような倦怠感もあるのぅ」
「なんか心地よさそうだね」
「いや、なんかちょっとのぼせた後みたいな感じじゃ」
「あー、地味にだるくて嫌なやつだ」
「そんな感じじゃ」
「……もうやめてもらえませんか亜鉛 の サプリね」
 二人のやりとりをミモザは力無く遮る。どうやらこの黒い煙はミモザの二種類の毒をミックスした効果があるようだ。
 逆に言えばそれだけである。
 ミモザの精神力のHPはもうゼロに近かった。
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「美人で巨乳のお姉さんは好きかしら?」
 ぽかんとするミモザの亜鉛目の前には美人なお姉さんが立っていた。

 場所は中央教会に移動し亜鉛 サプリていた。このアゼリア王国では一応女神教が主流な宗教である。なぜ『一応』とつけたかといえば、精霊信仰もそれなりの数、というよりもそもそものベースに入ってくるからだ。
 実アントシアニンの効果は女神教自体は仲の良い隣国からの輸入である。この国の土着の宗教は精霊信仰であり、それは精霊は守護精霊も野良精霊もみんな尊いため敬いつつ仲良くやっていこうというアバウトなものだ。そこにはあまり具体的な教義や儀式は存在せず、概念だけがある。そして女神教はというと、この世の精霊は総じて女神様が生み出した存在であるといアントシアニンう宗教だ。教会も教義も存在するし、実は聖騎士を目指すにあたって攻略しなければならない7つの塔は通称『試練の塔』といい教会の管理下にある。これは女神様が人に課した試練、故に試練の塔ということらしい。ちなみに女神教が布教される以前の試練の塔は『精霊の棲家』と呼ばれており精霊信仰にとっても聖域に該当していたりする。この二つの信仰は特にぶつかることなく共存していた。理由は精霊信仰のアバウトさだ。女神教が渡ってきた時、この国の人間は精霊信仰マインドにより、精霊っていっぱいいるゴーヤ チャンプルーから精霊を生み出す精霊もいるよねー、というニュアンスでそれを受け入れた。つまり女神様自体も精霊の生みの親ということは精霊なので、精霊を信仰するという行為に変わりはないよね、となったのである。
 隣国の女神教はもしかしたら解釈が異なるのかも知れないが、少なくともこの国ではどの精霊を信仰するのも自由であり、女神様はすべての精霊の大元ということなので女神様を敬えば全部まとめてすべての精霊を敬ってる感じがするので便利だよねーというぐらいの感覚で急速に普及したという経緯があるのだった。

 真っ白い象牙でできた回廊を歩く。背の高い尖った屋根が特徴的なその建物は床も壁も屋根もすべて白で統一され、唯一窓だけが色とりどりのステンドグラスになっている。そしてその窓一枚一アントシアニン枚が女神教の聖書に書かれる一場面を表していた。
「ミモザちゃんは中央教会は初めてかい?」
 田舎者丸出しでおのぼりさんよろしくキョロキョロと忙しなく周りを見るミモザにガブリエルは苦笑する。
「えっと、王都に来たのがそもそも一週間前が初めてなので」
「そりゃあいい。どこを見てもきっと楽しいぜ。王都はありとあらゆる店や施設がそろってるからな。観光はしたかい?」
「ええと」
 ミモザは言い淀む。それにレオンハルトは鼻を鳴らした。
「生活するのには便利だが、それだけだろう」
 その言葉にガブリエルはやれやれと首を横に振る。
「お前さんにとってはな。こーんなにかわいいお嬢さんなら楽しいことだらけだ。街に繰り出せばショッピングにランチ、きっとナンパもされ放題だな」
 ごほん、とレオンハルトが不機嫌そうに咳払いをする。そして「まぁ、服は新調した方がいいか」と呟いた。
 確かに、とミモザも頷く。3人はそろってミモザの返り血でべとべとになった悲惨な服をクロムの効能見た。
「教皇様にお会いになる前に身綺麗にした方が良かったんじゃねぇ?」
「俺の家に行く通過点に教会があるんだ。二度手間になる」
「まぁお前さんが血みどろで教会に来るのはよくあることだけどよ」
 ガブリエルはため息をついた。
「ミモザちゃん、どーよ。観光にも連れてってくれねぇ、服も血みどろのまま着替える時間もくれねぇ、こんな師匠でいいのか?」
「えっと、特に困ってはないです」
 修行もつけてもらえてお金も稼げて食事も出る。正直いたれりつくせりである。
 そんなミモザの反応に、当てが外れたガブリエルは「無欲だねぇ」と肩をすくめた。
 その時ばさり、と音を立ててミモザの肩に何かが覆い被さった。びっくりして見上げるとレオンハルトは仏頂面で「着ていろ」と言う。
 掛けられたのはレオンハルトの軍服の上着だった。どうやらガブリエルの言葉を気にしたらしい。
 ミモザは掛けられた上着に腕を通し、少し歩いてみた。そして上着のすそをめくってみる。
 案の定、丈の長すぎる上着のすそはずるずると地面に擦られてたった数歩なのに茶色く汚れてしまっていた。
「レオン様、これ」
「後で洗わせる。着ていなさい」
 そのまゴーヤまレオンハルトが歩き出してしまうのに、ミモザは慌てて前のボタンを閉めながらついて行った。
 ガブリエルはそれを新しいおもちゃを見つけたような表情で眺めながら、早足で2人を追い抜いて先頭に出ると一際大きな扉の前で足を止めた。
「ではでは、お嬢さん。こちらに御坐しますはこの中央教会の頭目にして教会騎士団の指揮者、女神教の首魁であらせられるオルタンシア教皇聖下でございます」
 おどけた仕草でお辞儀をし、扉を開いた。

 かくして、扉を開いた先に現れたのは、
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「さて、それは困るのぅ」
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 身の丈を遥かに超えた長い槍を彼は構えた。
「まぁわしは誰が死んでしまってもかまわん。全員死んでもらってもなぁ」
「……っ!気をつけろ!そいつは保護研究会の過激派だ!!」
 マシューが叫ぶ。瞬間、雷鳴が轟いた。
「……っ」
 ミモザはすぐさま防御形態で亜鉛それを防いだ。チロの半球状の盾をつたって落雷は地面へと流れる。
 雷はロランの槍の先から放たれていた。
「ジーン様!ジェーン様とええと、なんかそっちの緑の人の避難を!」
「緑の人じゃなくてマシューですけどね!?」
「マシューさん!こっちへ!」
 ごちゃごちゃと騒ぎながらも、ミモザは3人を背後へとかばって立ち、ジーンはマシューとジェーンを抱えるようにして後ろへと下がらせた。しかしこの塔の出口はロランの背後である。
 ロランはニヤリと笑うと懐から五角形の黒い金属板を印亜鉛籠のように取り出して見せた。
「なんじゃ、気づかれておったか。ならば名乗ろう。わしは保護研究会、五角形のうちの一角、ロランじゃ。よろしくなぁ」
「……五角形」
 ミモザはつぶやく。ロランの持つ五角形の向かって左下には金色の印がつけられていた。確かステラの恋愛対象の中にもそう言った肩書を持った人間がいた気がするが、よく思い出せない。天才キャラだったような気もするが、どうだっただろうか。
「なんじゃ、気になるか?」
「……いえ、貴方みたいなのがあと4人もいるのかと思うとうんざりしただけです」
 ミモザは誤魔化す。ロランもさほど気になったわけではないのだろう。槍を構え直した。
「余裕ぶっておるが、内心では焦っておるのではないか?アントシアニン
「なぜですか?」
 ふん、と馬鹿にしたように彼は笑う。
「先程から散々野良精霊からあいつらを庇っていたんだ。もう魔力も限界じゃろう」
「……さぁ、どうでしょう」
 魔力とはゲームでいうMPのことだ。通常のRPGよろしくこの世界でもMPが切れれば魔法は使えなくなる。魔法というのは先ほどロランがやってみせたように槍から雷を放ったり、ミモザが普段やっているようにメイスの棘を伸ばしたり衝撃波を放ったりというものだ。平均的なMPの量は150~200といったあたりだ。そしてゲームの中のミモザのMPは150が最大であったと記憶している。
 つまり平均の下の方である。
 ちなみにステラはすべてのイベントやアイテムを駆使すれば最高で400まで上がる。特に頑張らなくてもストーリーを進めるだけで300までは普通にいく仕様である。
 つまり、ミモザの2倍である。
(悲しい……)
 クロムの効能レオンハルトのMPなどは記憶にないが、どうせ化け物じみているに決まっている。
 これが才能の差か…、と遠い目になっているーー、場合ではない。
 また雷鳴が轟く。今度は受け止めることはせず、ぎりぎりまで引きつけてから避けた。先ほどまでミモザが立っていた地面がえぐれ、クレーターのように穴が開く。
(当たれば最悪死ぬな)
 これ一発でMPをどれほど消費しているのだろうか。魔法によって消費MPは異なるが、これだけ威力があれば10ほどは消費していそうだ。だいたいの魔法の消費MPは5~10くらいのものが多い。稀に30~50ほど消費するものもあるが、それは小さな町を一つ滅ぼすとか、広大な土地に結界を張るとか、大概は道具と準備を必要とするような大規模の魔法だけだ。
 とはいえMPは減るばかりではなく時間経過で回復するものである。だいたい起きている時だと20~30分で1ほど回復するのが一般的である。つまりロランは先ほど休憩を挟みながらとはいえ、100匹近くの野良精霊を倒したミモザのMPがそろそろ切れることを見越して、ばか亜鉛すか魔法を撃ってきているのだろう。ちなみにミモザは一回の攻撃で3~4匹ほどまとめて屠っていたりもしているので厳密にMPをどのくらい消費しているのかを計算で求めるのは至難の業である。
 もちろん、相手の最大MPや現在残っているMP量を知る方法は存在する。それは女神の祝福である。最初の塔の攻略により、その能力が手に入るのだ。とはいえ実は祝福には金・銀・銅のランクがあり、それぞれにより見える範囲に違いがある。金であれば相手のレベル、最大MP量、MP残量の全てを見ることができるが、銀ではレベルと最大MP量だけ、といった具合にだ。ちなみに銅だとレベルも大雑把にしかわからないらしい。らしいというのは塔の試練を受けていないミモザには詳細がわからないからだ。でもゲームでは確か最初に難易度の選択が可能で、イージーでは金、ノーマルでは銀、ハードでは銅に最初の試練の塔で与えられる祝福は設定される仕様であった。
 そしてゲームの中のミモザは銅であった。
 つまり自動的にハードモードのゲームが開始する予定である。今のところ。
(悲しい……)
 内心でぼやきながらも次々と襲いくる雷撃を避け続ける。そうしながらメイスをさりげなく地面へと叩きつけた。
「……ちっ」
 ロランが舌打ちをして横へと飛ぶ。メイスからの衝撃波が地面を走り亜鉛 サプリ おすすめロランの足元まで亀裂を生じさせたのだ。その体勢を崩した隙を逃さずミモザは棘を伸ばした。
 伸ばした棘がロランの目にささるーーと、思われた直前に彼は胴体をそらせてそれを避ける。棘は残念ながら、彼の目の下あたりを少し引っ掻くだけで終わった。
「小娘が……、狡い真似を」
 悔しそうな顔を作った後で、しかし彼は再びニヤッと笑う。
「先ほどから攻撃が単調でみみっちいのう。お主、もしや属性攻撃が使えんのか?」
「はい」
 間髪入れずにミモザは頷いた。
 属性攻撃というのはロランのしたような雷など特徴的な攻撃のことである。これは大抵の人は1つは属性を持っているものであり、2つ以上あれば天才と呼ばれる部類のものだ。つまり属性攻撃を持たないというのは『落ちこぼれ』ということである。
 しかしミモザはそれがどうした、という顔をしてみせる。
(それがどうした!)
 ふん、と鼻息荒く胸を逸らして見せた。
「………うん、そうか、なんかすまんかったな」
 おそらく挑発しただけのつもりだったのだろう。なんか同情されてしまった。
 ちなみに名誉のために言っておくがこれは半分嘘で半分本当だ。
 元々ミモザは属性攻撃を持っていなかったが、狂化により一つだけ目覚めた。
 しかしそれはあまり強力なものではなかったのである。
「あ、ちょっと本気で悲しくなってきた」
「まぁ、世の中そういうこともあるわい。才能とは無慈悲なものじゃ」
「同情ついでに見逃しませんか」
 一応聞いてみた。
「それは無理じゴーヤ チャンプルーゃ」
 即答の上で更に雷撃を叩き込まれた。ミモザは避けた。
dhaゴーヤマカ サプリ

「…………クロム

「…………」
 恥クロムずかしくて顔を上げられない。ミモ亜鉛ザは真っ赤な顔をして俯いていた。
「弟子……?」
 レオンハルトは怪訝そうだ。
(そりゃそうだ)
 そりゃあそうだ、内心でうんうんと頷く。チロも武器形態のままだが冷たい視線を向けてきているのがわかる。
「えーーっと、」
「……悪いがそういうのは募集していなマカ と はいんだ。すまないね」
 にっこりと微笑んで頭を撫でられる。その視線は生温い。完全に子ども扱いされていた。
(いや、子どもなんだけど!)
 子どもだが、そうじゃないのだ、真剣なのだ。
「そうじゃなくって、えっと、僕は真剣でっ」
「うんうんそうか。まぁ、憧れてくれるのは嬉しいよ。ありがとう」
 それは完全に大人がわがままを言う子どもを優しく窘める図だ。
 何かのお手本のようだ。
「ち、違います!!」
ゴーヤ 撫でてくる手を払いのけてミモザは叫ぶ。
「僕は!本気で!強くなりたいんです!!」
「一体何のために?」
 急に至極冷静に突っ込まれてミモザは言葉に詰まった。
(何のために……?)
 いや理由ははっきりしている。周りを見返すため、ひいては姉から聖騎士の座を奪うためだ。
 しかしそうはっきりとレオンハルトに言うことははばかられた。
 まさか「貴方の弟にいじめられていたから見返してやりたい」とか、「貴方の今いる地位に将来姉がなる予定だから奪ってやりたい」とは言うわけにはいかないポリ ペプチド。というかそんなことを言おうものなら下手をしたら殺される。
(殺される!?)
 先ほど対峙していた時の恐怖が蘇ってきてびびる。もしかしなくともミモザはとんでもない人間を呼び止めてしまっていた。
 そのまま素直に帰ってもらえばよかったのだ。機嫌のいい肉食獣に機嫌がいいからといってミモザのような草食動物が話しかけてはいけなかった。
「どうした?」
 脂汗をだらだらと流したまま固まってしまったミモザを、腕を組んで見下ろしてレオンハルトは不思議そうだ。
 それはレオンハルトからすれば親切心で言葉に詰まった子どもが話し出すのを待ってあげているだけの図だったが、ミモザには悪鬼が頭上から威圧を放って見下ろしているようにしか思えなかった。
 なんかオーラがずっとどす黒いままだし。
「あ、あの、理亜鉛 の サプリ由……、理由、は……」
 その時のミモザの脳内は珍しく高速で働いていた。なんとかして相手の怒りを買わない当たり障りのない理由を探そうと思考は回転し、反転し、そして脱線した。
 これまでの出来事が走馬灯のように駆け巡る。泣いて抱きしめてくれる母親、机の中のゴミ、力を得るための儀式、髪を切られたこと、そして姉がこれから得るはずの栄光の記憶ーー、
 聖騎士レオンハルトが姉達をかばって死ぬ光景。
「……貴方を、助けたいからです!」
 教訓、慣れないことはするなかれ。
 普段思考のとろい人間が無理して急いで結論を出そうとすると大事故が起きる。
「……ほぅ?」
 レオンハルトの目が剣呑に細められるのをミモザは涙目で見守った。
「俺の記憶が確かなら、俺はこの国最強の精霊騎士のつもりだったのだが……、その俺を君が助けてくれると?何から?」
 そう言う顔は綺麗に笑っているが瞳は雄弁だ。
 なめてんのかこのクソガキ、そう告げていた。クロム
「ち、違います!そういう意味じゃなくて!そのですね!」
 ぐるぐると元々空転気味だった思考回路がさらに空転し出す。
「す、好きなんです!貴方のことが!!」
「は?」
「だから貴方のことをお助けしたいんです!!」
「………」
(何言ってるんだ、僕……っ!)
 黙り込むレオンハルトに、またそりゃそうだと内心でミモザは頷く。
 だってミモザだって自分が何を言っているのかわからない。
 支離滅裂なことを叫ぶミモザに、しかしレオンハルトは冷静に「つまり、俺に好意があるから手伝いをしたいという意味の『助けたい』ということか?」と内容を推測して要約してくれた。
 彼は確かに大人なのだろう。
 ミモザの記憶ではレオンハルトはミモザ達のたった5歳年上なだけの、つまり現在17歳であるはずなのだが、その精神年齢は実年齢よりも遥かに大人びているように思えた。
 そのレオンハルトの要約が合っているのかどうかは横に置いて、困っているミモザは「そ、そうです!」と全力でその推測に乗っかることにした。
 だって貴方3年後に死ぬ予定なんですなんて言えないし。
 彼はそのミモザの返答に心底不思議そうに首を傾げる。
「君とは今日初めて会ったばかりだったと思亜鉛 サプリったが?」
「あ、会ったばかりですけど!」
 そこでミモザはやっと一拍呼吸を置いた。自身を落ち着かせるように深呼吸を繰り返す。
 この質問に対しては、嘘や誤魔化しは必要なかった。
 ゆっくりとレオンハルトの左右違う色の目に視線を合わせると、力が抜けたように微笑んだ。
「貴方は僕のことを唯一認めてくださいました。才能があると言ってくれた」
「それだけのことで?」
「それだけのことが、喉から手が出るくらい欲しかったのです」
 そう、たったそれだけのことだ。しかしたったそれだけのことがミモザを奮い立たせ、立ち上がる気にさせた。
 数日前も。そして今も。
「それだけでこれから先、僕は生きていけます。好意を抱くのには充分過ぎるほどです」
 これまでとは一転して自信を持ってそう告げるミモザに思うところがあったのだろう。レオンハルトはわずかに考え込んだ。
「俺は人に教えるのに向かない人間だ。最悪ただ君を叩きのめすだけの指導になってしまうかも知れないぞ」
「かまいません。貴方のサンドバッグにでも雑巾にでもしてください。そこから勝手に僕が学びます。貴方は僕の人生の恩人です。恩は返します。必ずお役に立って見せます」
 だから、
「貴方のそばに置いてください」
 そらされない目線の強さと意志に、レオンハルトはどこか眩しげに目を細めた。
「……いいだろう。しかし俺は忙しい。基本的には課ゴーヤ チャンプルー題を出して時々様子を観にくる程度になるだろう」
「充分です!」
「ではこれを」
 レオンハルトは懐からメモ帳とペンを取り出すと何事かを書き込んでそれをミモザに渡した。
 ミモザはどきどきと胸を高鳴らせてその紙を開く。
 ここに、精霊騎士として強くなるための極意が書かれている。
 かくしてその中身はーー、筋トレのメニューだった。
「……えっと」
「まずは体を鍛えなさい。話はそこからだ」
 告げられる言葉は淡々としており、重々しい。
「はい」
 ミモザはとりあえずわからないながらも頷いた。長いものには巻かれるタイプの人間だからである。
「いい返事だ」
 レオンハルトは満足そうに頷いた。
dhaポリ ペプチド亜鉛 サプリ おすすめ

「さて、それは困アントシアニンの効果

「さて、それは困るのぅ」
 黙り込んだ面々の中、唯一ずっと笑みを消さなかっゴーヤた老人が口を開いた。ロランだ。彼は鈍色の目をギラギラポリ ペプチドと興奮に光らせていた。先ほどまでは老人らしく腰を曲げていたにも関わらず、今は真っ直ぐとその背すじを伸ばし、かくしゃくとした雰囲気を出している。
「教会からの使者としてお主らのようなマカ サプリ小娘と小僧が来た時は放っておけば誰か死ぬかと思ったが、思いの外やるようだ。それは困る、困るのぅ」
 身の丈を遥かに超えた長い槍を彼は構えた。
「まぁわしは誰が死んでしまってもかまわん。全員死んでもらってもなぁ」
「……っ!気をつけろ!そいつは保護研究会の過激派だ!!」
 マシューが叫ぶ。瞬間、雷鳴が轟いた。
「……っ」
 ミモザはすぐさま防御形態でそれを防いだ。チロの半球状の盾をつゴーヤたって落雷は地面へと流れる。
 雷はロランの槍の先から放たれていた。
「ジーン様!ジェーン様とええと、なんかそっちの緑の人の避難を!」
「緑の人じゃなくてマシューですけどね!?」
「マシューさん!こっちへ!」
 ごちゃごちゃと騒ぎながらも、ミモザは3人を背後へとかばって立ち、ジーンはマシューとジェーンを抱えるようにして後ろへと下がらせた。しかしこの塔の出口はロランの背後である。
 ロランはニヤリと笑うと懐から五角形の黒い金属板を印籠のように取り出して見せた。
「なんじゃ、気づかれておったか。ならば名乗ろう。わしは保護研究会、五角形のうちの一角、ロランじゃ。よろゴーヤしくなぁ」
「……五角形」
 ミモザはつぶやく。ロランの持つ五角形の向かって左下には金色の印がつけられていた。確かステラの恋愛対象の中にもそう言った肩書を持った人間がいた気がするが、よく思い出せない。天才キャラだったような気もするが、どうだっただろうか。
「なんじゃ、気になるか?」
「……いえ、貴方みたいなのがあと4人もいるのかと思うとうんざりしただけです」
 ミモザは誤魔化す。ロランもさほど気になったわけではないのだろう。槍を構え直した。
「余裕ぶっておるが、内心では焦っておるのではないか?」
「なぜですか?」
 ふん、と馬鹿にしたように彼は笑う。
「先程から散々野良精霊からあいつらを庇っていたんだ。もう魔力も限界じゃろう」
「……さぁ、どうでしょう」
 魔力とはゲームでいうMPのことだ。通常のRPdhaGよろしくこの世界でもMPが切れれば魔法は使えなくなる。魔法というのは先ほどロランがやってみせたように槍から雷を放ったり、ミモザが普段やっているようにメイスの棘を伸ばしたり衝撃波を放ったりというものだ。平均的なMPの量は150~200といったあたりだ。そしてゲームの中のミモザのMPは150が最大であったと記憶している。
 つまり平均の下の方である。
 ちなみにステラはすべてのイベントやアイテムを駆使すれば最高で400まで上がる。特に頑張らなくてもストーリーを進めるだけで300までは普通にいく仕様である。
 つまり、ミモザの2倍である。
(悲しい……)
 レオンハルトのMPなどは記憶にないが、どうせ化け物じみているに決まっている。
 これが才能の差か…、と遠い目になっているーー、場合ではない。
 また雷鳴が轟く。今度は受け止めることはせず、ぎりぎりまで引きつけてから避けた。先ほどまでミモザが立っていた地面がえぐれ、クレーターのように穴が開く。
(当たれば最悪死ぬな)
 これ一発でMPをどれほど消費亜鉛の効果しているのだろうか。魔法によって消費MPは異なるが、これだけ威力があれば10ほどは消費していそうだ。だいたいの魔法の消費MPは5~10くらいのものが多い。稀に30~50ほど消費するものもあるが、それは小さな町を一つ滅ぼすとか、広大な土地に結界を張るとか、大概は道具と準備を必要とするような大規模の魔法だけだ。
 とはいえMPは減るばかりではなく時間経過で回復するものである。だいたい起きている時だと20~30分で1ほど回復するのが一般的である。つまりロランは先ほど休憩を挟みながらとはいえ、100匹近くの野良精霊を倒したミモザのMPがそろそろ切れることを見越して、ばかすか魔法を撃ってきているのだろう。ちなみにミモザは一回の攻撃で3~4匹ほどまとめて屠っていたりもしているので厳密にMPをどのくらい消費しているのかを計算で求めるのは至難の業である。
 もちろん、相手の最大MPや現在残っているMP量を知る方法は存在する。それは女神の祝福である。最初の塔の攻略により、その能力が手に入るのだ。とはいえ実は祝福には金・銀・銅のランクがあり、それぞれにより見える範囲に違いがある。金であれば相手のレベル、最マカ と は大MP量、MP残量の全てを見ることができるが、銀ではレベルと最大MP量だけ、といった具合にだ。ちなみに銅だとレベルも大雑把にしかわからないらしい。らしいというのは塔の試練を受けていないミモザには詳細がわからないからだ。でもゲームでは確か最初に難易度の選択が可能で、イージーでは金、ノーマルでは銀、ハードでは銅に最初の試練の塔で与えられる祝福は設定される仕様であった。
 そしてゲームの中のミモザは銅であった。
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(悲しい……)
 内心でぼやきながらも次々と襲いくる雷撃を避け続ける。そうしながらメイスをさりげなく地面へと叩きつけた。
「……ちっ」
 ロランが舌打ちをして横へと飛ぶ。メイスからの衝撃波が地面を走りロランの足元まで亀裂を生じさせたのだ。その体勢を崩した隙を逃さずミモザは棘を伸ばした。
 伸ばした棘がロランの目にささるーーと、思われた直前に彼は胴体をそらせてそれを避ける。棘は残念ながら、彼の目の下あたりを少し引っ掻くだけで終わった。
「小娘が……、狡い真似を」
 悔しそうな顔を作った後で、しかし彼は再びニヤッと笑う。
「先ほどから攻撃が単調でみみっちいのう。お主、もしや属性攻撃が使えんのか?」
「はい」
 間髪入れずにミモザは頷いた。
 属性攻撃というのはロランのしたような雷など特徴的な攻撃のことである。これは大サプリメント マカ抵の人は1つは属性を持っているものであり、2つ以上あれば天才と呼ばれる部類のものだ。つまり属性攻撃を持たないというのは『落ちこぼれ』ということである。
 しかしミモザはそれがどうした、という顔をしてみせる。
(それがどうした!)
 ふん、と鼻息荒く胸を逸らして見せた。
「………うん、そうか、なんかすまんかったな」
 おそらく挑発しただけのつもりだったのだろう。なんか同情されてしまった。
 ちなみに名誉のために言っておくがこれは半分嘘で半分本当だ。
 元々ミモザは属性攻撃を持っていなかったが、狂化により一つだけ目覚めた。
 しかしそれはあまり強力なものではなかったのである。
「あ、ちょっと本気で悲しくなってきた」
「まぁ、世の中そういうこともあるわい。才能とは無慈悲なものじゃ」
「同情ついでに見逃しませんか」
 一応聞いてみた。
「それは無理じゃ」
 即答の上で更に雷撃を叩き込まれた。ミモザは避けた。
マカポリ ペプチド亜鉛 サプリ おすすめゴーヤ チャンプルー

「ジーンくん、アントシアニンの効果

「ジーンくん、……だったかしら?」
「ええ」
 ステラはジーンの真剣な眼差しマカ サプリに苦笑を返す。
「酷い誤解だわ。わたしはただ、この子を助けたマカ と はいだけなの」
「そのために、それはいけないことだと諭す自らの妹に手をかけると? ステラさん、貴方は……」
 ジーンは醜いものでも見るように顔を歪めた。
「狂っている」
「酷いわ、ジーンくん」
 ステラはその強いアントシアニンの効果言葉に傷ついたように目を伏せる。
「この間会った時は褒めてくれたじゃない。とても可愛いって、綺麗だって」
 思わずミモザが白けた目でジーンを見上げると、彼は誤魔化すようにごほんごほんと大げさに咳をした。
「あ、あの時はそう思ったんです。ですが、貴方の行動は度が過ぎている」
 そう言って強く否定するように首を横に振る。
「物事には限度がある。貴方はもう少しdha epa dha自分のことを客観的にかえりみるべきだ」
「……貴方は、ミモザの味方なのかしら」
 ぽつりとステラはこぼした。その口調はひどく寂しげで、そしてとても禍々しい。
「どちらの味方とか、そういう問題ではありませんよ」
 呆れたようにジーンはため息をついた。
「どちらの意見に正当性があるか、これはそういう話です」
「王都に来てから……、なんだかおかしいわ」
 ジーンの言葉が聞こえていないかのように、ぽつりぽつりとステラはこぼす。
「村ではみんなわたしの意見を聞いてくれた。わマカたしは優秀だって、優しいって、正しいって言ってくれたのに」
 ステラの表情は変わらない。涼しい表情のまま、唇にはわずかに笑みすら浮かんでいるというのに、その瞳だけがぽっかりと穴が空いたかのように薄暗かった。
「貴方はわたしよりもミモザが好きなの?」
「………。どちらが好きかで言ったら、まぁ、貴方のことは好ましくありませんね」
 ステラの瞳孔がショックを受けたように収縮する。そして一度ゆっくりと瞬きをした。
「邪魔をしないで」
「したくてしてるわけじゃないんですけど、ねっ」
 ステラから氷の破片が放たれたのを、ジーンは土壁を作ることで受け止めた。そのままその土壁は蛇のようにぐんっとうねると、一気に伸びてステラへと突進する。ステラはそれを避けたが、土壁はどこまでも追跡を続けた。亜鉛 サプリ おすすめ
「……くっ」
 ステラは氷の破片を放って土壁を凍らせることでその動きを止める。しかしその時にはもう、ジーンはステラの逃げるルートを読んで土壁と挟み込むようにその背後へと回り込んでいた。
「……っ」
 切り付けられた刃をステラはなんとかレイピアで受け止めたがその切先は耳障りな音を立てて滑り、ステラの頬を掠める。
 彼女の血が宙を舞った。
(すごい)
 ジーンのことである。魔力が多いことは知っていた。しかしあれだけの量の土を動かし、なおかつそのスピードもコントロールも落とさないというのはかなりの熟練の技だ。事実ステラもミモザも攻撃は直線的で、相手を追尾するなど困難である。
 それに剣術においてもジーンに一日の長があるのだろう。そもそもステラの武器であるレイピアは斬り合いをするようには出来ていない。接近を許し切り結んでしまった時点でステラは圧倒的に不利である。
「もうやめませんか。今ならばまだ貴方の行為は未亜鉛 の サプリ遂だ。貴方が大人しく手を引くというのなら、僕は何もしませんよ」
「わたしが悪いことをしているみたいに言うのをやめて……っ!!」
 ステラが激情したように叫ぶ。その強さにジーンは呆気に取られたように動きを止めた。
 その隙を突いてステラが氷の破片を生成する。
「危ないっ!!」
 ミモザは素早く駆けるとジーンに飛びついた。
「ぐぅ……っ!」
 氷の破片が、すんでのところで飛び込んだミモザの足を貫く。そのまま2人はごろごろと地面を転がった。
「ミモザさん!」
「………っ」
 地面には2人が転がった軌道をなぞるようにそれなりの量の血が広がった。それに気づいたジーンが声を上げるが、ミモザはすぐに起き上がると油断なくメイスを構える。ジーンもその視線を追うようにして彼女のことを見た。
 彼女ーー、ステラのことを。
 ステラは無言で佇んでいた。いつもは華やかな笑みを浮かべる口元は無感情に閉じられ、明るい輝きを宿す瞳は昏くよどんでいた。彼女はレイピアをひたりとミモザへと向ける。
「わたしの邪魔をしないで」
 ぞくり、と身を震わせる。ミモザは自分の死を覚悟した。
亜鉛 サプリ「もうやめて!」
 唐突に、悲鳴のような声がその空気を引き裂いた。
 その声にステラが夢から覚めたように顔をあげる。振り返った視線の先では、少女が頭を抱えるようにしてうずくまり、泣きじゃくっていた。
「もう、やめて。ごめんなさい、ごめんなさい、わたしが悪かったです、ごめんなさい」
 嗚咽を漏らしながら、彼女は言葉を紡ぐ。
「こんなことになるなんて思わなかったの、こんな、怪我する人が出るほどのことだなんて……」
「貴方は気にしなくて良いのよ?」
 ステラがゆっくりと彼女に近づく。少女はそれに怯えたように身を引くと、拒絶するように首を振った。
「ごめんなさい! わたしが間違ってました。ごめんなさい、ごめんなさい……っ」
「君たち、一体何をしているんだい?」
 その時落ち着いた男性の声が響いた。見上げるとそこには教会騎士団の制服を着た若い男性が立っていた。彼は訝しげに身を震わせて謝罪を繰り返す少女と血を流すミモザ、それを支えるようにするジーン、そして立ち尽くすステラを見る。
 周囲を見渡すと塔に入るために行列を作っていた人々が伺うようにこちらを見ていた。
(そりゃそうだ……)
 いかに距離を取った場所でのやりとりだったとはいえ、あれだけ派手にやり合えば人目につくに決まっている。心配した亜鉛の効果人々が騎士に報告したのだろう。
「とりあえず……、そっちの子は手当をしようか。あと全員話を聞かせてもらうから、詰め所まで来てもらうよ」
 彼は冷静にそう告げた。
マカ サプリ亜鉛 サプリ亜鉛の効果

 さて、この世界アントシアニン

 さて、この世界には野良精霊というものが存在する。
 ゲー亜鉛ム上では雑魚敵として冒険の途中でエンカウントする相手ゴーヤ チャンプルーであり、その発生理由については語られないが、こいつらは実は人間が生み出した存在であったりする。
 精霊というのは人と共に生まれる。
 これはこの世界の常識である。
 ではなぜ野良精霊という人と繋がっていない精霊が存亜鉛在するのかというと、彼らは元々人と共にあったのが様々な理由でその接続が切れてしまった存在である。
 もちろん、人と精霊の繋がりというのはそんなに簡単に途切れるものではない。
 事故なども稀にあるが、そのほとんどは人為的な行為により切断される。
 一番多い理由はより強い精霊と接続するために自身の精霊を捨てて他人の守護精霊を奪うというもので、捨てられた精霊同士が自然交配し繁殖したのが亜鉛野良精霊達だ。そのためその多くはとても弱く、大した力は持たない。
 しかし稀に突然変異でとても強い個体が生まれることがあり、それはボス精霊と呼ばれるのだが、そのボス精霊を自身の守護精霊とするために元々共に生まれた精霊を捨てる者も現れるという悪循環が起こっていた。
 国も教会も守護精霊を交換することや野に捨てる行為は禁じているが、取り締まりきれていないのが現状である。
 そしてもう一つ、彼ら野良精霊が雑魚である理由があった。
「ああ、いたいた」
 ミモザは草むらをかき分けながら森の中を歩いていた。視線の先にはうさぎにツノが生えた姿の野良精霊ゴーヤがいる。
 ひたすら生暖かい目で微笑む母親に昼食をふるまった後、仕事に戻る母を見送ってからミモザは森へと来ていた。
 ミモザ達の住むバーベナ村は森に四方を囲まれている利便性の悪いど田舎だ。そのため少し歩けばすぐに森へと辿り着く。
 森には大雑把に目印の杭が打ち込まれており、通常10歳前後の学校を卒業していない子どもはその杭よりも先に入ることを禁じられている。しかし今のミモザはその杭を通り越して森の奥深くへと足を踏み入れていた。
 当然、バレたら叱られる。
 しかし今は大人に叱られること以上に気にしなければいけないことがあった。
「ゲームの開始は学校を卒業する15歳からだ」
 じっと草葉の影から草をはむ野良精霊の姿を見ながらミモザはチ亜鉛 サプリロへと話しかける。
「つまりそれまでに僕達はお姉ちゃんより強くなっている必要がある。それも大幅に、だ」
「チィー」
 チロもその方針には賛成のようだ。その同意に満足げにミモザは頷く。
「じゃあどうやって強くなるか。手っ取り早いのはもちろん、実際に戦ってレベルを上げることだ」
 とはいえ、ミモザもチロも野良精霊との戦闘などしたことがない。一応学校では戦闘技術の授業があったが、ミモザの成績は底辺を這っている始末であった。
(つまり、ここは不意打ちに限る)
 卑怯だなどと言うなかれ。これは命のかかったことなのである。
 ミモザはチロへと右手を伸ばした。チロは心得たように頷く。
 それと同時にその姿が歪み、形を変えた。
 それは武器だった。細く長い金属の持ち手に先の方に棘が何本も突き出た鉄球が付いている。いわゆるモーニングスターメイスと呼ばれる棍棒である。槌矛と呼ばれることもある叩き潰すことに特化した打撃武器だ。
 これが守護精マカ と は霊と野良精霊の一番の違い。
 人と繋がっている精霊はその姿を武器へと変じることができるのだ。これは昔は出来なかったのが徐々に人が望む姿に適応するようになり、そのような変化ができるように進化していったのだと言われている。
(やっぱり棘が生えている)
 チロの変化した姿を見てミモザは眉を顰めた。
 ゲームでのチロは序盤はただのメイスである。つまり棘の生えていない鉄球が先端に付いているだけのただの巨大な槌だ。しかしゲームの半ば頃より狂化が始まり今のような棘の無数に生えたモーニングスターメイスへと姿を変えるのだ。
 つまりやはりゲームよりも早く狂化してしまっているのだ。
 一度狂化してしまった者は進行することはあれど正常に戻ることはない、と言われている。
(うーん、まぁいいか)
 本当はそんなに軽く済ませていい問題ではなく狂化した個体は取り締まりの対象なのだが、ミモザの場合は早いか遅いかの違いで正直狂化しない選択肢を選べる気がしなかった以上諦めるしかない。
 一応ゲーム上では侮られ過ぎてなのか何故なのか、ミモザの狂化は主人公達以外にはバレてなかったように思う。
 チロアントシアニンの効果も小さい精霊のため普段はなるべくポケットなどに隠しておけばなんとかなるだろう。
 さて、とミモザは野良精霊を見る。先ほどまで横を向いていた野良精霊は、少し移動してちょうどこちらに背中を向けていた。
(君に恨みはないがごめんよ)
 ミモザはチロを両手に持って大きく振りかぶると、
「僕たちの礎となってくれ」
 野良精霊へと向けて一気に振り下ろした。
 血飛沫が舞った。
ポリ ペプチド亜鉛ポリ ペプチド

「省エネだな」  ゴーヤ

「省エネだな」
 訓練の途中、レオンハルトはそうつぶやいた。
「え?」
「君の戦い方亜鉛 の サプリのことだ」
 おそらく休憩に入るつもりなのだろう。構亜鉛 サプリえていた剣を下ろし、彼は軽く汗を拭う。
「君の使う技はどれも形態変化だ。衝撃波についても俺は斬撃を形にして飛ばすのに対し、君は触れたものに衝撃波を叩き込むスタイルだろう」
 それを見てミモ亜鉛の効果ザはその場に座り込む。正直もうへとへとで立っているのがキツかったのだ。
 そんなミモザを彼は見下ろした。
「君の攻撃はことごとく何も作り出さない」
「……はぁ」
 ディスられているのだろうか、とも一瞬思ったが、声のトーンと態度からおそらく違うのだろう。彼の瞳に映る感情は、感心だ。
「無から有を生み出すのと、すでにあるもポリ ペプチドのを利用するの、どちらがよりエネルギーを消費するかなど言わなくてもわかるだろう?3時間ほど打ち合っているが、君の魔力はあまりにも減っていない」
「それはレオン様も……」
 特に魔力切れを起こしている気配はない。MP量の見えないミモザではわからないが、まだまだ余裕そうに見える。そんなミモザを師匠はじっとりと睨んだ。
「俺はペース配分をしている。しかし君は何も考えず全力で打っているだろう」
「……うっ」
 図星だ。ぐうの音もでない。
「…にも関わらず、MP量を見てもいつまでもゆとりクロムの効能がある。君の元々の魔力量はそこまで多いわけではないにも関わらず、だ」
 当たり前のように金の祝福を授かっているレオンハルトである。
「つまり君の攻撃は使用するMP量が極端に少ない。おそらく1~2程度しか使っていないんじゃないか」
「……はぁ」
 褒められているのはなんとなくわかるが、わからない。それはそれだけ一撃に威力がないということと同義ではないだろうか。
「つまり君は人よりも長く戦える。持久戦が君の強みだ。一撃で倒す威力はないが、じわじわと相手の体力と魔力を削って疲労したところでとどめを刺せ」
 そこで悪巧みをするようにレオンハルトはにんまりと笑った。
「まぁ、君自身がへばらないように、それに耐えられるだけの体力と筋力をつけなくてはな」


ゴーヤ
「おかしい、なぜだ」
 ロランはぜいぜいと肩で息をしながらぼやいた。
 それを見て、ああ魔力と体力が尽きてきたのだな、とミモザは悟る。
「なぜ魔力が尽きない!小娘!!」
「……僕マッチョなんで、こう見えて体力が、」
「肉体の問題じゃない!魔力だ!こんなに長時間戦って、常人の魔力が持つはずがっ……!!」
 うーん、とミモザはうなる。なんて言おうか考えて、結局シンプルに言った。
「僕、持久戦が得意なんです」
 というより、それ以外得意なものがない。
 ロランはこちらを睨んでいる。その足元のおぼつかなさを見て、ミモザはふふ、と笑った。
 どうやら仕込んだ毒もうまく回ってきたようだ。
 ミモザが唯一目覚めた属性攻撃、それは『毒』だった。
 しかしそれは前述した通り強力なものではない。せいぜいが身体が少しだるくなる程度のものだ。それも4~5時間で治ってしまう。
(でも充分だ)
 長期戦で相手を疲労させて戦うスタイルのミ亜鉛の効果モザにとって、わずかでも弱らせやすくするその属性は決定打にはならないが相性がいい。少しでも相手の判断能力や体力を下げられれば儲けものである。
 ちなみに毒を仕込んだのは最初の一撃目。ロランの目元をかすった時である。ゲームのミモザは毒を空気中に放出していたが、その方法では明らかにMPを食うため棘から注入する方式へと訓練で切り替えていた。すべてミモザの長所を活かすためである。
「これから、貴方にはへとへとに疲弊していただきます」
 ミモザは言う。
「何時間でも何日でも何週間でも何ヶ月でも、戦い続けられるように僕は修練をつんできました。貴方はここから逃げることもできず、勝つこともできない。疲れ果てたままここで戦い続け、そして…」
 ミモザの仕事はここまでだ。仕込みは上々、舞台は整えた。
 ここで敵を倒すべきはミモザではない。のちのちの事後対応を考えれば、彼を倒すのはわかりやすい皆の『英雄』であるべきだ。
「最後は、聖騎士レオンハルト様に倒されるのです」
 その時ロランの背後に人影が現れた。ロランがギョッとしたように飛び退く。
「待たせたな、ミモザ。状況は?」
 そこには英雄の姿があった。
 豊かに流れる藍色の髪に意志の強い黄クロムの効能金の瞳、そして堂々たる体躯の英雄の姿が。
 ミモザはうやうやしく頭を下げる。
「彼が保護研究会の一員で、被害者遺族の会の方々を殺そうと企んでいたようです」
「……そうか。どうやら俺の可愛い弟子にしてやられたようだな、ご老人」
 槍を構える老人の異様に疲れた様子を見て、レオンハルトは悪辣に笑った。
「この子はなかなかいい仕事をするだろう」
「おのれ、レオンハルトオオオォォォッ!!」
 ロランの槍から稲妻が走る。レオンハルトはそれを炎で迎え撃ち、そして、
 視界が真っ白に染まった。
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